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8話 青の石版

「ねぇ、もしかしてだけど君もチュートリアル2回やってる?」


「は、はい」


「やっぱりそうなんだ。私は魔法使いのチュートリアルを2回やって、魔法スキルをレベル100にした報酬で熟練魔法使いの指輪っていうのをもらったの。このアイテムはオープンベータ版にはなかったアイテムだけど、敵がノンアクティブになる熟練生産者の指輪については知っていたから、もしかしてって思ったんだよね」


熟練魔法使いの指輪はたしかに聞いた事がないアイテムだ。


「熟練魔法使いの指輪ってどんな効果があるんですか?」


「えっ、聞きたいの?」


ボクにグイッと近づいてくる。綺麗なお姉さんからいい匂いがする。


「どうしようかな。タダで教えてもあげてもいいけど、そのかわりに君の事を教えてくれない」


えっ、こんな事言われたの初めてでどうしたらいいのかわからないよ。ボクの事知りたいなんて、この人何考えてるんだろ。


「あっ、誤解しないでね。生産職の人がなんでモノリスのところにいるのかなって思ってさ」


あっ、そっちか。


「青の石版を探して、ここに来ました」


「青の石版?あっ、そういえばなんかそういうのもあったね。あれ?でも生産職の人が1番始めにするのってブループラチナメタルの採取じゃなかったっけ?」


あっ、ヤベ、なんかバレそう。


「ここにいるって事はもうブループラチナメタルを採取したって事なんだよね。で次のブルーアイズホワイトタイガーの目もゲット出来たから、次の青の石版を求めて、今ここにいるって感じ?」


全部バレてるよ……


「はい、そうです」


「へー、やっぱそうなんだ。君、見た目と違って案外すごいんだね」


えっ、なんか素直に褒められてる……


「で、青の石版は見つかりそうなの?」


「それがまだよくわからなくて……」


「始めにブループラチナメタルを採取して、次にブルーアイズホワイトタイガーの目。ブルーアイズホワイトタイガーの目をゲットするのにブループラチナメタルを使うのだったら、青の石版を見つけるのにブルーアイズホワイトタイガーの目を使うと思うんだけど、使ってみた?」


あっ、そういう事か。ボクが見落としていたのはこれだ。


「まだ使ってないです」


まだ使ってないどころかバタバタしてた事もあってアイテムの詳細すら見ていない。


ボクはスマホを取り出し、アイテムの詳細を確認。


ブルーアイズホワイトタイガーの目。点が見えるようになる。


「で、ブルーアイズホワイトタイガーの目ってどんな効果なの?」


綺麗なお姉さんがボクのスマホを覗きこんできた。めっちゃ距離が近くてドキドキが止まらない。


「点が見えるようになる?これってなんだろね?」


「たしかに点が見えるってなんだろ?ちょっと試してみます」


ボクは未加工のブループラチナメタルを取り出した。


「一点集中スキル・オン」

「切削加工作業・開始」


ブループラチナメタルから点が見えてきた。ここを叩けばいいって事か。


カンッ、カンッ、カンッ


「切削加工作業・終了」

「一点集中スキル・オフ」


ブループラチナメタル、85%の高品質。


「やった、高品質のブループラチナメタルだ」


「よかったわねー。でもそれって私のおかげだよね?」


あっ、なんか雰囲気が変わったよ……


「は、はい。そうですね」


「私、いい武器が欲しいなぁー。あっ、これただの独り言だから気にしないでね。っていうかフレンド登録しようよ」


えっ、えっ、えっ。男友達もいた事ないボクとフレンド登録……もうこれ絶対よからぬ事を企んでる人じゃん。


「あっ、私、山下アイナって言うよ。バーチャルリアルアイドル、バリドルやってるんだ」


フルダイブ型のゲームで活動しているアイドル。通称バリドル。アイナさん綺麗な人だからアイドルとかもやっちゃうよね。


「で、君は?」


「あっ、ボクは三上ハヤトって言います」


「よろしくね」


アイナさんもスマホを取り出し、操作。ボクのスマホにはフレンド申請が来る。何か企んでいる怪しい感じはあるけど、アイナさんのおかげでヒントをもらえたのも事実。ここで断るわけにはいかないよね。そしてボクにとって初めてのフレンド。これは特に言う必要はないよね。


