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勝手に生きてます  作者: ねこまんまときみどりのことり


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17/56

見つかった内職

9/24  15時 誤字報告ありがとうございました。

大変助かります(*^^*)

 「あ~あ。せっかく会えたのに、殆ど寝ちゃってたよ。まあ、次の休みも会えるから良いけどさ。それにしても、ご飯美味しかったなぁ」


「ホホッ。良かったですな、お嬢様。今度は私が鴨を狩って、新鮮なテリーヌでも作りますぞ」


「本当に。私、テリーヌ大好きなの。楽しみだよ、ルメンド」

「期待してくれて良いですぞ」

「わーい。ヤッター♪」


暗くなった帰り道をルメンドに護衛され、楽しげに歩くリオルナリー。




◇◇◇

みんなと再会した日。

すっかり熟睡したリオルナリーは、夕食の時間になって起こされた。材料を買い揃え、リオルナリーの好物であるオムライスとオニオンスープを作ってくれたのだ。


リオルナリーが寝ている時に掃除し、テーブルの移動をして、何となくレストランの雰囲気が出来ていた。


リオルナリーの縫ったテーブルクロスでテーブルを覆い、椅子は家中のものをかき集めて座る。


笑顔に包まれた夕食は、近況や今後の計画について話し合いをすることで、瞬く間に終わりの時間になっていた。




◇◇◇

朝早くに来たリオルナリーは、話すうちに午前10時頃に寝落ちし、午後7時まで寝ていた。彼女は一度寝れば、なかなかに起きない性質だ。


その間に売り物だった絨毯や布など、店にある商品を奥の部屋へ運び、掃除をして家具の移動をしたのだ。


何しろ時間があったので、もう大掃除を開始した。天井から煤を叩き、ホウキで掃き、水ぶきで汚れを拭き取る。毎日タビーが綺麗に掃除していたので、店内は清潔だった。彼女では手が届かなかった場所の煤を払い、売り物を退けた後の埃がある程度だ。


なのでベテラン侍女テレーゼと、ベテランメイドアカザは余裕で素早く掃除を終える。床のワックス塗りも完璧だ。寝室以外の窓を全て開け換気を行い、ワックス乾燥後に家令ルメンドと従僕カイルアンが家具の配置を整えていく。

 ワックス乾燥までは古い家の外壁などを確認し、補修工事・ペンキ塗りをするチームと、調理チームに別れて行動開始となる。


一番始めにワックス塗りをして乾いた台所を、テレーゼとアカザは入念にチェックする。

食器や調理具の数の確認などをしていたのだ。

客用の物は豪華な食器を購入する予定だが、日常的に此処で使うならあるもので良いからだ。ただし6名で使うなら若干不足感は否めない。


「家から持ってこようかしら?」

「伯爵家のじゃだめでしょ? 私の家から持って来るわ。娘がいた頃の使ってない物がたくさんあるから。まあそれも、ホッテムズ伯爵からの貰い物なのだけどね。お嬢様が使うなら、文句はないでしょ?」

「そうね、それなら丁度良さそう」

「ちょっと行ってくるわね」

「お願いするわ」


テレーゼが出かけている間に、台所の動線を考えていたアカザ。客用の食器を置く棚や料理を置くテーブルをどう置くか。幸い棚は、この店で商品展示用の物がたくさんあったので、それを使うことにする。


若い時に貧しさを経験しているアカザは、リオルナリー同様無駄を良しとしない。今でこそ伯爵夫人であるも、元子爵令嬢の四女だ。美しさだけで伯爵夫人になったとやっかまれたが、それは違うのだ。

 貧乏で美しい娘なんて、高位貴族の令嬢にどれだけ苛められたか、さらに高位の令息にだって言い寄られて逃げ回っていたのだ。乱暴に腕を掴まれて、空き教室に連れ込まれそうにもなったし。


そこで彼女はホッテムズ伯爵領の特殊訓練に参加したのだ。気配絶ちと、護身コース。手伝いにより割引、無料コースで。


親に心配をかけたくない彼女は、バイトと言って訓練に参加する。そこで給仕したり掃除をしながら、護身術を学んだのだ。


通常ホッテムズ伯爵領で、そんな珍妙な訓練などはしていない。初恋である彼女の境遇に胸を痛めていた、プリオン・アリアーノ伯爵令息が適当に話を作り、彼女を隣にある伯爵領に招いたのだ。ここ(ホッテムズ伯爵領)は騎士団長も輩出される名門だから、疑う余地がなかったアカザ。


