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261〜270

#twnovel 一つ一つ閉じ込めた宝石のような思い出に蓋をした。短い時間だったのにあっという間に貯まったなぁ。どれもこれも大切だったんだ。そう言って彼は微笑んだ。馬鹿馬鹿しい。そんなもの後生大事に飾っておくのかと呆れた。この価値も分からないお前は可哀想だと笑われ鏡を叩き割った。



#twnovel 嫌いになったとか、嫌われたとか、そういうのを考えるのが嫌になっただけで、本当は君のことなんてちっとも嫌いじゃなくて、僕だって全然嫌われてなどいなくて、でももしかしたら君は嫌っているかもしれないし、僕だってほんのちょっとくらいは君が嫌いかもしれなくて、世界は灰色。



#twnovel 今夜僕は決心する。金輪際こんな気持ちになるなんて御免だ。君の記憶を排除する。その為に捨てる品は山積みだ。持ち上げては屑籠へ。機械作業は脳味噌を腐らせる。ふと腕が止まった。君の几帳面な文字が走る些細なメモ。それを見た途端湧き上がる後悔。…まだ君に何も伝えていない。



#twnovel ようこそ新しい世界へ。ここは悲しみが蔓延り、切なさが溢れ、涙に沈む場所。あなたはもしかすると息をするのも嫌になっていくのかもしれない。それでも歩むと、止められない想いがあると言うのですね。あなたの足枷を解き放ってあげるから見せて欲しい。その魂が幸福に染まる時を。



#twnovel 誰も僕を見ないから良かった。誰にも知られていない僕だったから存在していられた。僕を暴いたのは誰だ?僕を飼い慣らしたのは誰だ?殺せと叫ぶ脳裏に焼き付いているのはあの日の優しさ。無理だ、僕には出来ない。君を消すくらいなら首を吊ってみせるさ。さようなら、お幸せに。



#twnovel 肩の痛みが消えない。君が僕に埋め込んだ何かが右肩の奥からじくじくと痛み続けている。少しずつ移動しているようだ。いつまでこの痛みに耐えなきゃならないんだろう。一昨日君が死んだことを人伝に聞いた。もう解放されることはないのかと絶望する。だって何だか胸の奥も痛いんだ。



#twnovel 曇り空が割れた。ヒビから現れた巨大な指先が雲を摘み器用にくるくると掻き混ぜていく。その様子は何かに似ている。雲はどんどん大きな渦に。くるくる、ふわふわ、そしてヒビの中へ。指はそれを何度も繰り返し、曇り空はすっかり快晴になった。あ。と気付く。綿あめに似てたんだ。



#twnovel 風に揺れる洗濯物。時計の針が指す3と4の間。遠く伸びていく飛行機雲。麦茶と浮かぶ氷の群れ。テレビの音声と子供達の笑い声。見上げた天井に反射する光と音の洪水。五感に飲み込まれた眼球と鼓膜が魂を揺さぶって破壊する。生きている。なんて重い。重力に抗って今日をまた泳ぐ。



#twnovel 空っぽ頭の残骸が街のあちらこちらで夢見てる。奴等は破壊され尽くした。僕等がそうしたのだ。僕等は空っぽ頭になりたくなかった。それは伝染し夢の世界に引き摺り込まれ同類となる。夢を見ながら屍のように生きる。そんなの耐えられない。だから。君もだよな?違う?ならもう君は、



#twnovel 正義を掲げた大義名分が僕の悲しみを踏み荒らす。占領し、蹂躙し、君の涙を忘れさせる。蒼が迫り来る。今にも僕を飲み込みそうだ。放たれたのは憎しみではなく、哀れみの花嵐。どうにかしておくれよ。僕は一体何と戦えばいい。このまま君を恨めというのか。薄汚れた心を切り裂いた。

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