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#twnovel あなたはいつも食べるのが速い。どれだけ一生懸命考えた献立も、どれほど時間をかけて作った料理も、ものの五分でなくなってしまう。そして口煩く、こう言うのだ。こっちの味付けは僕の好みだね、こっちの魚は僕が好きだと言ったやつだね、僕はなんて幸せ者だ!もう、本当に煩いわ。
(お題 速い、煩い)
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#twnovel 今ならば、と目を閉じ深呼吸。きっと怖くはない。落下より早く迫り来る鉄の塊を想像し、震える足の女々しさに苛立ちを覚え持っていた傘の先で爪先を刺した。が、薄汚れたスニーカーに阻まれたそれは柔らかく押し返される。傘先を蹴り上げ一歩飛び出すと運転手と目が合い、体が弾かれ
(#いいねされた数だけ死に様を書く)
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#twnovel 普通のアパートの天井にぶら下がれる程の耐久性があるかどうかを悩み、結局ドアノブが最適だと思い至った。イメージトレーニングは完璧。あとは勇気を振り絞ればいい。首にぴったりの紐を巻き付け下半身から力を抜いていく。薄れゆく意識の片隅で冷凍庫のアイスにさよならを告げた。
(#いいねされた数だけ死に様を書く)
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#twnovel 君の顔が分からなくなった。悲しむ君の涙も見えない。あの太陽みたいな暖かな笑顔があるはずの場所は、ぽっかりと穴が開いていて、まるで底のない落とし穴のようだ。
それでも僕は君が好きだ。別れようと言われたって、そんなの許さない。顔なんて要らないよね。僕も失くせばいい?
(奏。は愛しい人の顔が見えなくなる病にかかりました。かわいそうに。きっと、とてもつらいのでしょうね。
…けれどその恋を終わらせないのはどうして?
#いろんな恋の病 https://t.co/ImxegSlNDJ)
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#twnovel 否定して否定して否定して、残ったものはちっぽけで惨めで醜い幼稚な自分だけだった。なんだ、これ。こんなの望んでいなかったのに。拭っても、蹴落としても、捨ててきても、必ず影のように引っ付いて、僕のことを嘲笑うんだ。見ろよ。今に足元を掬われるぞ。忠告さえも聞こえない。
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#twnovel 自分のことを男だと武装しなければ、この世界を生きるには苦しすぎて。俺はその苦しみから生み出した感情の種をばら撒き続ける。ある者にはそれが快感となり、ある者にはそれは毒となり、そうして世界はまた憎悪に塗れていく。誰か早く消してくれ。この世界ごと、俺の命の灯火まで。
(奏。は感情を創る者。男性の姿をして世界に紛れている。この世界を嫌っている。命を消す者を好いている。
#世界を創る者と消す者 https://t.co/UivrPUKMjS)
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#twnovel あなたを想う気持ちが降り積もる雪のような純白の宝石になるのなら手放すのも悪くはないかもしれない。あなたの首元を飾り縛り付けすぎはせず、けれども決して離れない。あなたに酔いしれたかつての私のように、あなたがこの宝石に酔いしれ時々、私を思い出してくれたなら、それで。
(奏。さんの恋は雪のような純白の宝石になりました。
あなたはそれをラリエットにして相手に贈ります。
宝石に込められた意味は「あなたに酔いしれる」。
https://t.co/RWsJ8i4KpR)
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#twnovel 悪夢の予感しかしないのに、と口を尖らせる。大丈夫よ、と撫でてくれる温かな手など存在しない。布団の柔らかさと反比例して沈んでいく心は過去の過ちと罪を掲げて叫び出す。忌々しいヨルなど消し去ってくれよ。でも太陽ですら目には毒で。行き場のない命は翼のない夢に墜ちていく。
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#twnovel 「それ綺麗だね」私がブレスレットを指差して言うとその人は微笑んだ。「大事な人の形見なんだ」その笑顔はどうしてだか何色にも染まらないように見えた。「僕が死んだら、君の為に心臓をあげる」透明で綺麗な雫になると思うから、目を伏せた彼を、死ぬまで愛そうと心から思った。
(奏。は亡くなると心臓が無色透明の宝石に変わります。石言葉は「あなたは愛しい人」。すでに故人となった親族の紫色の宝石(心臓)の一部をブレスレットにしてつけています。
#君の心臓は宝石 https://t.co/kmRziOpImI)
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#twnovel 流れ星かと思ったら花が降ってきた。銀に輝く鈍い花々。それらは僕に当たった途端、弾けて雫へと変わっていく。頭からずぶ濡れになりながらふと頬に触れるとそれは、雫か涙か。花のあめが降り注ぐ。光と共に降り注ぐ。君にも見せたかったな。真昼の幻影よ、連れ去ってはくれないか。
(奏。の世界に降るのは銀色の花。昼頃に降っては人が触れると水に変わる。この花は亡き人の思いで出来ているという。
#君の世界に降る花は https://t.co/zsyQFkyvCz)