もうしょうがないから、ランドバーグも仕方なく女騎士に指導を頼んだ。

そしてプリオンとアカザは、共に訓練に参加し距離を縮めていくことで結婚に漕ぎ着けたのだ。


ちなみにプリオンは、ランドバーグ・ホッテムズ伯爵の従弟であるが、諜報活動とは無縁の家だった。


そんなこんなでランドバーグに恋のキューピッドをさせたので、今でも頭は上がらないプリオン。でもそれ以上に幸福を得た彼。


それを知らないアカザだが、護身術はなかなかのもので、気配絶ちも見事なものだ。彼女は経験上必要性を感じ、この2つを子供達に仕込んだ。


「面倒くさい人物に会いそうになったら、物陰に隠れて気配を消すのよ。危険人物に会って逃げられない時は、急所攻撃よ。わかったわね」

「「「はい。お母様!」」」


そうやって育った3人の子供達は、母と同じ美貌を持つが人に絡まれず生きている。時に護身術でか弱い女子を助けるので、女子の好感度も良いそう。


でも……………

その弊害? で娘達は、自分より弱き者とは結婚は無理と言って、騎士になってしまった。姉の方は幾つかある騎士団の一つで副団長に、妹は騎士団医となり衛生兵を指揮している。血なんて見慣れたものである。そして彼女らの夫もまた騎士団関係者だ。


兄より強い職業夫人妹の出来上がりである。


そんな訳でアカザは、リオルナリーがもう少し成長したら護身術を学んで貰おうと考えていた。だが、リオルナリーの鍛え抜かれた肉体は、服の上からはわからないが既にカチカチである。


彼女(アカザ)は、リオルナリーを騎士にしたい訳ではない。けれどその実績に周囲の者は複雑だ。


「俺は娘をそんなに強くしなくて良いんだ。普通に生きてくれれば!」

アカザの息子ダルティンは、妹達に憧れを持つ娘に警戒していた。

(我が娘は筋肉を付けなくて良いから。護衛に守って貰うから、そっとしておいてくれ)


まあ平和の陰には、いろいろドラマがあるようだ。




そして、マリーは主に買い出しに出かけた。

ペンキや頼まれた食材を仕入れに行く、外回りである。



そんなこんなで各自バタバタと忙しく動き、夕食を食べて本日はお開きとなった。



帰る際に家を見ると茶色の壁と屋根の家が、白い壁と赤い屋根に真新しく塗られドキドキする。

(本当に自分の店になるんだ。それも1日でこんなに変わるなんて、凄すぎるよ! 可愛い色味だし)




◇◇◇

使用人棟に戻る際、微笑んでルメンドと歩いていた姿を使用人のナミビアに見られた。いつもならスルーな彼女が、私に声をかけてくる。


「あのね、ルナ。ルメンド様とどういう関係なのかしら?」

「へっ? ナミビアはルメンドを知っているの?」


うんうんうんうんと、何度も首を振り、以前に侯爵家に勤めていたと話す彼女。彼女は侯爵家当主ジローラムのファンだったけど、ルメンドのことも好きだったと言うのだ。


「あれから7年経ったルメンド様。当時より渋さが増していました。お素敵です」


熱っぽい顔で力説する彼女は、いつもの大人しい感じとは違い、イキイキとしていた。ああ、ファンと言うのは本当なのだろう。確かにルメンドは格好良いしね。


身ばれしないように考えたリオルナリーは、彼に頼まれた服を内職として作っていると答えた。以前に此処に勤めていた侍女の紹介なので、ルメンドは雇い主的な関係だと伝える。

この世界では各々の給料に差もある為、休日に内職することは自由に許されていた。


「その内職、私も参加できないかな?」

「えっ。それはどうだろ? もう参加者は決まっているし」

「お願い、ルナ。薄給でも構わないから。なんなら無給でも」

「ええっ。そんなこと言われても」

「聞くだけ聞いてみて。お願い」


あまり熱心過ぎて、断れなかったリオルナリー。

彼女はまだ知らない。

ジローラムとナミビアが不倫して、侯爵家を追い出された事実を。その2人の子がリオだと言うことを。


今後、彼女とルメンドが出会うことで、見えない歯車が回り出すのだった。




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