表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勝手に生きてます  作者: ねこまんまときみどりのことり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/56

今後の対応 その1

 「急に呼び出して済まないな。各々に関わる事実が明らかになり、みんなで相談したいと思ってな」


ここは休日の『オルヴォワール』

リオルナリーのレストランだ。



仕切るのはホッテムズ伯爵家当主。ランドバーグ(45才)。

騎士団長を度々輩出する、鍛えられし騎士が多い領地の当主に相応しく、細身に見えるのに上着を脱げばすごい筋肉の持ち主だ。ストレスが溜まると、今でも現役騎士との打ち合いに参加し、負けなしの屈強男である。

気晴らしで参加される方は、堪ったものではないが。


今回、関係者を集わせたのには理由があった。



集められたのは、リオルナリー、リオ、ナミビア、

リオルナリーの事情を知るルメンド、テレーゼ、アカザ、マリー、カイルアン。あまり関わりが多くなかったナジェルダには、多くを知ることで彼に危険が伴うと思い、一旦秘密にしておくことにした。


そして諜報員のケイシーとロザンナも、姿を公にしてここに現れた。



初めて顔を会わすものもいるだろう。

そう言ってランドバーグは、ケイシーとロザンナをみんなに紹介した。

立ち上がり、礼をして名乗る2人は、余計なことは口にせず着席する。主の言葉を遮らせない配慮だろう。


「この2人は、私の部下なのだ。今までも侯爵家のことを調べて貰っていたんだ。リオルナリーはケイシーを知っているだろう?」


諜報員とは言わず、部下で押し通す。ルメンドやテレーゼは何となくその正体に気づいてはいたが。


「うん。料理人のケイシーよ。いつも美味しいものを作ってくれるのよ、伯爵様」

屈託なく話す彼女(リオルナリー)に、ランドバーグは寂しげな顔をする。


「リオルナリー、伯爵様はよしてくれよ。ここではランドバーグでも爺様とでも呼んでおくれ」


微笑むランドバーグに、慌てるリオルナリー。

「いやいや、爺様なんてとんでもないし。メイドがランドバーグ様と呼ぶのは不敬ですよ。勘弁してください」


「この場でなら問題はないだろう?」

食い下がるランドバーグに、リオルナリーが折れた。


「では、以前と同じように、ランドバーグ伯父様とお呼びしていいですか?」

「まあ、今はそれで良いか。はははっ」


久しぶりに呼びかけると、何だか照れ臭くなる。今まで表面上は、仕事の出来るメイド、ルナを演じて来たつもりだったから。何となく慣れないのだ。

逆にランドバーグはご満悦だ。


でもここで戸惑うと話が進まないので、 “もう、仕方ない” と割りきったリオルナリーだ。

(もしかして、わざと? わからないや)



ナミビアは驚愕する。

この時彼女は極度の緊張で、ルナのことをリオルナリーだと呼ぶランドバーグの言葉が聞こえていなかった。


(伯爵がルナの伯父様? どう言うことなの? もしかして寄り親なのかしら? そんなに懇意だと知らずに、私ったらルメンド様のこととか、無理矢理いろいろ頼んでしまったわ。もしかしたら、断罪されるのかしら? どうしよう。せめて、リオだけは助けて貰わなきゃ)


なんて見当外れのことを考えていたナミビアだが、その後とんでもない情報が多過ぎて、さらに混乱するのだった。



まずは直後に、リオルナリーのことに気づいたリオは、ナミビアと顔を合わせてフリーズし、リオのメイドをさせたことや代わりに受けていた教育のことを謝り通した。しかし、 “知ってたから問題ないよ。逆にごめんね” と軽く言われたのは言うまでもない。



◇◇◇

「ずっと調べていたことに、やっと答えが出た。アラキュリ侯爵夫人アメリア。彼女はダニーラル・ウィスラル公爵の第二夫人の子だ。第二夫人は子爵令嬢だと言うことで、かなり肩身の狭い思いをしていたらしい。その娘アメリアもな。


結婚前に、彼女が多くの男と噂になっていたのは、知る者は知っていただろう?

