逢海寛人 7月10日 午前00時27分 渡良瀬市 私立律明学園
漸く一日目が終了です。
久々にアクセス数を確認してみると、何と何と12000アクセスジャストでした。これも皆さんのお陰です!
記念に背景を黒にすることにしました!
僕らはヘタレと化した雅人を担いで、学園の敷地内へと足を踏み入れた。
学園内はそこまで荒らされた様子もなく、感染者は見当たらない。
「どうやら安全みたいだな。これで一安心だ」
怜汰が一言呟き、近くのベンチに腰を下ろした。僕も雅人を地面に置いて、休憩した。そしてもう一度、辺りを見回す。
「後は生存者がいるかどうかだな。居るといいけど……」
「おいおい、生存者が居たとしても、俺たちを受け入れてくれるかどうか分からないんだぜ。あまり楽観するなよ」
寛人は項垂れた。
怜汰の言う事はもっともだったからだ。鈴も怜汰の意見に賛同している。優香子だけが僕と同じ様に生存者の存在を希望だと思っている。
「第一、この状況で生存者を気にする奴は自分の力で生き残れない奴だ。人に頼っていたら、これから先、生きていけねぇよ」
怜汰の一言が僕の胸に突き刺さった。
「僕は人に頼っていたのかな?」
「そうよ。私だって頼ってる。でもこんな時だからこそ、私達は頼りあわなくちゃいけないんじゃないの?」
「……そうだな。みんなで協力して生き残ろうぜ」
「もちろんよ!」
優香子の返事に僕らも続いて頷いた。
僕は生き残る。
目の前で死んでいった人たちのためにも、生きなくてはいけない。
「よし、早く行こう。今日は疲れた。風呂にでも入って寝たいよ」
僕は部活から帰って来た子供のようなことを口走った。
怜汰も頷いて、力強く歩いていく。
「ねえ、アレも一応、持って行かないと……」
優香子が指差した先には雅人が伸びていた。
そろそろ目覚めるのだろうが、それまで待つつもりはない。
「仕方ねぇ、持っていくか。寛人、手伝え」
「ああ」
僕と怜汰で雅人を担ぐ。
僕達は校舎へと足を踏み入れた。
校舎内の状況は僕らの予想を大きく上回っていた。
理由は生存者だった。
まず生徒玄関に入った時点で、三人程の高校生が座り込んで話していた。
「お前等も生存者かよ」
一人の金髪のヤンキーらしき男がこちらにやって来る。怜汰が雅人を下ろし、バットで身構えた。
「待て待て、俺はお前らと喧嘩するつもりはねぇよ。俺は松下洋一、洋一と呼んでくれ。ちなみにこの学校の生徒だ。こっちのチビは下谷蓮、こっちの地味な奴は竹内亮輔だ」
蓮と呼ばれた小柄な男が笑顔で僕らに手を差し伸べてきた。怜汰がその手を握り返す。次にもう一人のシャツを出した茶髪の色男がこちらを見た。
「おい、リョウ。どうしたんだ?」
「うるせぇ。どうせ俺等は死ぬんだからよぉ、今更挨拶なんて意味ねぇよ」
「まだそんなこと言ってやがったのか?いいから来いよ」
しかし亮輔は近づこうとしない。
洋一が溜息をついた。
「あいつ、彼女と逃げてきたんだけどよ、その彼女が死んじまってな。それからずっとああいう感じだ。あんま、気にすんなよ」
僕は僕で安堵の溜息をついた。
「僕も貴方方がいい方々で安心しました。僕は逢海寛人。よろしくお願いしますね」
「俺は堺怜汰だ。怜汰と呼んでくれ」
「私は今野優香子。こっちは佐倉鈴です」
僕は最後に気絶している雅人を指差した。
「こいつは三笠雅人、ヘタレですけどあんまり苛めないでやってください」
「おう、よろしくな」
僕らは顔を互いに見合わせた。
やはり人は見かけで判断出来ない。この人たち、口は悪いけどいい人だ。僕はそう思い、顔を綻ばせた。
「言っとくけどな、中の状況はあんまり良くないぜ。俺たちも教室に嫌気が差してここで屯っていたんだからな」
「何かあるんですか?」
僕が質問すると、後ろにいた蓮が思い出したように肩を震わせた。
「着いて来いよ。いいもん見せてやるぜ」
洋一が蓮に呼びかけ、教室に向かって歩き出した。僕らもその後に着いて行くことにした。
一体、いいものとは何なのだろうか?
ご意見・ご感想などお願いします。
あと、誤字脱字などありましたらご報告お願いします。