プロローグ8
俺の中にある黒い何かが目覚めたのはすぐだった。
俺と美和以外のみんなが死んだのは実験が始まってから六年の時間が流れていた。そして六年たって生きている人は一万ちょっとぐらいになっていた。この広い世界にたった一万にしかいないので一日一日の食料調達がとても困難になっていた。
その日も俺と美和は暗い世界を駆けまわって食料を探していた。
そして俺と美和はとてつもなく大きい呪いの力を近くに感じて足を止めた。そしてその大きな呪いの力を持つ奴は俺たちのところに向かってきているのが分かった。
俺と美和は逃げようとしたが、気が付いたらそいつは俺たちのすぐ近くにまで接近していた。
そしてそいつは俺を殴った。頭がはじけ飛んだのかと錯覚するような一撃だった。あまりの衝撃に気絶もできないほどだった。だが、そのおかげで距離を取って戦闘態勢に入り相手を観察することができた。そいつは筋肉がとてもありいわゆるマッチョという感じだった。そいつの戦闘スタイルは俺と同じく呪いの力を自分と武器にまとわせるタイプだった。武器はナックルで超接近戦なので俺が前衛で美和を後衛にして攻めれば勝てると思った。
だが、あのマッチョはまだ本気を出していなかったらしく、俺たちが前衛後衛に分かれるといきなり強くなった。俺が一瞬の隙をを突かれて殴り飛ばされるとあいつは美和を狙ってきた。美和はすぐに逃げようとしたが遅かった。
その瞬間はとてもスローモーションだった。美和は逃げきれないと悟ると俺に顔を向けて泣きそうな顔で「ごめんね、お兄ちゃん」そう言った。そして次の瞬間にはあいつの腕に貫かれていた。
俺は美和がいることによって何とか形を保っていた心が壊れるのを感じた。その瞬間に俺は黒く染まった。
気が付いたら俺は美和の死体を抱いてその場に座り込んでいた。周囲にマッチョの姿を探すとあいつはバラバラにされていた。俺の刀に血がついていたので俺がやったと悟った。
俺は泣いた。一日中泣いた。そして涙が枯れるまで泣き、泣き終わると美和の死体を見た。その時、俺の中にいる黒い何かが美和を食べろとささやいている気がした。俺はもうどうでもよくなって美和を食べた。
『全てが憎いなら、すべてを壊そう。俺に任せればすべてが終わる。俺は闇だ。すべてを憎んだお前が生み出した、すべてを憎み壊す存在だ。だからすべてを壊そう。お前は眠っていればいい。起きたころにはすべてが終わってる。』
美和を食べ終わるとそんな声が聞こえた。俺は闇と俺の憎しみみ任せて眠った。
一応次から本編入ります。