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ブルーボーダーAS  夕焼け色のサンタクロース  作者: 黒舌チャウ


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第5話  雨の日に

「あーあ。ヒマだなぁ……」



 今日は朝から雨で、外で遊べない。

 せっかく作業がないのに。


 でも、雨は好き。

 んー、「雨の日の音が好き」かな?


 森の木の葉っぱに雨が当たる音と、地面やそこにできた水たまりに雨や水滴が落ちる音。

 静かで。にぎやかで。




「暇なのはいいことさ」



 雨よけのテントから外を眺めていたら、 ピートさんがカップを片手にやってきた。



「いい匂い」


「バーニーも飲むか?」


「コーヒーは苦手だよ。匂いは好きだけどさ。ピートさん、よくそんなの飲めるね」


「それが大人ってやつさ」



 ピートさんが無精ひげを指で撫でながらウインクする。



 なんかシブい。

 むむ……これが大人……。



「えー……。大人になったら、そんな苦いの飲まなきゃいけないの? やだなぁ……」


「ハッハッ! いつか、この味の良さがわかるようになる。それに、香りの良さがわかるだけでも大したもんだ」


「そうかな?」


「ああ。なかなかいい素質を持ってるぞ? 大のコーヒー党になること間違いなしだ」


「うぇぇ。いらないよ、そんな素質……」


「ハッハッ!」



 いつもの大きな声で笑った後で、ピートさんはカップを大きく傾けてコーヒーを飲んだ。



 よくあんな風に飲めるなぁ……。


 「熱々を流し込む感覚がたまらない」んだって。

 ピートさんって、実はドラゴンか何かなのかな……?




「ねぇ、ピートさん。隊長たち、いつ帰ってくるの?」


「さぁなぁ。こっちから通信を入れるわけにもいかんし、待つほかはないが……今回の任務は大がかりだからな。しばらくかかるだろう」

 


 異星人ドロッパーの占領していた「鉱山地帯」ってとこに、連合のやつらがいっぱい攻めて来るらしい。

 それで、フリッパー小隊にも「防衛任務」の命令が来て、隊長たちの【ロックホッパー】三機と、整備班と通信班、戦闘支援班からそれぞれ人を出してキャンプから出発した。


 ネイトは「集団戦にはロマンがぇ」とか、散々文句言ってたっけ。



 そんなわけで今、キャンプには、俺を合わせて五人しかいない。



 普段、寝泊まりもしていた大型の支援車両も持って行っちゃったから、俺たちはテント暮らし。

 意外と快適で嫌いじゃないけど、困ってるのはリーナさんと同じテントってこと。


 ドキドキしちゃって、あんまり眠れない。

 隊長たち、早く帰ってこないかなぁ。



「でもさぁ、ピートさん。もう一週間になるよ? 今まで、こん…………え……?」


「機動兵器の足音だな。しかし、こりゃあ……。リゾーリ! 付いてこい! ……バーニー、リーナと隠れていろ」


「う、うん。気をつけて」



 音に気づいてテントから出てきたリゾーリさんを連れて、ピートさんは森の奥へ入っていった。 



 キャンプからすこし離れて隠れていると、音はどんどん大きくなってくる。



「隊長たちが帰ってきたのかな?」


「そうだといいけど。……でも……」


「どうしたの? リーナさん」


「音が一機分なの。敵の斥候の可能性もあるけど、もし小隊うちの機体なんだとしたら……」



 声を落として話していたら、森の奥からピートさんとリゾーリさんが帰ってきた。

 ピートさんは、通信機で何か話してる。


 やっぱり隊長たちが帰ってきたんだ。



「リゾーリさん。隊長たち、帰ってきたの?」


「撤収準備だ。急げ」


「え?」



 俺たちの横を足早に通り過ぎていったリゾーリさんが、まっすぐテントのほうへ向かった。



「どうしたんだろ?」


「……バーニーは、残ってピートさんを手伝って? できる?」


「え? う、うん、もちろん」



 リーナさんも、リゾーリさんの後を追って走っていっちゃった。


 なんだか、真剣な顔だったけど……。



「変なの。あ、来た」



 近くなった機体の足音に振り返ると、【ロックホッパー】が一機、歩いてくるのが見える。


 

「本当に一機だけだ。リーナさん、すごいなぁ。……あれ?」



 近づいてきた【ロックホッパー】はボロボロで、左腕もなくなっていた。


  

 ひどい。

 どうしたんだろ? あんなにボロボロになるなんて。


 今まで何度も出撃したけど、こんなことなかったのに。




「よし。ここでいい。お疲れさん……」


「ピートさん、誰が帰ってきたの? すごくボロボロだけど」


「バーニー、水を持ってきてやってくれ」


「え? あ、うん」



 通信機で誘導してたピートさんに話しかけたら、深刻そうな声が返ってきた。


 みんな、どうしたんだろ?


 でも、あんなにボロボロなんだもん、きっと大変な戦いで、のどが乾いてるはず。急がなきゃ。




 大急ぎでボトルに水を入れて戻ったら、ちょうどネイトがコックピットから降りてくるところだった。



 なんだ、ネイトか。


 きっとヘマしてやられたんだな。 しょうがないやつ。


 やっぱり俺が三番機になるしかないか。



「はい、ネイト。水……ぅわっ!?」



 ネイトにボトルを差し出したら、すごい勢いで奪われて、すごい勢いで飲みはじめた。 



 ちょっ……そんなに、のど乾いてたの?

 あ、ねぇ、そんなにしたらボトル潰れちゃうんだけど……。

 ……むせてる。バカだなぁ。


 でも……なんだか、いつものネイトじゃないみたい……。



「もうすこしゆっくり飲みなよ。また持ってくるからさ」


「いらねぇ……」



 感じ悪い。



「……ねぇ、ネイト。隊長たちは? いつ帰ってくるの?」


「……帰ってなんか、こねぇよ」


「え? なんだよそれ。まだかかるってこと? どれくらい…」

「帰ってこねぇっつってんだろうが…ッ! 死んだんだよ! 二度と帰ってこねぇ!」



 なんだよ……それ。


 

 

パイロット以外で出撃したのは、ピート以外の整備班2人、リーナ以外の通信班2人、戦闘支援班1人です(´・∞・` )


生身のみの留守番になるので、戦闘支援班から2人がキャンプに残っています ”(´・∞・` )



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