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勝手に生きてます  作者: ねこまんまときみどりのことり


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激怒する者達

 「リオを妾(第二皇妃)にする? ふざけてんのか、色ボケ皇子は!」(byルナ)


「俺もルナに同意だ」(byケイシー)


「母として何も満足にしてやれなかったのです。不幸な結婚を強要されるくらいなら、貴族の籍を抜いて頂いて他国に逃げます!」(byナミビア)


「勿論、俺もついて行きます」(byマクレーン)


「私も第一皇子との結婚なんて、大反対よ。せっかく軌道に乗っている実力社会を戻して、威張るだけの貴族で侍ろうなんて下らない男よ。娘みたいに思っているリオちゃんを、オッサン皇子にあげるものですか!」

(byルアニート・フレンベル子爵夫人)


「俺だって反対だよ。リオと親しくしているからと圧力をかけて来るなら、タルーシアラ王国の叔父の元に亡命しても良いんだ。跡継ぎがいないと困っていたから丁度良い。だから、俺達のことなら心配しないで良いぞ」

(byオスカー・フランベル子爵)


「現役伯爵夫人の底力を見せる時かしら? 娘の嫁ぎ先も伯爵だし、レストランの行儀見習いに来る貴族の子息子女の親にも協力を得られるでしょうし。何より社交で得た私と夫の人脈、舐めて貰っては困りますわね」

(byアカザ。夫の伯爵も同意見らしい)


「私も学生時代の友人に、いろいろ話してみますわ。悪い結果にはならないでしょう」

(byテレーゼ。彼女はルアニートの母親である)


「私だって、リオは妹みたいなものですわ。何でも協力します」(byマリー)


「マリーがやる気なら、俺も協力するよ。それとも殺っちゃう?」(byカイルアン)


マリーとカイルアンは共に働くうちに、お付き合いし結婚している。因みにカイルアンからの猛アタックである。

ナミビアとマクレーンも結婚間近である。マクレーンが口髭を蓄えた瞬間、ナミビアが堕ちた。


「私が片をつけても良いぞ。まだまだ腕は鈍っておらん」

(byルメンド)




デバルム帝国の第一皇子ビヨンドからジローラムの元へ、リオを第二皇妃にしたいと親書が届けられた件で、営業終了後のレストランオルヴォワールに関係者が集い、作戦? が立てられていた。


そこにはジローラムとアルオの姿もあった。


興奮する面々にジローラムが、タルーシアラ国王の言葉を伝えた。

「みんな聞いてくれ、今から国王のお考えを伝えるから。

国王はデバルム皇帝からの申し込みではなく、一皇子からの希望であるとして、断る許可をくれた。もしそれで国への制裁があっても構わないそうだ」


その言葉にみんなが湧いた。


「意外に良い国王なのね、安心したわ」

「じゃあ、取り合えず断りましょう」等々と。



そこにルメンドが問いかけた。

「本当に大丈夫なのか、ジローラム?」


「ああ、問題ない。と言うか、何故かアイスグラウンド国王もこの件を知っていてな、無理を通すならデバルム帝国とアイスグラウンドの国境付近を警備する騎士を引っ込めると言い出したそうだ。あそこの境の森はどちらの国にも属していない、猛獣溢れる危険地帯だ。アイスグラウンドの屈強な兵が手を引けば、デバルムの兵では太刀打ち出来ないだろう」


「………それはすごいな。でもどうして、そこまでやってくれるんだ? そんなの国家も動かす規模じゃないか? 侯爵令嬢にする待遇ではないぞ」


「ああ。それは、ルナへの感謝らしい。それとライナス国王からルナへのメッセージもある。「これは勝手にやったことだから、ルナの願い事とは別だ」そうだ。ありがとうな、ルナ。これがあってタルーシアラ国王も、動きやすかったみたいだぞ」


