13才になりました
11/5 10時 誤字報告ありがとうございました。
大変助かります(*^^*)
「仕方ないな、貴族は学園に行くのが義務だから。メイドを連れて寮に入るが良い」
「ありがとうございます。侯爵様」
「ふん、嫌みか? くだらない奴め」
「とんでもないことです。では失礼します」
リオからすれば、アルオは形式上? は異母兄で、実際は従兄だ。お父様なんて、言いたくもなかった。
あれからも色々なことがあったが、リオとリオルナリーは無事に13才となり、学園へ通うことになった。
リオはリオルナリーと共に学び、立派な淑女となっていた。リオルナリーもリオと学んだり、メイドを頑張った。
ただリオはリオルナリーとして学園に入れる。
だがリオルナリーは、ルナ・マンダリンとしての設定上では20才になる為、一緒に学舎には入れないことになる。
そこでランドバーグは、平民の諜報員をルナ・マンダリンとして潜入させ、リオルナリーをルナ・キルスタン子爵令嬢として入学させた。
リオルナリーの祖父母となるキルスタン子爵夫妻は、彼女が孫であった現実に喜び、ルナ・マンダリン男爵令嬢を正式に養女として迎え入れた。
そして彼女は『ルナ・キルスタン子爵令嬢』となったのだ。
彼女はランドバーグにより、7才時点で既にルナ・マンダリン男爵令嬢の籍を持っていたので、その籍を移すことになる。
彼女の仮の両親は、遠い田舎に住む穏やかな老人達だった。ランドバーグの依頼によりリオルナリーの境遇に同情した彼らは、一人娘として戸籍を弄ることに同意し、(6年前に)ルナ・マンダリンは14才として誕生していた。その後彼らは天寿を全うし、マンダリン男爵を継ぐ者がいないとして、数年前に国に爵位を返している。
その後に国に提出されているルナの年齢を改竄し、本当の年齢で元男爵令嬢として子爵家に入ったのだ。
茶髪のウイッグを外し黄色の髪を隠さず、認識阻害眼鏡だけは着用しているが、前髪も眉で切り揃えた。
リオは眼鏡をしていないが、黄色い髪の二人が並ぶとまるで姉妹のようだ。
彼女達はリオルナリーの背丈が伸びるまでは、立場を入れ替えていろんな状況を経験した。さすがに身長差が10cmを越えると無理になったが。
そんな感じでいつも一緒だった2人は、学園でやっと対等な立場の友人になれたのだ。
リオ付き役のルナ・マンダリンは、デュマ・ララン(24才)が熟すことになった。ランドバーグの依頼で、学園で虐めがないか調査するついでだそう。丁度良かったみたい。
リオもリオルナリーも、自分のことを自分で出来る為、デュマはリオルナリー(ルナ・キルスタン)用の個室を使い、リオとリオルナリーが同室になり生活することになった。
「私の方がお姉様みたいね。15cmくらい背が高いもの」
「私だって大きくなるわよ。まだ成長期だもの」
「そうかな? ナミビアはあまり大きくないから、どうかしらね」
「もう、意地悪なルナ」
「怒った顔も可愛いわね」
「もう、すぐからかうんだから」
黄色い髪のでこぼこコンビは、いつも仲良しだ。
アンナの奮闘でかなり高度な教育を受けた2人は、いつも成績が良く、放課後は毎日レストラン『オルヴォワール』へ向かう。
リオが学園の寮に入った際に、ナミビアは侯爵家のメイドを辞めた。アルオも周囲の使用人達も、彼女はリオルナリーの専属メイドのように思っていたから、あっさりそれを受け入れた。メイド長のカロンは、別に辞めなくても良いのではないかと声をかけるも、一息つきたいと思いますのでと微笑んで去って行った。
「さあ、頑張るわ! リオの為に」
この時ナミビアは、レストラン横の空き家を改装して服飾店をオープンしていた。レストランに置いて貰った服の評判が良く、オーダーメイドを依頼する人も多くいたからだ。それがなくとも、『オルヴァワール』の執事と侍女・メイド用の制服も定期的に依頼されていた。
今までリオとの逃亡資金として貯めたお金を、空き家の購入に当てた。少し年季は入っているものの、3階建てのちんまりした家だったから、金貨20枚で手に入れる事が出来た。レストランのオーナーと懇意にしていることで、身元も保証されたのだと言う。
定期的な収入を得たナミビアは、既に仕事を抱えてメイドをしている時間が惜しまれていた。更にリオルナリーがナミビアの店に投資したことで、売り上げの1割は彼女に入るが、彼女の他の投資先からの制服やら作業着などの依頼がひっきりなしに来る状態になった。
