第五話『初日終了』
祝2000アクセス突破!一話更新毎に600ものアクセス、大感謝です!評価・感想・意見・要望なども受け付けておりますので、是非お送りくださいませ!
教室の入り口から見て、3、4、3の順に椅子が用意されていて、その目の前には大きめの白い机。それが5列並んでいる。上下2段になっている黒板の前には、これまた大きめの教卓と黒スーツのハゲSP。
―――うん、なにからなにまでおかしいよね。
まず普通の教室じゃないよね。人数から考えたら仕方ないかもだけど、自クラスの机が共用ってプライバシー無視だね完全に。中庭潰してその金こっち回せよ。
それからこの机に置いてあるノートパソコン。なにこれくれんのハゲ?つまりこのパソコン使って授業するから、ノートいらないわ教科書いらないわってこと?宿題は家にパソコン持って帰ってやれって?字書けない子供育ちますけど?
「初めまして諸君。私がこのクラスの担任、猫村繁樹です」
諸君って言うヤツ、初めて見ましたよそこのハゲ。
―――ってか、猫?!猫って顔じゃねぇだろそこのハゲ!
「かわいぃ〜!猫ちゃんじゃん?!」
おい、隣のこの年で厚化粧してサバ読んでるおばちゃんみたいな時代遅れのマンバさん。でかい目クリクリさせて血迷ったこと言ってんじゃないですよ?その潰れた鼻もっと潰してやろうか?ぁあん?
「えぇーまず、諸君の目の前にあるパソコンだが、それは一人一台ずつ、支給されるものだ。後で自宅用の充電のコードとパソコンを持ち運ぶソフトケースを配布する。学校からの入学祝いと思い、気兼ねなく受け取ってくれ」
はい、猫ハゲまたおかしなこと言ったぁ!ホントにくれると思わなかったよさすがに、うん。嬉しいけどその触り心地悪そうな頭叩いてもいいかなぁ?なぁ?!
「諸君は入学式以降、毎日そのパソコンを持って登下校してもらう。だが、数学などパソコンで授業を受けるには限界がある教科もある。そこで諸君にはノートまたはルーズリーフを用意してもらう。教科書は今日配布するが、各自用意されたロッカーに保管しておくように!尚、予習復習等を行う際に自宅に持ち帰るのは自由だが、主に登下校の際に必要なものはパソコンと筆記用具のみだ。これらを忘れた場合にはそれなりの処分があるので注意するように!」
―――なるほどね。
よくできたシステムだ。
小・中とパソコンを使う授業を取り入れる学校も多い世の中だ。
社会に出て真っ先に必要になる技術であるパソコンを徹底的に身につけさせるつもりか。
尚且つ、従来の学業レベルも保つ。
敢えて自由にさせるのは、各自の自主性と向上心を伸ばす為。つまり、面倒だから教科書を置き弁するようなヤツはついてけない、と。よく考えてるな。中退しても進学しなくても、社会で通用する技術は身につけさせておく辺り、子供のことをよく考えている。これならニートとか少なくなるかもな。ただの無駄遣いしてるアホ学校じゃないってことか。
「さて、ではロッカーの鍵と教科書、パソコンの付属品を配布する!その後、諸君には早速パソコンで簡単なテストを受けてもらう!そのテストが入ったCD-Rも配布するので、各自速やかに左隣に回せ!」
猫ハゲは言い終えると早速大量の配布物を配り始めた。
にしてもだ。
この見た目脳みそすっからかんなヤツラはホントにこの学校に受かったのか?中学からそのまま上がってきたヤツが多いかもしれんが、一般で入ったヤツもいるはずだ。一般入試はかなり難しかった。一般入試は見た感じ、がり勉君しかいなかった気がするんだが、彼らの姿はここには無い。彼らを蹴落として入学してきたのかこいつらは?そんな天才君達にはとても見えないんだが・・・
テストが終わった。内容は、入試同様の国・数・英のマークシート。パソコンで、表示された問題を次々とマウスで正しい答えの選択肢をクリックして進めていく。終わったヤツから先程配布された教科書を、教室の外に配置されたロッカーにしまって帰っていいということだった。
当然、俺の出来は上々だった。これでも一般入試でこの学校に合格したのだ。しかもマークシート形式なんて、答えが出ているテストなど、俺にとっては猫ハゲに向かって、
「おい、猫ハゲ!猫ハゲはどうして猫ハゲなんだい?・・・死ね!」
と言いながら殴りかかるのと同じくらい楽勝だ。・・・それはさすがにやらないが。
学校を後にして、今度はのんびりと歩きながら駅に迎う。ゆっくり景色を眺めると、都心の割に、木々や花々がたくさん路肩にあって、心を和ませる。美しい景色がある街で良かったと心から思う。これで三つ編みの彼女でもいたら・・・
この学校で彼女ができたことを想像してみると、脳内で、この道を隣で共に歩いているのは、頭のイカれた今日隣の席に座っていたあのマンバだった。・・・最悪な妄想をしてしまった。
電車に揺られながら、今日のことを思う。今は12時近くだから、いくら普段混む電車でも、人がまばらで座っていられる。
―――なんかホント疲れる日だったな。
慣れないことはするもんじゃないなと一瞬頭に浮かんだが、即座に打ち消す。俺は真面目な生活を夢見ていた。さすがに妄想とは違いすぎていたが、周りの環境や人々など関係ない。俺が真面目に、おとなしく生活できればそれでいい。
もうあんな思いをするのは二度と嫌だった。
地元の駅で電車から降り、今朝のことを思い出した。
―――龍也。
あいつは今朝ここで一体なにをしてた?真面目モードになっていたから、俺に気付かなかった様だが、いきなりカツアゲしてくるとは。そもそも、カツアゲなんてダサい、時代遅れなことなど俺はしたことないし、ヤツに教えたこともない。ヤツのことは詳しく知らないが、ヤツは俺のことを慕っていて、いつも勝手についてきていた。俺が嫌うことをするやつではないから、俺も敢えて突き放すことなく放っておいたが。
バイクで家に着いた所で考えを振り払う。もう俺には関係ないんだ。関わったら真面目ライフがぶち壊しだ。
玄関に入り、靴を脱いで、リビングに入る。
「あんた・・・ホントにその格好で学校行ったの?」
・・・またうるさいのが出てきた。