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#twnovel 君の音色を聞かせておくれ。へたくそだって構わない。地味でも乱雑でも問題ない。君だけの音色が僕のこころを温める。その熱量が僕を生かす。君にとって僕もそうだったらどんなにかいいだろう。ささやかな幸せを噛み締めて生きていけるだろうに。叶わない願いでもそっと星に祈るよ。
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#twnovel 耳に刺さる音が脳味噌を揺らして過去を見せつける。触れたいと思っていたのは僕だけで、からっぽになったのも僕だけで、君は実に単純に自分を見失い、僕はきっとこのまま、過去の君を愛したまま、朽ち果てていく。それが純粋な逃亡の行く末。君なんてと丸めた紙を捨てられないのに。
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#twnovel 縁の糸を寄せて集めて出来たのはあなたとわたしの閉鎖空間。誰も見ないで、誰も入らないで、あなたもわたしを独り占めして。そこがどれほどの暗闇だろうと構わないでしょう。もう目なんて要らないわ。耳だって捨てちゃえばいいわ。抱き締め合う腕さえ要らない。わたしすら不必要ね。
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#twnovel 母の愛を知らない子供が身を寄せ合って震えている。私はそれを眺めている。無様だと嘲笑って自分の拳をガラスに叩き付けて。自惚れるな。お前達のそれと私のこれは違う。愛を知らない?笑わせるな。お前達の持つそれを私は見たこともないんだ。無様なのはどっちだ。醜い自分が憎い。
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#twnovel 手を伸ばせば届くはずだった。そんな距離にいたはずだった。いつ壊れてしまった?いつ捨ててしまった?僕の左手が振り払ったものは何だった?虚しくぶら下がるのは哀れな寂しさの亡骸。殻を脱ぎ捨てろよ愚か者。いつまでも被害者意識に甘ったれるな。飾り物の頭で世界を駆け抜けろ。
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#twnovel シャッターを押す指が震えてしまう。君を見るのはこれがきっと最後だから。記念の1枚。笑わない君と泣かない僕は肩を並べて未来を捨てた。ご覧よ。足元を這いずり廻っているのは輝かしいあの頃だろう。戻れもしない懐かしい思い出を踵で踏み付けた。影法師の思惑は誰も知らない。
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#twnovel 一面の菜の花に憧れたあの日のまま一面の青の世界を夢見て旅立った。辿り着くことはできなかったトリプルブルー。きっと何もかも忘れ荷物を棄て、僕は何の未練もなく明日を睨んでいられたのに。レイニーブルーが僕を許さないなら一体何を守れば良かった?ネモフィラが潮風に揺れる。
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#twnovel 震える指が頬をなぞる。濡れているのが分かった。情けないよね、と君が笑う。そんなことないよ、と僕は言う。嘘ばっかり。嘘じゃないよ。わざとらしい。至って真面目だよ。表裏一体の僕等は反発する磁石のように偽りと疑念で互いを塗り潰す。何も見ないで。この温もりだけが、今は。
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#twnovel 言い訳をする前に言わせてください。ここから見える絶景をあなたにも見て欲しかった。君を殺したくないから、僕はあの日僕を裏切りました。いいえ、押し付けるつもりは毛頭ありません。しかし報われない僕を眺めているのは辛いものです。願わくば君は僕に囚われたまま生き延びて。
(@OdaibOt 君を殺したくないから、僕は)
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#twnovel 臆病な僕の愛を受け取ってくれませんか。何を差し出せば伝わりますか。脳髄を啜りますか?眼球を舐めますか?舌を噛み千切りますか?手足を捥ぎ取りますか?そんなまどろっこしいことしないで、どうせなら心臓を引き抜いて。嘘つきな私達には真っ赤に染まった姿がお似合いでしょう。




