第3話 写真
「いいぞ、バーニー。なかなかいい調子だ」
「えへへ。そうかな?」
今日は出撃がなくて、隊長に「バトリーク」に乗せてもらっていた。
すこし前から操縦の方法も教わっていて、今日も――
「うわっ……!」
「おっと」
背中のほうから伸びた隊長の手が、俺の手の上から操縦桿を握った。
大きくてゴツゴツしてる。
でも、とっさに操縦桿をつかんだはずなのに、それを握ってる俺の手はぜんぜん痛くなかった。
つい、メインモニターから目を離して隊長の手を見ていたら、計器パネルの空いたスペースに古い写真が貼ってあるのが見えた。
若い女の人と、小さな男の子。
何度も乗ったけど、今まで気づかなかったな。
「ふふ、機体制御が甘いぞ。褒めると油断するのも悪い癖だ」
「う~……ごめんなさい」
「気にするな。 バーニーは筋がいい。きっと、もっと上達するはずだ」
「ほんと!? やった! 俺、パイロットになりたいんだ!」
「そうか……」
もっといっぱい練習して、もっともっと上手くなって。
そしたら、俺も「フリッパー小隊」のパイロットになって、みんなと一緒に戦うんだ。
「なぁ、バーニー……」
「なに? 隊長」
「…………」
「隊長?」
「いや……そろそろ代わろう。また、ロンダに見つかったらまずい」
「あっ。う、うん。交代する」
この前、俺に操縦させてたのがバレて、ロンダさんにすごく怒られてた。隊長なのに。
――でも……怒ったロンダさんは怖い。
いつもと同じ無表情なのに、すごく怖いんだ。
~・~~・~・~~・~
「隊長。また、バーニーに操縦させたんですか?」
バレた。
「ま、まさかそんな。いつも頑張ってくれているバーニーの気分転換になればと……」
「そうだよ……! 今日は俺、乗せてもらっただけで操縦なんて…」
「あなたは黙ってなさい」
「……あぅ……」
怖い。
「隊長」
「わ……わかった…………白状するよ……」
「ロンダさん、隊長を叱らないでっ。俺が何度もお願いしたから隊長は…」
「バーニー」
「……はぃ……」
黙ります……。
「………………」
え?
…………あっ。向こう行ってます……。
でも、ひとりで怒られる隊長を見捨てておけなくて。
遠くに行くふりをして、こっそり隠れることにした。
「……隊長。まさか、あの子を戦場に出すおつもりですか?」
「そんなことはしないさ。ただ……なにせ、この人手不足だ。操縦できる者は、すこしでも多いに…」
「………………」
「……わかったよ。その……なんていうか…………」
「このままでは、あの子はいずれ戦場に出ます。戦場は子供のいるべき場所ではありません。保護がてら、作業の手伝いをさせるのとは訳が違います」
「わかっているさ。ただ……どうしても、ね」
「……隊長のお気持ちは理解しているつもりです。ですが……かさねるのは、あの子にとっても、隊長にとっても、良いこととは思えません」
「それも…………わかっているつもりだ……」
なんだかよくわからないけど、ロンダさんは俺が戦うことに反対みたいだ。
ふふ……。でも、実はこっそり火器管制系のマニュアルも読んで勉強してるんだ。
肝心の基本操縦が、まだまだだけど……。
がんばって練習して、勉強して、パイロットになる。
たぶん、ネイトよりは上手になれるんじゃないかな。
そしたら、俺が三番機で、ネイトが四番機だ。
あ……でも、そうなったらネイトがめんどくさいかも。
三番機は譲ってあげるか。
工学系は詳しくなくてー(´;∞;` )うわはーん
ざっくりほわーん、と想像して頂ければ(´=∞=` )