「よ、よろしくお願いします」


「で、点が見えるようになるとどうなるの?」


「…どうなるんですかね?」


「って私に振ってこないでよ」


「すみません」


せっかくアイナさんからヒントをもらって一歩前進したんだ。ここから先は自分で考えないと。


「集中したいだろうし、私は一旦離れるね」


「気を使わせてすみません」


「いやいや、こっちこそ集中してたところごめんね。じゃあ頑張ってね」


バイバイと手を振り居なくなるアイナさん。綺麗な人だったな。って集中集中。


ん?集中?本来、集中スキルは魔法使い用のスキルとしてあるスキル。ボクはそれを生産の補助として使っているだけ。そしてここは魔法使いのエリア。集中スキルについては見落としていたな。


「一点集中スキル・オン」


ボクはそのまま空を見上げると、空には点が見え、その点は文字に見える。


『アテナの骨の作り方』


その文字が見えた瞬間、システムメッセージが聞こえきた。


[青の石版の知識を手に入れました。神品質の生産レシピが追加されました。追加されたレシピはスマホからご確認出来ます]


そうかこの空自体が青の石版だったんだ。


「やったー!!青の石版ゲットだぜー」


ボクはスマホを取り出し、神品質の生産レシピを確認。夢中でレシピを確認していたため、近寄る足音には気付けなかった。


「叫び声聞こえたきたけど、青の石版ゲット出来たみたいだね」


突然耳元で聞こえる声にビックリして振り返ると、すぐ目の前にはアイナさんの顔。


「あっ、あっ、あっ。あの急にビックリするじゃないですか」


「あっ、ごめんね。でも青の石版ゲット出来たんだね。どうやってゲットしたの?」


「えーとですね、一点集中スキルを使用して空を見上げたら、空に点が見えて、その点が文字になってて青の石版の知識っていうのを手に入れました」


「へー、そうなんだ。やっぱり君ってすごいね」


褒められた事なんてないから、こう素直に認められるのってすごく嬉しいな。


「あ、ありがとうございます」


「じゃあいい武器待ってるね。あっ、そうだ。熟練魔法使いの指輪の効果は使用MP半減の効果だよ。って事でよろしくねー」


そういうとまたアイナさんは去っていった。さっきは独り言って言ってたのにちゃっかり武器の催促していったよ。


アイナさんのおかげでスムーズに青の石版の知識を手に入れる事が出来たから、今のボクに出来る事はやりたいな。で上手くいったら仲良くなって……って妄想もほどほどにしておこう。


神品質の生産レシピのおかげで、色々なモノの作り方がわかった。青海月水晶の手に入れ方もわかった。


青海月水晶を手に入れるには豚エリアで手に入るアイテムが必要。無駄のない行動をしたいから豚エリアでついでに採取出来る素材で戦闘も必要ない素材を検索。


「これがいいかな」


その素材はクロロ豚真珠。クロロ豚真珠は魔法使い用の武器に使う素材としてはいい素材だし、錬金に使うアイテムとしてもいい素材。この機会に手に入れた方がいいアイテムだ。


こうなるとアイナさんに感謝するしかないな。アイナさんがいなかったらクロロ豚真珠の存在には気付けていない。


ちょっともったいない気もするけど、さっき作れた高品質のブループラチナメタルも使うとするか。どうせこのブループラチナメタルは高品質だから神の鍛冶場には使えない。


そんでもってアイナさんに確認したい事も出来た。初めてのメッセージ送信で緊張しながら震える手で一生懸命にメッセージを打ち込んで送信。


『アイナさんのスキル構成を教えてもらってもいいでしょうか?』


『魔法、神聖魔法、集中、瞑想、魔装の純魔法使いだよ』


神聖系の純魔法使いならクロロ豚真珠も上手くハマるな。


『了解です。いい武器期待しててください』


『そんな事言われたら惚れてまうやろー(ハート)』


ハートマークなんて初めて見た。ボクからしたらハートマークなんて都市伝説のようなもの。そんな事言われたボクの方が惚れちゃうよ……


『頑張ります』


次の目的地は豚エリア。気合いを入れて頑張るぞ。


この時のボクはまさか豚エリアであんなことが起こるなんて想像すらしていなかった。









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