「嘘っ! ライナス様、イカしてるね」

「本当に良い人だな」

「やっぱり、アイスグラウンドの騎士って強そう?」

「うん、ムキムキだった。それに魔法なしでも寒さに強いの。ライナス様も服の下、筋肉すごそうだった」

「ほお、一度戦ってみたいもんじゃな」

「大きな白熊とかも2人くらいで倒して、それが夕飯になるのが普通なんだって。ルメンド勝てそう?」

「あの雪と氷の大地でそんなにか? 一騎討ちでは無理そうだな」

「あと。気配の察知能力も凄いから、暗殺は無理だよ」

「ふむむ、そうか。あまり行き来がないから、油断しとったな。アイスグラウンドの騎士を呼んで、お手合わせして貰いたいものだ」



斯くして何もしないうちに、第二皇妃騒ぎは収まりを告げた。

けれどビヨンド皇子への不信感は、多くの者に刻み付けられることになったのだった。



「ああ、俺の娘。いや、ルナは凄いな。いつの間にアイスグラウンドの国王と懇意になっていたんだろう? 俺も何か出来ないか来てみたが、余計なお世話だったみたいだ。俺なんかよりもずっと、立派になったんだな」


ジローラムの隣で小さくなってまで参加したアルオを、ルナは少し見直していた。


(うん、うん。ちゃんと考えてくれているじゃない。リオはアルオさんの従妹になるもんね。それにずっと、リオを娘だと思ってきたんだもの。責任感も出てきたのね)


久しぶりに見るアルオはすっかり元気になり、キリリとした顔つきになっていた。少し目元が、自分に似ている気がする。


ルナとリオは似ているが、やっぱり所々違うのだ。


(ああ。顔だけは似ているのに、やっぱり私とは縁が薄いのね)

思えばアルオがルナとリオを間違えた時点で、一度縁は切れたのかもしれない。

自分から切ったつもりの縁なのに、何故か寂しく思うルナなのだった。




◇◇◇

リオの結婚騒ぎには、タルーシアラ国王の農家さん達もカトレイヤ造園商会も怒りをあげていた。ルナと共にリオも頻繁に訪問していたので、すっかり仲良くなっていたからだ。


特にデバルム帝国に支店があるカトレイヤ造園商会は、タルーシアラ国王を下に見るなら、20ある店舗を全て撤退させると半ば脅迫していた。

既にデバルム帝国に浸透している大企業が撤退すれば、各方面からどんなクレームが来るかも解らない。


それと共に、タルーシアラ王国の美味しい果物や加工品直売店も、若い娘を妾(第二皇妃)に無理強いするような国は危険なので、取り引きを縮小・撤退も考えていると市井で噂が立ち始めた。タルーシアラ王国の肥沃な食べ物は何を食べても美味しいが、特にデザートや菓子類が絶品である。それが食べられなくなるのは辛い。


第二皇子ユガットは、前面に立つより影で暗躍するのを好む腹黒である。ビヨンドのある程度の我が儘くらいは見逃しながら、傀儡として操ろうと思っていたのはとんだ失敗であった。しっぺ返しが酷い。


最早、腹を括るしかないユガットだ。


「あー、もう。何なのさ、リオルナリーって。

アイスグラウンドまで巻き込んで脅してくるなんて。

もうビヨンドを引っ込めなきゃ、他国に示しがつかないじゃん。面倒くさいから、皇太子になんてなりたくなかったのに! クソッ」


部屋の中で喚く彼に、いつもの品行方正さは微塵もなかった。もっと情報収集をしておけば良かったのに。たかが侯爵令嬢と舐めたのが運のツキだった。


ただ、デバルム皇帝は安堵していた。

ユガットが皇太子になることを決め、やっと折り合いがついたと。父親である皇帝も、ビヨンドが皇太子になるのを懸念してのだ。


こうして何とか決着がついた頃、ルナからリオに手紙が届いた。


「リオに、デバルム帝国の第二夫人になれと打診が来たけど、断っておくから心配しないで」と言う内容だ。



リオは頭を横に曲げ、叫んだ。

「何だこりゃあ!」


いつも静かめなリオの叫びに、ナジェールがビックリしたのは言うまでもない。



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