プロローグ3
あの原初の悪魔が≪殺し合え≫と言葉を放つと同時にみんなはハッと顔を上げた。そして少しの間静けさがその場を支配した。そして俺たちの少し後ろから悲鳴が聞こえた。振り返ると無精髭を生やした男が女の人の首を絞めていた。そして女の人が動かなくなるとそばにいた男の人を今度は襲い始めた。
女の人が動かなくったのを見て、周りの人たちは一斉に逃げ出した。
俺たちもすぐに逃げ出した。このままじゃ、幼い俺たちが狙われることが目に見えていたから。
「もう俺らは殺し合うしかないんだよ!そうするしか俺たちに残された未来はないんだよ!」
無精ひげを生やした男はそう叫んでいた。
その叫びを聞いて数人の人が男と同じように周りの人を襲い始めた。
襲い始めた数人のうちの一人が俺たちを見つけて驚いた顔をして、そしてにやりと笑った。そして聞こえはしなかったが「ラッキー」と口が動いていた。
俺はそれを見てみんなを引き連れて人ごみに紛れるように逃げた。
十分ぐらい走り、誰もいないところに逃げ込んだ。そしてみんなに話しかけた。これからどうするべきかということと、あの原初の悪魔が話した内容の確認、今どうなっているかということを。
そしてとりあえずは誰にも見つからないように移動しようという話になった。
所詮は小学生が考えたことだ、すぐに行き詰ってしまった。食べ物がないのだ。仕方がないのでその日は何も食べずに明日考えることにした。
落ち着いて周りを見てみると、森がある。しかもこの世界はとてつもなく広そうだ。だから森に行けばすぐに食べ物も見つかると思っていた。
その日の夜にまたあの恐怖を感じる声が暗い世界に響いた。
『こんばんわ~~~。蠱毒一日目に死んだ人の数は157人よ~~~。みんなこの調子で頑張って~~~。あと、この世界には水はあるけど~~~、食料とかはないから~~~~。みんなのご飯は~~~、殺した人を食べましょうね~~~。たまにこんな風に今の状況を放送するから~~~、みんな楽しみにしていてね~~~。』
俺以外のみんなは寝ていたがあの声を聴いて起きてしまったようだ。
しかし、食料がないとなると俺たちは生きていけない。唯一の食料は俺たち人、けど小学生で幼い俺らは大人と戦っても勝てないし、そもそも人を殺せるかどうかさえわからない。仮に人を殺せたとしても殺した人食べることができるとは思えない。
そして一番の問題はこの実験で生き残ることができるのは一億人中の一人だけということだ。俺たちは最後まで生き残ったとしても友達や妹を殺さないといけなくなる。こればかりはどうしようもない。
みんなが今の話を聞いていたかをちゃんと確認して、俺らはとりあえずは森に行きそこにあると思われる水を飲もうということになった。
けど、言わなくてもみんなわかっていた。俺がさっき考えていた事を、けどあえてそれを話すことはなかった。