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それは突然だった。


実家から連絡があってすぐに帰ってこい、と。


おれはバイト先の店長に謝って、実家に戻った。


「ただいまっ」

声をかけるが返事がない。


居間に両親が並んで座っている。


「バイト中にいきなり、どうしたん?」


両親は答えず、うつむいたまま。


理由はすぐにわかった。


目の前にある布団。その中に見える人の姿。


弟だった。


おれは両親の隣に座る。

眠ってるようにしか見えない。


「……どうして」


両親は無言のまま。

信じられなかった。


「どうして死んだん!」


父親は小さく首をふった。


「いや、死んではないんだ。ただ起きないんだよ。何をしても」


そんなバカなことが……


弟の身体を揺するが、反応はない。


「無駄だ」父親が続けて話す。


「ずっと寝たままで、2日めにさすがにおかしいと思って医師にみてもらった。体にはまったく異常はないらしい。医師は最後に付け加えて、もしかしたらクラインレビン症候群かもしれない、そう話してた」


「なに、そのなんとか症候群って?」


「睡眠障害のひとつみたいで、寝てしまったらいつ起きるかわからない病気、原因もわからないらしい。

医師は、何らかの悩みやストレスがあったのかもと言っていたが、いまは本人にしかわからないな」


母親が弱々しく呟く。


「きっと何かあって現実から今は逃避したいだけ、楽しい夢の中にいたいのよ。死んでないんだもの。ただ起きるのをみんなで待っててあげましょう、冬眠してると思って……」

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