211〜220
#文藝散道お題 大切な想い出が零れていくように思えた。唐突に決まったさようなら。子供の僕にはどうしようもない事柄だった。君との約束ももう守れない。ごめん、ごめんよ。謝ったって何も変わらないけど、でも謝らせて。ランドセルの奥底に眠る君からのラブレターを見殺しにする。もう、忘れて。
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『清く、正しく』
箱に詰められぎゅうぎゅうと押し潰されながら大人になっていく。それは常識、それは教室、それは不条理、それは現実。清く、正しく、歪んでいく。そんな仕組みを認識した私は制服を脱ぎ散らかし、型に嵌ってなどやるものかと叛逆する。近い未来に魔女裁判が待つと知っていても。
(はなさん(@maru_pi_)のイラストから)
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#twnovel 死んでいく。死んでいく。あなたが、わたしが。そうか、私の罪だ。あなたを見殺しにした、わたしも殺されるのだ。痛みの中に漂っていることすらできずに、終わらされる。毒を盛ったのはあなただったか、わたしだったか。互いの体に蓄積した毒が愛だったと気付いた時には、もう遅い。
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#ヘキライ あなたが拾ってきたその子と目が合った時、運命だと思った。うちの子になってくれる?君が肯定してくれるように欠伸をして。名前を一生懸命考えて、新品の首輪に住所を書いて、君はあっという間に私達に馴染んでいった。ずっと楽しかったよ。ねぇ。君の寝ていた座布団が寂しそうなんだ。
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#twnovel
「あなたの声が聞きたいわ」『僕は声を失ってしまっているから』「紙に書かれても見えないの、私はもう何も見えないから」
つ、と私の手を取ったあなたは掌に文字を書く。遠い昔に習ったそれをなぞる。拙くも温かい言葉が私に宿る。
「…私もよ」
絞り出した声が湿っている。
#twnovel
あなたの姿を見られないなら、こんな目、要らない。君は自らの目玉をじゅるりと引き抜いた。てらてらと光るそれが僕には宝石のように見える。私に聞かせられない声をもった喉なんて、要らない、よね?と君が微笑み涙を流す。うん、という肯定すら君に聞かせられないんだもん、ね。
(金魚草さんは
「主人公が視力を失い、相方が声を失っている」状況を全力でハッピーエンドにしてください。
クリアできた貴方の人間レベルは【23】です。
#バッドエンドを覆せ
https://t.co/5u0OYd1S6Z)
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#twnovel 君の悲しみを飲み込んであげたくて始まった恋のはずだった。君から笑顔を奪うあいつが許せなかった。僕が守っていたかった。何でもしてやりたくて、何でも出来ると思っていた。でも気付いてしまった。君の想いを食い潰していたのは、この俺だったんだね。それならいっそ、最期まで。
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#twnovel ぐぎぎと奥歯を噛み締める。この悲しみがバレないように、震える体を抑えつけて。摩耗した心の表面がガサツいて、どうしようもなく溢れ出したのは、嗚咽でもなんでもない私の醜い汚泥のような感情だけ。お前なんて消えてしまえば良かったのに。いつまでも耳にこびり付いて離れない。
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#twnovel いらっしゃい、ようこそ辿り着きました。貴方を送る楽曲を選ぼう。どんなのがお好みで?悲哀に満ちたクラシック?激烈極めたメタル?ポップに可愛くアイドル曲?華麗さ演出するジャズ?違うでしょ?欲しいのは全てを道連れにする破滅の喇叭でしょ?いいですよ、貴方の来世と引換に。
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#書き合いっこ (第3回お題 スイーツ)
あの時の優しい君は右上の段に。あの日の君の微笑みは左下の段に。振り返った先の懐かしい沢山の君を一つ一つ閉じ込める。甘くてほろ苦くて、まるでチョコレートの詰め合わせ。悲しみはナッツと一緒に噛み砕き、喜びはホワイトチョコレートに包み込む。溶けて消えるまで取っておくの。




