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乗り物に乗る度に考える。車だろうが電車だろうがバスだろうが容赦なく考える。『このまま事故になれば』その他大勢を巻き込んだ無理心中じみた無責任な願い。そんな僕を無視して乗り物は安全に僕を目的地へと届ける。「有難うございました」なんて何食わぬ笑顔の僕を置いて乗り物は新たな客と走る。
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「ただの例え話だよ、聞いてくれないか。僕がある日突然消えて仕舞ったら、君に僕の持ち物全てを譲りたい。好きに持っていってくれ。ああ。要らなければ捨てても売ってもいい。その代わり僕を忘れないでいて欲しい。駄目かな?」 そんなのお易い御用だよ。だからお願い。消えないで。 #140字小説
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#twnovel あなたが与える甘い蜜に似た幸せを、惜しげも無く余す所も無くただひたすらに無心で頬張るような、そんな恍惚の中で微睡む僕を、あなたはどうして。
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私のぼろぼろで汚い痩せこけた指先にあなたが大切な宝物を扱うように触れるから、不覚にも泣きたくなって、見せられなくて、思わず振り上げた手は鋭くあなたを傷付けて、私の後悔を知ってか知らずかあなたは涙目で優しく優しく微笑んで、私は尚更一層寂しさが増すばかりなのでした。 #140字小説
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ママは孤独だ。 夫が家庭を省みるタイプであれば自分の情けなさを思い知り、非協力な夫ならば怒りと不満で膨らむ心。 外に出ればママ友、義実家、知らない爺婆に絡まれ、子供は子供でこちらの苦労など知りもしない。 実家が優しければ救われるがそんな人ばかりではない。 現代のママは孤独である。
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それは紅い花だった。醜く潰れ弾けた花。僕の愛した人と同じ服を身に付けていたが、彼女の面影はない。少し離れた所に黒い物が落ちている。目を凝らして見ると、あれはどうやら髪の毛らしかった。ふと、足元が光る。何だろう。拾い上げる。僕が贈った指輪だった。その時初めて僕は君を失ったと知った。
(#いいねの数だけ死に様を書く)
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暗い。冷たい。苦しい。そればかりが頭の中で響き渡るのに、何処か冷静な私は頭上で揺らめくカーテンのような輝きを見つめている。私はもう二度とあの柔らかい光の束には届かないのだと思うと絶望したが、そもそも希望など持ち合わせていなかった。いずれ発見される私は絶望を詰め込んだ醜い塊なのだ。
(#いいねの数だけ死に様を書く)
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彼女は僕を見下ろし微笑む。なんとも美しい微笑みだ。神々しいとさえ思える。その手の鈍い光が僕を殺すのだ。鈴の音のような声で囁く。
『愛も殺意も同じでしょう?愛してるわ、死んで頂戴』
ああ。幾らでも差し出すよ。僕如きの命で君が満足するのなら。
(@odai_bot00 愛も殺意も同じでしょう?)
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『好きだよ』口では何とでも言えるだろう。『好きだよ』辞めてくれよ、偽らないでいいんだ。『好きだよ』僕には笑いかけてもらう資格なんてないんだ。『好きだよ』声を失くしたのは僕のせいなのに。どうしてそんな風に笑うんだ。
『好きだよ』「僕もだよ」
『うそつき』の言葉は喉で絡まったまま。
(@0daib0t 好きだよ って 君がわらう、うそつき って 僕は言えない)
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#ピーターパンの日 #twnovel 大人になりたくなかった。大人になるくらいなら死んだ方がマシだった。その日私は出会った。永遠に子供の彼に。彼は誘う。僕と来ないかと。私は即答した。妖精の粉が降りかかる。窓辺に立つ。私の牢獄・高層マンションにさようなら。彼が幻だと知っていたけど。