それはダニーラルの指示で、アメリアが対象に近づいて油断させ、酔わせて情報を聞き出したり醜聞を握ることを繰り返していたようだ。


彼女は母と同じピンクブロンドの髪と、水色の瞳を持つ美しい容姿をしていたから、声をかけられた男はたいがいが靡いた。そうやって利用されても男達は、こんなに美しい悪女なら仕方がないと言って侍っていたが、ジローラムは別だった。


既にジローラムには、フローラと言う最愛がいたからだ。


ダニーラルはそれでも、アラキュリ侯爵家の主導する新区画への鉄道開発事業の参入を果たしたいと思っていた。鉄道周辺区画の土地の開発には、莫大な利益が絡むからだ。


だからダニーラルは、アラキュリ侯爵家が他にも経営する他国との貿易事業に目をつけ、乗組員達を金で買収した。彼らの1年分の賃金を全員に渡して、他国へ移住して貰う約束をさせた。

乗っていた貨物は船を沈める前に、別の船に移動させて公爵家で売りさばいたらしい。


そして侯爵家が他国から取り寄せるように依頼していた、胡椒やターメリック、ナツメグなどの調味料となる食材も沈んだことになり、依頼料として預かった資金の返金が出来なくなった侯爵家。仕入れられない時の違約金は2倍となっていたからだ。従業員の家族への見舞金や船の引き上げ金など、他にも資金は必要だった。それからの後侯爵は、公爵家(ダニーラル)の差しのべる資金援助の手を取るしかなかったのだ。



そこに出された条件が、アメリアとジローラムの結婚だった。家族に頭を下げられて、アメリアとの結婚を願われるも、到底納得など出来ない(ジローラム)。だがその間にフローラは襲撃され、遠方へ逃げていた。行方不明になった件はその後の話だ。

そしてジローラムは、全てを諦めてアメリアと結婚した。


ダニーラルはフローラが戻ってこなければそれで良いと思って放置した。たぶん油断があったんだな。結婚前に彼女が妊娠していた可能性なんて失念していたようだ。


そして逃げた先の教会で、フローラはイッミリーを産んだのだ。

フローラはイッミリーが公爵家から見つからないようにする為、世話になったシスターに身元を明かさないで欲しいと頼んだ。そのシスターも秘密を守り続けて来たが、天寿を全うしそうに弱くなり、その重圧に堪えられなくなったようだ。


どうして俺が知ったのかと言えば、そのシスターが俺にそのことを書いた手紙をくれたからだ。ただ彼女は周囲には漏らしていないそうだ。だからこの情報を知っているのは、俺とここにいる貴方達だけだ。



そしてイッミリーを養女にしてくれたキルスタン伯爵家は、元はキルスタン子爵家だ。思ったよりも大事になったフローラの行方不明事件を黙らせる為に、ダニーラルが適当な話を国王にでっち上げて話し、伯爵へと陞爵させたのだ。


それにより収入が増えて、滞っていた資金繰りが出来るようになった。

フローラの気持ちなどを考えない対応に憤りはあれど、王命として報奨を受け取れば、もう何も言えなかったそうだ。


だからリオルナリー、お前は本当にキルスタン伯爵と血縁のある孫なのだよ」



信用出来る者はいても、血縁などいない孤独な存在だと思っていたリオルナリー。


「ほ、本当に? 血が繋がってるの? お祖父様とお祖母様と! うわあぁぁぁん、嬉しいよぉ」


心の底から安堵してその幸福を喜ぶ姿に、貰い泣きしそうな一同。



でも……………

イッミリーがジローラムの娘なら、アルオと異母兄妹になるのではないか?


それが脳裏に過るが、ランドバーグは続ける。


「アルオはジローラムの息子ではない。彼の双子の弟グリーニーとアメリアの息子だ。アメリアはダニーラルの指示で、侯爵家の簒奪を目論んだことが判明した」




次々と新たな事実が明かされ、戸惑うリオルナリー達。



そして、その後も深刻な話は続けられるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