そこで彼女は自分と同じような母子を雇い入れ、託児所を店の2階に作り、乳母も雇い入れた。これはリオルナリーやリオと相談して計画した。3階は住居になるが、リオは寮に入るので賑やかな方が良いからだ。
リオルナリーが軽く投資した食べ物関係の投資先は、彼女が視察して、レストランやランドバーグ伯爵領と提携し、余り物を出さないことで収益が上がった。2、3箇所の離れた農家を援助していることで、何処かが不作でも補うことも出来たのだ。それに海外の珍しい野菜も育て始め、食の革命も起きている。その野菜の品揃えに他国の料理人も、その地に移住してくる程だ。農地周辺への観光客も増えているらしい。
カトレイヤ造園商会も、ピュアオイルや香水の製造まで手掛けるようになった。花や樹木の品種改良も進み、第一線で活躍中である。
そんな感じで、リオルナリーの投資金はうなぎ登りであった。
◇◇◇
「ただいま。お腹すいたよ」
「ただいま。お邪魔します」
学園を終えたリオルナリーとリオは、オルヴァワールの裏口に入り空腹を訴えた。
「もう、二人でご飯くらい作れるでしょ?」
呆れる料理人ナジェルダさんに声を揃えて言う。
「「だって、ナジェルダさんのビーフシチューが美味しすぎるんだもん」」
「そ、そうか? じゃあ仕方ないな。チビ達と仲良く食べろよ」
「「はい!!!」」
今では料理人も増えたオルヴァワールだが、忙しさは変わらない。夜間営業に加え、ナミビア服飾店の従業員達の食事も提供しているからだ。それはオーナーのリオルナリーの指示なので、手を抜くことはない。
ゆっくりとした、いつもと違う時間を感じて貰えると言う理念は変わらず、ルメンドやアカザ、テレーゼ、マリーに教育された従業員が、背筋を伸ばし配膳している。
アカザ自身が現伯爵夫人であり、教育の一環として協力していると言えば、周囲の視線は好意的になった。実際に彼女の同僚は元侯爵家の使用人であり、自分達も満足出来る食事場所を作りたいと言うのだから。
マナー一つにしても洗練され、流れる音楽も心地好く、しかも料理が美味しくデザートも絶品なのだ。
行儀見習いがてらにアルバイトに来る、貴族の給仕係も多くなった。その分古参がバックヤードで見守ることも増えたが、お客様を見かけで分け隔てしないことだけは徹底させた。
「大事なお金を支払って、この店を選んでくれたことに感謝しないといけない」
そう教育していった。
中にはマナーがなっていない、横柄な客も現れるが、その際は丁重に帰って頂いた。
カイルアンやルメンド、女性の中ではマリーの体術はキレキレである。アカザの伯爵夫人の名前で怯まなくても、マリーが「申し訳ありませんが、お帰り願いますね」と言って見えないように急所を突きつつ押しながら、玄関に送り出して閉める動作は圧巻である。
一度出てしまえば、恥ずかしくて再び入れないだろう。
闇討ちのように狙われることがあっても、「キャー、助けて」と声をあげたり、誰にも見られていなければ腹部を殴打して撃退した。そのことで訴えると言ってくれば、ランドバーグが出て綿密に調査した後に、理論で撃退するのだ。そしてまだ報復に出るような貴族には、強行手段として貴族家の汚職をつつき、かなりの罰金を払うように仕向け、余計なことを出来なくさせた。
まあそんなことで、レストラン関係の秩序は守られていく。
◇◇◇
夕食を食べたリオとリオルナリーは、寮に戻って学習を続ける。学園の授業部分は既にアンナに学んでいた為、外国語を懸命に習得しようとしていた。
テレーゼは、隣国デバルム帝国の元伯爵令嬢だ。
2人は授業が終わるとオルヴァワールに行き、彼女からデバルム語を学ぶ。そして食事をして寮に戻るのだ。
共に学ぶ学友達にも、2人が帝国に興味があり語学を学んでいることを話していた。関わる時間は少ないが、真剣な彼女達に眩しい目を向ける学生達は多かった。意地悪を言う者も勿論いたが、侯爵家でニクスに鍛えられた2人にはそよ風だった。
閉鎖的な侯爵家にいた2人には、学園は楽園のように思えた。好きに友と語らい、好きな人達といつでも会えて話せるのだから。時に、ランドバーグやキルスタン子爵夫妻もオルヴァワールの2階に訪れ、リオルナリーとゆっくりとした時間を持つのだった。
彼女達の幸福の裏で、アルオやニクスには辛い現実が突きつけられていた。
9/12 8時 誤字報告ありがとうございます。
大変助かります(*^^*)




