74話 銃の生産②
ボクとリュウイチさんが次に向かったエリア。南の王国エリアにある鳥エリアの中央エリア。
ここで採取出来るオオウミガラスのフンボルトというボルトネジが銃の生産に必要な素材。
このオオウミガラスは絶滅している鳥で、青龍の像から採取出来る竜骨を使って復活させる必要がある。
青龍の像から竜骨を採取出来るのは3日に1回だけなので、このオオウミガラスと戦えるのは3日に1回。そういう設定のため、ボス並みに強いモンスター。
フンボルトという名前からピンときている人もいるかもしれないが、このモンスターはペンギンのモンスター。
オオウミガラスというのは北極ペンギンとも言われ、200年ぐらい前に実際にいた絶滅したペンギン。学名はピンギヌス・インペニス。
大事な事なのでもう一度言おう。学名はピンギヌス・インペニス。この名前だからこのモンスターのクチバシはあの形をしていて、弱点はクチバシ。
ここまで言ったらさすがに読者のみんなは気付いているだろう。
このゲームはウンコネタが多いという事。そしてピンギヌスという名前。絶滅したペンギンというところもワンポイント。
クチバシの形は○○ゲリオンのロンギヌスの槍の形をしているのだ。
えっ!まさかピンギヌスの後の方の名前のインパクトが強すぎて、これに気付けなかったって人はいないよね。
ちょっと話が脱線してしまったので、元に戻すとしよう。
オオウミガラスのクチバシは武器の素材になるが弱点のため、リュウイチさんと一緒の今は素材採取出来るとは思っていない。カリナさんと一緒だったのならクチバシの素材採取も出来ていた事だろう。
「よし、ハヤトくん。準備はいいかい?」
「はい、よろしくお願いします」
ボクはアイテム袋から竜骨を取り出し、その場にあったオオウミガラスの骨とアイテム合成。
合成された骨はみるみる内に姿を変えて、大きなペンギンの姿に変化した。
「よし、それじゃあ、行ってくる」
リュウイチさんがオオウミガラスと戦闘開始。ボクは少し離れたところからその姿を眺めてる。
「カリナさんとだったらクチバシの素材採取も出来て段取り的には最高だったんだろうなぁ……っていうかカリナさんと一緒に活動してた時は楽しかったなぁ」
ボクはリュウイチさんの戦闘を眺めながら、カリナさんの事との思い返し始めた。
「でも、もう一緒にパーティーを組んで一緒に戦う事もないんだよなぁ」
カゲトラさんの反乱にカリナさんも付いていった。マリナさんとの仲も再び良くなってきたと思っていたのに残念。
それにカリナさんはボクに好意も寄せてくれていた。一緒に太陽の塔を攻略出来て、カリナさんもボクのクランに入ってくれていたら……これから楽しい事がいっぱいあると思っていた。
でも、もうそれもなくなった。もしかしたらオオウミガラスとの戦いもカリナさんと一緒だったかもしれない。オオウミガラス、いやピンギヌス・インペニスをカリナさんと一緒に戦い、その後はカリナさんとピンギヌスしていたかもしれない。そんな未来もあったのかもしれない。
でも、もうそれもなくなった。カリナさんにピンギヌスしたかったなぁ。でも、もうそんな機会はなくなった。
あーーー、カリナさんとピンギヌスしたかったなぁーーー
って事を考えながらリュウイチさんの戦いを眺めていたら、いつの間にかリュウイチさんはピンギヌス・インペニスを倒していた。
「お、終わったぞ」
なんか若干ソワソワしているリュウイチさん。
「わかりました」
「あー、なんでもするって言ってた件だけど、ピンギヌスされるのは勘弁してほしい」
「えっ、あっ、はい。ボクは女性が好きなのでリュウイチさんにそんな事はしませんよ」
「そ、それならいいんだ。俺が気にしすぎていたようだ」
「じゃあ素材採取してきます」
ボクは倒されたオオウミガラスの肛門に手を突っ込んで、オオウミガラスのフンボルトを採取。
っていうかなんでリュウイチさんはボクにピンギヌスされるのは勘弁してくれって言ったんだ?ボクはそんな事は口にしていなかったはずだ。
というかリュウイチさんもオオウミガラスの学名がピンギヌス・インペニスって事を知ってたという事なんだよな。銃の設計図の事も把握してたくらいだから、きっと色々調べて色々な情報を持っていたんだろう。
………そうか、わかったぞ。ペンギンは同性愛をする動物でもあるし、同性愛の象徴とされる事がある動物だ。
リュウイチさんからしたらボクがピンギヌスの事を考えながらじっと見られていたら、恐怖だったのだろう。
しかもだ。今回ボクが素材を採取する時は肛門に手を突っ込んで素材を採取している。リュウイチさんにはその姿を見せているのだから、リュウイチさんはもしかしたら自分もやられるのではないかと気が気でなかったと思う。
「リュウイチさん、なんかごめんなさい」
「あー、いや別に謝る事でもないよ。ところでハヤトくんは誰の事が好きなんだい?」
「えっ?」
「本命はマリナとカリナだった。でもカゲトラの反乱でカリナはなくなってしまった。で、次はアイナさんってところかな?メリーさんもいいと思っているけど、メリーさんは自分の事を恋愛対象とは見ていない。ってところかな?」
なんか全部バレてるみたいだ。
「あっ、あの一度ちゃんと聞きたかったのですが、リュウイチさんとマリナさんの関係ってどういう関係なんですか?」
「コジロウやナルミもそうなんだが、俺らは幼なじみでさ。マリナとは中学の時に一度付き合った事はあるが、まぁその時は俺も子供だったから付き合ったって言ってもガキの恋愛。身体の関係もなかったよ。だからハヤトくんがマリナと付き合うとしても俺の事は気にする事はないよ」
「えっ、っていうかなんでボクがマリナさんと付き合う感じの話になるんですか?」
「えっ!それマジで言ってる?どっからどう見てもマリナとアイナさんがハヤトくんに気があるのは見え見えだぞ」
ボクは一度も女性と付き合った事がないから、好意の捉え方がよくわからない。likeとloveの違いも分からず告白してしまえば、きっと気まずくなってボクのクランからいなくなってしまう。そう思うと告白出来ずにいた。
でも、もし今回ボクが1人で太陽の塔を攻略出来たら告白してみてもいいのかな。でもそうなるとマリナさんとアイナさんの関係も崩れてしまうのかな。そう考えると、やっぱり今の関係性のままがいいのかな。
「あー、ハヤトくん。ちょっといいかい?」
「あっ、すみません」
「これで銃の素材は揃っただろう?じゃあ俺はもういいかな?」
「あっ、はい。大丈夫です。ありがとうございました」
「じゃあ最後の弾丸の素材採取頑張ってくれ。お疲れ様でした」
「ありがとうございました。お疲れ様でした」
残るは弾丸の素材採取。牛のウンコ、鳥のウンコとくれば残されたのは南の王国エリアでは豚のウンコ。
ボクは次の攻略戦が始まるまで、ひたすらクロロ豚のウンコからクロロ豚銅の採取をして決戦の時を待っていた。




