第二十話 市場の屋台での朝食
翌朝、私は昨日と同じ時間に起きて魔法の訓練と冒険者ギルドに向かいます。
午後は新人冒険者向けの講習の補助をしないといけないので、午前中を使って薬草採取をする予定です。
因みに、朝食は昨日ブライアンさんに教えて貰った市場の屋台で食べます。
「あれ? 薬草採取の依頼書がないよ」
冒険者ギルドに着いて依頼掲示板に向かったが、何故か薬草採取の依頼書がなかった。
うーんどこにあるのだろうかとグミちゃんと一緒に探したら、依頼掲示板の隣りにある常設掲示板ってところに紙が張り出してあった。
「なになに? 『この掲示板の依頼を受けたい場合は、受付で申し出て下さい』って書いてある。と言うことは、受付に申し出れば良いんだ」
他にも、幾つかの依頼が常設依頼として掲示してあった。
どれも初心者が行うような依頼で、街の清掃や特定の魔物の討伐も張り出されていた。
なにはともあれ、まずは受付で色々と聞いてみよう。
私は沢山の人が並んでいる列の後ろについて、周りを見回しました。
「やっぱり、朝だから沢山の人が依頼書を持って並んでいるね」
列に並んでいる冒険者が自分にあった依頼書を持っているけど、こういうのは早い者順なんだ。
どんな依頼が多いのか、今度時間があった時に見てみよう。
そうこうしている内に、私の順番になりました。
「おはようございます、薬草採取の依頼を受けたいのですが」
「畏まりました。では、冒険者カードの提出をお願いします」
私は、受付のお姉さんに冒険者カードを手渡します。
受付のお姉さんは、私から受け取った冒険者カードを魔導具に通してカタカタと処理を行います。
「受付が完了しました。マイさんは午後に指名依頼がありますので、早めに冒険者ギルドに戻ってきて下さい」
「分かりました」
「薬草採取の際に倒した動物や魔物は、薬草と共に提出して下さい」
そっか、薬草を採るために森に入るから、何かしらの動物や魔物が出てくるかもしれない。
私は受付のお姉さんの注意を肝に銘じて、冒険者ギルドを後にしました。
「探索魔法とか出来たら、直ぐに周囲の状況が分かるよね」
私は、街を歩きながらグミちゃんと周囲の確認方法について話しました。
探索魔法ってものがあるのは朝の訓練の時にグミちゃんに教えて貰ったけど、私の魔法の技量じゃまだ探索魔法は使えません。
その代わりに、直感というか武道をしていたからなのか人よりも勘が鋭いらしいです。
グミちゃんも周囲の状況が分かるそうなので、私の勘と共に二段階で対応します。
でも腹が減っては戦はできないので、ここは美味しい朝食を食べましょう。
ということで、良い匂いのする市場に無事に到着しました。
どの屋台もとても美味しそうな予感がするけど、ちょっとボリュームがある。
まあ、残しても魔法袋に入れておいて後で食べればいいやと考える事にした。
私は、お肉を野菜とパンではさんだ惣菜パンを売っているお店に並んだ。
「いらっしゃい、一つでいいかい?」
「えっと、二つ下さい」
「あいよ、ちょっとまちな」
愛想の良いおっちゃんにお金を渡して、私とグミちゃんの分の惣菜パンを買います。
さてさて、味はどうかな?
私は、歩きながら味を楽しみます。
「うん、ちょっと濃いめの味付けのお肉に、野菜とパンがよく合う。ジュースも良い感じだね」
別の屋台でフルーツジュースを頼んで、グミちゃんと共に惣菜パンを食べます。
私的には当たりの味付けで、グミちゃんも満足そうに惣菜パンを食べています。
量が多いかなと思ったけど、あっという間に完食しちゃいました。
「思ったよりも、ずっと美味しかったね。明日は、別の屋台で売っている朝食を食べてみようか」
防壁の門で外に出る手続きをして近くの森に向かう途中、私はグミちゃんと明日の朝食について話していました。
グミちゃんは、もう少しボリュームがあっても大丈夫みたいです。
美味しい朝食を食べる為に、頑張ってお金を稼がないと。
そのためには、沢山の薬草を採らないといけないね。
街から街道沿いに歩く事五分、私とグミちゃんは目的の森に到着しました。




