第6話 雨の日に(2)
「『死んだ』って……、『帰ってこない』って、何なんだよ? ちゃんと説明してよっ」
「言葉通りだ、馬鹿がッ! ……ロンダなんざ……。くそッ……だから、嫌だったんだ! あんな戦場はッ!」
「な……さっきから、何言ってんだよっ! わかんないよっ!」
「……もうよせ、バーニー。ネイトを休ませてやれ」
ネイトに詰め寄ろうとしたら、ピートさんに止められた。
なんだよ……ネイトのやつ。何言ってるんだよ。
「おやっさん。リゾーリから聞いて、とりあえずこれだけ持ってきた」
「おう。すまんな」
「……ひでぇな……こりゃ……」
見張りだったジャンさんが【ロックホッパー】のパーツを持ってきた。
ネイトの機体は、左腕はもちろん他の部分もたくさん壊れてて、装甲が無くなって中がむき出しの部分もあった。
ジャンさんが、ピートさんを手伝って修理を始める。
「撤収作業は、どうだ?」
「そっちは今、リゾーリとモンテーニャがやってる。直、終わるよ。に、しても……修理できるのか? これ」
「本来なら後方に送ってオーバーホールしなきゃならんレベルだな。……だが、今はこいつだけが頼りだ。片腕でも戦えるように調整もする」
大変なことになっちゃってるみたいだ。
ネイトは――
すこし離れたところで座ったまま、動かないでいる。
なんだか、変な感じ。胸のあたりがもやもやして、落ち着かない。
「こっちは準備終わりました」
「ああ。すまんな。……っと、それからリゾーリ。すまんついでに、間接部のモーターを替えたい。持ってきてくれ」
「わかりました」
走って戻っていったリゾーリさんと入れ違いに、リーナさんもこっちに歩いてきた。
「バーニー。大丈夫……?」
「あ、うん……。ねぇ、リーナさん。一体どうなっちゃったの……?」
「……大丈夫よ。大丈夫」
……?
いきなり抱き寄せられて、びっくりしちゃったけど……。
うれしいとか、ドキドキとかよりも、さっきからのもやもやが勝って変な感じ。
~・~~・~・~~・~
「……お前らにも隊長からの命令を伝える。『フリッパー小隊は、パミール基地からR-8へ飛び、本隊と合流しろ』とさ」
ジャンさんも戻ってきて、しばらく修理をした後、ずっと黙ったままだったネイトが話し始めた。
みんな深刻そうな顔をしてるけど、ピートさんだけは顔色を変えずにもくもくと修理作業を続けてる。
「……おい」
「な……何?」
「さっきは悪かったな……。隊長たちのこと……聞きたいのは当然だ。お前らに報告する義務はオレにある」
ネイトが素直で気持ち悪い。俺に謝るなんて初めてだ。
でも。
さっきはあんなに聞きたかったのに、今は聞きたくない。どうしてかは、わからないけど……。
「……オレたちが鉱山地帯の守備隊と合流したのは、出発から二日目の朝だ。かなりの数だった。それこそ、オレたち遊軍の小隊なんか呼ぶ必要あったのかってくらいにな」
ネイトの声は落ち着いていて。
でも、やっぱりいつもとは違う、変な感じ。
「到着早々、でかい戦闘があった。楽勝だったぜ? 数こそ、こっちより上だったが、連合のパイロット共はどいつもこいつも新兵みたいな動きしてやがったからな。……だが――」
そこまで言って言葉を切ったネイトの顔が歪んだ。
悪役顔がすごいことになってる。
「三日目だ……。やつらが来て、流れが変わった。何かもかもが変わっちまった! ……くそ……思い出すだけで反吐が出る……!」
「……『やつら』って誰なんだ……?」
俺が思ってたことをリゾーリさんが聞いてくれた。
俺は……なんだか声が出なくて、ただネイトの顔を見てるしかできなくなってたから。
ネイトは、リゾーリさんを見たあとで、視線を落として言った。
「……【ウィクトーリア】だ」
なんか急にいろいろ出てきてごめんなさい(´・∞・`;)
リゾーリとジャンは、全話後書きでお話した、残留組の戦闘支援班員です(´・∞・` )
本当は、鉱山地帯での戦いの様子をネイト視点で書く予定だったんですけど、長くなるので割愛することにしました(´;∞;` )ごめんよ、ロンダ…




