49話 亀梨カリナ②
ネズミエリアの死獣、七福の虹鼠がいるエリアに戻ってきたボク。ブラックドラゴンの幹部候補生や幹部候補生予備員達はまだ戦いを続けているので邪魔にならない位置でカリナさんを待つ。
「遅くなってすみません」
こっちに小走りで走ってくるカリナさん。その姿を見てボクはある事に気づく。
カリナさんのおっぱいが暴れている……ボクの見立てではあれは神のお乳。GODカップくらいの大きさはあるだろう。
「遅くなりました。っていうかここまで胸をガン見するのハヤトさんくらいですよ」
「あっ、いや、あ、あ、すみません」
早速バレてしまうボク。でもあんなにすごいモノを見せられたなら誰でも見ると思うんだけどな。
「胸が大きいと弓を引く時に邪魔になって大変だったんですよ。でも自分だとどうしたらいいのか解決方法もなかったので、ハヤトさんに出会えて良かったです」
なぜだろう。ボクはなんでこんなにカリナさんに好かれているのだろうか。普通だったら胸をガン見してる時点でドン引きされてしまうはず。
「そうですか……」
「あっ、これリーダーから渡すように頼まれたモノです」
カリナさんがスマホを取り出し、アイテムトレード。夢見の風羽4枚と各種4属性の風羽。
「あっ、じゃあボクからはこれを」
ボクはイルミラージのボーガンと雷の矢をトレード。
「ありがとうございます。ところでなんで今日はこの場所で待ち合わせなんですか?」
「今日はちょっとカリナさんに新しい武器の試し打ちがてら検証してもらいたい事がありまして、この場所にいたしました」
遠距離攻撃の麻痺が効かない七福の虹鼠に対してチタン鉱石を使った麻痺武器が効果あるのか説明。カリナさんも理解したようで早速戦いに移る。
カリナさんは遠距離攻撃という事もあるのでボクは一緒にパーティーを組んで戦いをする。ボクはクラブのマークを選んでいるのでアイテムの強化効果がある。
その強化効果を利用すればスピードアップ効果を持つサンダーラムのお肉の効果時間は伸びる。
「それではいきます」
ボクはカリナさんに最高品質のサンダーラム肉を使用。
「それでは私も戦闘準備に入ります」
ボクの作った武器とカリナさんの実力があれば麻痺攻撃が効かなくても勝てる見立て。
カリナさんのスキル構成は、遠距離、狙撃、暗黒魔法、集中、魔装。ちょっと変わったスキル構成。
火力弓と言われるタイプのスキル構成は遠距離、狙撃、強身、暗黒魔法、軽装のスキル構成。
魔法弓と言われるタイプのスキル構成は遠距離、狙撃、魔法、集中、魔装のスキル構成。
火力弓と言われるタイプは暗黒魔法のバフ魔法を使って攻撃する。でもカリナさんはバフ魔法以外にも普通の暗黒魔法も使って攻撃するタイプ。
今回の新しい武器がカリナさんに上手くハマればカリナさんは暗黒魔法を魔法スキルに変更する予定。
「パワーショット設定・50本」
「パワーショット」
矢は1000本1セット。その中で50本設定は結構高めの設定。死獣との戦いだから高めに設定したのだろう。
カリナさんの放った矢は七福の虹鼠に直撃。
「パワーショット」
2発目の矢が放たれた。これも七福の虹鼠に直撃。そして麻痺になった七福の虹鼠。
「まさかこんなに効果があると思っていなかったな」
麻痺になった後の七福の虹鼠はあっという間だった。10回目のパワーショットが当たると足を引きずるような仕草を見せる。これは捕獲出来ますのサイン。
このサインは次の攻撃で死にますよのサインでもあるので、捕獲するのは激ムズ難易度。
麻痺状態の七福の虹鼠に捕獲用のエサを与えると七福の虹鼠はエサを食べ始める。
[七福の虹鼠を捕獲しました]
聞こえてきたシステムメッセージ。そして続きのシステムメッセージ。
[七福の虹鼠からメッセージがあります]
『僕を捕獲出来た実力を認め、虹の木から枝を採取出来る権利を認めてあげる』
ボクはカリナさんと目を見つめ合う。
「虹の木の枝は属性矢のシャフトに最適な素材です。やりましたね、カリナさん」
「……そうだね。っていうか私、やっぱ火力も出来て魔法弓も出来るタイプには転向しない事にした。私は火力と属性と状態異常の全部を出来るタイプでやっていく事にするわ」
えっ、それはなんで?
