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#twnovel 昨夜の僕の悲しみなどなかったかのような眩しく美しい朝陽がカーテンの外側から僕を誘っている。布団の隙間からでも分かるほどの晴天。目蓋の裏に思い描く。そこではきっと僕の背中に翼があって体の軽さに驚くのだ。現実では布団にのめり込むほど重たく沈んだ心を抱えているのに。
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#twnovel 愛情と絶望のデッドヒート。君の心の奥底をちりちりと妬いて炙っている。あの子が欲しい。あの子じゃ分からん。友情?哀情?違うよ、虚無だ。なんにもない、からっぽのあたまが取り乱す。その全てを上から見下ろして笑う劣情が君の本性、だなんて。まだ気付かないのか、愚か者め。
(「言葉レース」っていう競走を考えてたんだけど、今のところ「愛情」選手が一位でそのあとを「絶望」選手が距離をものすごい勢いで縮めつつ二位を走ってる。だけど今暫定5位の「虚無」選手が4位までの選手を悉く蹴り飛ばしてて、これもう誰が勝つかわかんないな。「友情」と「哀情」が僅差だ助けて)
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#twnovel 私の未来の為に歩む私の足の色を知っていますか。赤?いいえ。青?いいえ。黒?いいえ。無色です。もう何物にも染まっていない、可能性を秘めた色です。貴方との思い出を覆い隠すほどの絶望を、更に上書きした希望。そんな風に貴方が好きになった私はきっともうどこにも居ないのよ。
(@OdaibOt 貴方が好きになった私はきっともうどこにも居ない)
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#twnovel 雨空が悲しいくて雨は涙だと誰が決めたの?少なくとも今の私にとってこの雨は最高の喜びだった。雨宿りをしている君に会えたから。雫が垂れる前髪もそのままに私達は待っている。止まなければいいのに。君の横顔を盗み見ながら無謀な願い事。君のヘッドホンから漏れる音が心地よい。
(@OdaibOt 雨空、横顔、ヘッドホン)
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#twnovel 『この瓶にね、お月様を閉じ込めるの』そんなの無理だよと僕は言ったが君は全く相手にしなかった。1ヶ月間、空の瓶を月光に当てた最後の夜。その幸せそうな笑顔を前にしたら何も言えなかった。『で、それをどうするの』『埋めるの』
君が月明かりを埋葬した理由、今なら分かるよ。
(@OdaibOt 月明かりを埋葬)
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#twnovel 「朝起きてね、天気がいいなぁとか、朝食はトーストがいいなぁとか、洗濯しなきゃなぁとか、コンビニ行きたいなぁとか、思うじゃない?ああいう感じで、本当に軽い感じで、目が覚めて、天井を見て、あ、死にたい、って思うの。思ってしまうの。そういう自分に絶望するの。分かる?」
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#twnovel 「春には魔物がいるよ」「魔物?どんな」「私を食べてしまうの」「でも君はここに在るじゃない」「だって食べられるのは体じゃない、心なの」「心は見えないよ」「見えないから分からないだけ。私の心は毎年磨り減ってるの。そのうち死ぬのよ。あの桜の下で花を染めるのが夢だから」
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#twnovel 「可笑しいなぁ、あるはずだよなぁ」彼女は寒さに震えながら呟いた。僕で温まるといいよ。届かない声だけど呟く。君はまるで了承したかのように僕に触れる。酷く嫌悪に塗れた顔だ。僕は少しだけ傷付いた。それでも君は僕の体の隅々までひっくり返す。失われた僕の21gを探して。
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#twnovel あなたの歩く速度とわたしの歩く速度の違いを知った時に初めて予感がしていた。それはとてつもなく嫌な予感で、打ち消す為にはあなたの温度を何度でも確かめなければいけなかった。確かめても確かめても掌から零れていく温もりはとてつもなく憎らしく、わたしは少しだけ、泣いた。
#twnovel どのくらいで歩いていけば君と肩を並べていられたのか。どれだけ君の心を温めて包み込めば良かったのか。今の僕にも、未来の僕にも分からない。君という存在の難解さはいつだって僕の視界を滲ませる。何度触れたら君の心の表面だけでも掬えたのかと僕は黙って喉を震わせ続けた。




