プロローグ
どうも、神越優です。まず初めに、この作品には主人公の設定上、ヤンキー・・・いわゆる不良を卑下するような部分が多々出てきます。決して、作者自身が不良を忌み嫌っているわけではありませんが、気分を害される方は、ご遠慮くださいませ。あくまでフィクションですので・・・ 本作品は、シリアスを書き続けてテンションガタ落ちになったのも有り、春らしく皆さんが楽しく読め、作者自身も楽しく書ける作品をと思い、書き始めました。是非、楽しくお付き合いいただけると幸いです。では、逆高校デビューをお楽しみくださいませ!
桜が咲き乱れた、三月中旬。世界で問題になっている環境問題の影響はここ日本にも及んでいて、いくらばかりか桜が咲く時期が例年よりも早くなっている。
―――こりゃぁ、入学式には桜散ってんじゃねぇか?
黒い学ランの上着に張りついた、桜の花びらを手で摘んでみる。
「悠樹さん!ご卒業おめでとうございやす!」
同じく学ランに身を包んだ少年が話し掛けてくる。少し幼さの残る顔立ちだが、堀が深く、目は大きいし鼻が高い。少し長めの茶髪の隙間から、やたらでかいピアスの穴が開いた左耳が覗いている。
「龍也・・・だっけ?」
「うっす!約束の物、いただきに来ました!」
背筋を伸ばして大きな声を張り上げる。声変わりが始まったばかりのまだ高い声は耳障りだ。
「あぁ、くれてやるよ」
鼻で笑いながら、背中に龍の刺繍の入った学ランの上着を脱いで渡してやる。昇り龍の脇には、史上最強と鬼人降臨の文字が金の刺繍で刻まれている。もう必要ないものだ。
「あざっす!光栄っす!」
「しっかりやれよ。うちはこれから狙われるからな」
一代でこの県内最強の座まで昇り詰めた福田西中学も、トップの人間が卒業した後、おそらく恨みを持った他校に一斉に襲われるだろう。卒業は避けられないから、今後はこの次期頭、龍也の手腕によって命運は決まる。少し心配だが、俺には関係ない。
―――そう、俺にはもう関係ないんだ・・・
白いYシャツに、桜の花びらがまた一つ舞い落ちた。