「私が属性矢でトップ取ったとしても、それはマリナのマネであって、私の事をマリナの妹としか見てくれないんだよね。私の事をちゃんとを見てくれる人は誰もいない……私の事をちゃんと見てくれたのはハヤトさんだけだよ」
トップアイドルとして活躍をするマリナさんの妹はやっぱり色々と苦労している事もあるんだな。
「ハヤトさんだけが私の新しい可能性を見い出してくれた。魔法弓タイプにすればお姉ちゃんのマネ。火力タイプや状態異常タイプにすればお姉ちゃんに反抗してる。私は私。お姉ちゃんと比較されるのはもうイヤなの」
比較されるのはよくある兄弟あるある。こういう時ってだいたい弟とか妹の方がいい成績なんだよね。
「でもってお姉ちゃんがハヤトさんの事を気に入ってる理由が私もわかったわ」
えっ、マリナさんがボクの事を………
「お姉ちゃんの事は尊敬してるけど、恋愛となれば別問題。私、ハヤトさんの彼女になりたいな……」
ボクの腕を掴み、グッと胸を押し当ててくるカリナさん。
この誘いに乗ったら、ボクはマリナさんに殺される。いや、それだけではすまないだろう。アイナさんにも殺される。下手するとメリーさんにも……好意があるのはわかったけど、まだカリナさんとは知り合ったばかり。そしてカリナさんからもカゲトラさんと同じ種類の闇を感じてしまうボクがいる。
「す、すみません。まだ知り合ったばかりという事もありますので、付き合うとかはまだ考えられないです。ごめんなさい」
「……お姉ちゃんに何か言われてるんですね」
「い、いえ、違いますよ」
「じゃあ私と付き合ってくれてもいいじゃないですか!!」
なんでこんなにカリナさんはボクと付き合いたいって言ってくるんだろう。アイナさんのような企みがあるタイプじゃない分、闇を感じてしまう。
「ボクと付き合いたいっていうのはお姉ちゃんに負けたくないからですか?そういう事であればお断りします。だってそれだとカリナさんの彼氏じゃなくて、マリナさんの妹の彼氏になってしまうじゃん。付き合うと言うならちゃんとカリナさんの彼氏になりたいので、今はお断りします」
誰とも付き合った事ないのにボクはなぜこんな事を言っているのだろうか………
「ウ、ウ、ウワーン」
マズい、泣かせてしまった。
「童貞のくせに生意気なのよーーー」
泣きながら走り去っていくカリナさん。気付くとブラックドラゴンの幹部候補生や幹部候補生予備員の人達はこっちをガン見している。
「す、すみません。失礼いたします」
ボクは遠目にこちらを見ている人達に頭を下げて逃げるようにネズミエリアを抜け出し、ウサギエリアへ移動。
「フー、これ絶対メリーさん経由でみんなに伝わってしまうヤツだな」
今は考えるのをやめよう。気を取り直してイースターバニーの宝玉探しを始めよう。
ピコン。スマホに通知音。カリナさんからだ。
『先程は取り乱してごめんなさい。でも私の事をきちんと見てくれたのはハヤトさんだけなのは事実です。ハヤトさんがよければこれからもお付き合いよろしくお願いします』
冷静になってくれたんだ。
『こちらこそ先程はすみませんでした。これからもよろしくお願いします』
こんな感じでいいかな。
「よし、今度こそイースターバニーの宝玉探しするぞ」
ボクはウサギエリアの捜索を始めた。




