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橘響夜 7月10日 午前7時30分 渡良瀬市 私立律明学園

短くてすいません。反省します。

 翌朝。

 俺は律明学園の高等部の体育館にいた。この学校の体育館は異様に設備が整っていて、公立校の体育館とは比べ物にならなかった。特に備品が豊富で、種目を問わず競技用品が収納されていた。

 調子のいい白鳥はバスケットボールでシュート練習をしている。学生時代はバスケ部だったらしく、中々の命中率を誇っている。

 俺はそんな白鳥を尻目に、準一と一緒に体育館に生徒を含む生存者全員を集める準備をしていた。


「それにしても何でこんなに金を掛けるかね?」


「そりゃあ、名門私立だからだろ?こんなとこに通ってるお坊ちゃまお嬢様の世話をこれからしないといけないんだから、覚悟しておけ」


 準一は恨めしそうに、体育館全体を見つめた。

 俺は体育館のステージ裏に設けられている放送設備の電源を入れた。試しに基本的な声、あーと発音してみる。中々いい具合だった。


「よし、白鳥!バスケの時間は終わりだ!生徒集める準備しとけ!」


 俺は白鳥に向かって叫び、マイクに向き直った。マイクに向かって声優の如く、はきはきと発音する。


「全校生徒、今から高等部体育館にお集まりください。大事な話と、今後のことについてのお知らせがあります」


 時間的に生徒全員が起きている確証は無いが、俺たちの基準で言えばもう起きていて当たり前の時間だ。

 生徒たちはぞろぞろと体育館に入ってきた。寝起きで目を擦っている者や、元気に雑談を交わしている者もいる。やはり何処の学校にも不良系統の生徒はいるらしく髪を染めている青年や耳にピアスをした女子生徒が目に付く。

 大体の生徒が集まった頃合を見て、俺はマイクを片手にステージに上がった。


「全校生徒の皆さん。今から大切な事項をお知らせします。よく聞いて下さい。まず救助の件ですが、それは絶望的になりました」


 生徒たちが項垂れる。不良生徒は怒鳴り散らし始めた。


「ふざけんなよ!俺たちを救助するのがお前らの役目だろ!?」


 俺はその生徒を殴りつけたくなったが、抑えた。

 あくまでも俺たちの任務は暴徒の鎮圧と要所の確保であって、民間人の救助ではない。それに今、怒鳴り散らしている不良生徒を助けるためにヘリをわざわざ飛ばすのも馬鹿らしい。

 俺も大人なので、その生徒を無視して続けた。


「我々はしばらくの間、この市を出ることが出来ません。少なくとも奴らが動き回っている間は。幸い、ここは防犯システムも整っていて物資も十分にあります。我々はここを拠点とし皆さんを出来る限り保護します。何か質問がありますか?」


 生徒たちは隣同士、ざわざわと話し始める。

 その内に一人の男子生徒が手を挙げた。


「はい。そこの君」


「えーっと、救助は絶対に来ないんですか?」


「現状ではそうです。この状況が少しでも改善されれば、望みはありますが、現状では救助の望みは残念ながらゼロです」


 生徒から落胆の声が上がる。

 

「だから皆さん。出来るだけ、我々にご協力ください。全員が生きて安全地帯にたどり着けるようにこちらも全力でサポートします。これからは全員で共同生活を送ることになります」


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