62話 太陽の塔攻略会議
太陽の塔の攻略会議が始まった。
アイナさんとメリーさんは自分の第1クランで攻略をするので後で退室するのだが、まずは攻略のための武器防具の話をしたいから残ってもらっている。
「アイナさんとメリーさんの武器はそのままで大丈夫だと思います。防具も2人にあったモノを準備したいと思いますが……」
ボクはメリーさんをじっと見つめるとメリーさんも気付いた。
「メリーさんは今のままで本当にいいんですか?」
ボクの真剣なトーンにみんなも何かを感じとったみたい。
「メリーさん達は7層目で死んだとの事ですが、もしかしてメリーさんがキッカケでみんな死に始めたんじゃないんですか?」
3人は驚いた表情を浮かべ始める。
「なんでハヤトくんはそう思ったの?」
7層目に出てくるモンスターは3種類。怪力士、剛力士、金剛力士のパワータイプのモンスター。
「金剛力士の特性を考えた時にメリーさんは一瞬考え事をして、その隙に死んでしまったのかなって思っただけです」
金剛力士は近距離攻撃が完全に無効される瞬間がある。
「……たしかにその通りです」
「で、どうしますか?このまま魔法剣士でいきますか?それともボクが提案したスキル構成にしますか?」
「………」
「黄金の羊との戦いの時、メリーさんは2人のタンカーの間に入って攻撃するタイミングがほとんどありませんでしたよね。あの時、魔法使いとして魔法攻撃を出来たらとメリーさん自身も思ったのではありませんか?」
「……はい」
「幹部クラスの動きに対応出来ない人が幹部候補生から幹部になれるとはボクは思いません」
「……わかりました。ハヤトさんの言うスキル構成にいたします」
「わかりました。それではメリーさんの杖を優先して作りたいと思います。みなさんの防具などはそれから製作に入ります」
カゲトラさんやカリナさんもみんな頷いてるので納得してもらえたようだ。
「俺とマリナはリーダーでみんなをまとめないといけないから素材採取の手伝いは無理だと思う。だから素材採取はカリナと一緒にやってくれ。でついでにカリナの防具も作ってもらえたら助かる」
「カゲトラさんの武器と防具は大丈夫ですか?」
「俺は自分で準備するから大丈夫だ。あっ、前に言ってた属性重視の武器だけはよろしく頼む」
「わかりました」
「じゃあこれでアイナさんとメリーさんは大丈夫な感じですか?」
「私は大丈夫だよ。でもまさか私がコジロウさんと一緒のパーティーでタンカーやる事になるとは思ってなかったわ」
ボクの知らない間にそんな話になってたんだ。
「私も大丈夫です」
メリーさんは大丈夫と言ってるが表情は不安そうな顔。第2クランとはいえメリーさんはボクのクランに入ってくれた人だ。上手くいくように何か考えておくとするか。
「それでは今日はお疲れ様でした」
「「お疲れ様でした」」
アイナさんとメリーさんは会議室を退室。
「よし、じゃあこれからは合同クラン会議だな」
アイナさんとメリーさんがいなくなったため、会議室にはボクとカゲトラさん、マリナさんとカリナさんの4人になった。
カリナさんはマリナさんの事をやっぱり意識しているようでチラチラ見ては視線をそらすという事を続けてる。もちろんマリナさんも気づいているが何も言わずに会議は続く。
「それじゃあまずは1番下まで行く事が出来たハヤトくんの話を聞きたい」
「そうですね…………」
始めに3層目で不完全ケンタウロスが出てきた事を話始めた。
不完全ケンタウロスの見た目は普通のケンタウロス。ケンタウロスは上半身が人型で下半身は馬のモンスター。何が不完全かというと走るのは下半身の馬が走るので馬の速さだが、心肺機能は上半身の人型が担当。馬の身体能力についていけない上半身はすぐにバテてしまう。
なぜこのモンスターに着目したのかというとこの不完全ケンタウロスは馬エリアで出てくるモンスターだから。
しかも馬エリアでは弓の武器を持っているのにノンアクティブという不完全さ。馬エリアは近距離攻撃者がたくさんいるので簡単にやられるモンスター。
でも太陽の塔では挙動が馬エリアの時とはちょっと違った。ボクの方を確認した上で、襲いかかってこなかった。この挙動はアクティブモンスターが襲いかかってこない時の挙動。
でもこの不完全ケンタウロス自体は特に意識する必要はない。意識しなければいけないのは馬エリアのモンスターが太陽の塔に出現した事。
その事を考えると牛の頭を持ち下半身は人型のミノタウロスも出てくる事が予想される。ミノタウロスは即死攻撃をしてくるモンスターなので全員防具装備は必須。でも今の状況を考えると全員防具装備は厳しいかもしれない。
ボクはその事を話した。
「そうだな、その時は防具を装備している人達で対応するしかないかもな。マリナ達のところも全員防具装備は厳しい感じか?」
「私のところはカゲトラのところよりも厳しいかな。私のところの生産職は他のところよりも出遅れてるから……」
出遅れてるのはもちろんウンコの採取絡み。マリナさんのクランには女性しかいない。
それからボクは話を続け、会議は終了。
「「「「お疲れ様でした」」」」
ボクはクランハウスからマイハウスへ移動。
「さぁ、まずはメリーさんにふさわしい杖の武器作りからだな」
ボクはスマホを取り出して、アイテム変化やアイテム合成のレシピを確認してメリーさんにふさわしい武器の作り方を確認。
「まずは武器作りから。防具装備の事を考えるのはそれからだ」
明日はメリーさんの武器作りと属性重視の人の弓作り。
ボクはそれから先の段取りの事も考えながら超フカフカのベッドに横になり、眠りについた。




