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【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました  作者: 鳥山正人
2章 愛を取り戻せ

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38話 コンビ結成

羊の館から出たボク達は移動アイテムの白ワシの羽毛を使い、ウサギの丘に到着。


「イヤー、さっき夢幻の館でハヤトくんがいきなり執事さんに服脱いでくださいって言った時はマジでビックリしたよね」


ん?ボクそんな変な事言ったかな?


「この人何なの?そういう性癖のガチの変態なの?って思ったもん」


それはさすがに言いすぎでは……


「私はあそこで思ったのは、羊の館を案内してくれる羊の執事さんが陽炎の夢羊だとは夢にも思わないっていう事思ってた。だから執事さんが陽炎の夢羊なんだろうなって」


「私が思ったのは、羊の館って扉を入ると館じゃない違うエリアに飛ばされるから、あそこの館には羊の執事さんしかいないって思ってた。だから執事さんが陽炎の夢羊なんだろうなって」


執事さんがモーニングっていう服を着ている事以外にもヒントっていろいろあったんだね。


「でもハヤトくんのおかげでわかった事があったから良かったよね」


「そうそう。あの服脱ぐと第2形態になるっていう情報は戦闘職からしたら結構貴重な情報だよね」


って考えると他の死獣も形態変化するかもしれないって事だよね。


「やっぱりハヤトくんってすごいよね。まさか次のキーアイテムをすでに準備してるだなんて夢にも思わなかったもん」


「マジでファインプレイだよね」


ボクの事を一度落としてから上げる感じ。クセになりそうです。


「コジロウと亀ジロウの感じだとさ、急いでいるから焦りたいんだけど、これから不死のリンゴ作りに取りかかるからバタバタ急ぐ事も出来ないっていう感じに見えたんだよね」


「私もそう思った」


「って考えると、ゆっくりしてる暇はないよね」


フジのリンゴがあれば、アイテム変化で不死のリンゴにするのに1時間かかる。2個準備するとなると2時間。


「うん、そうだね。ハヤトくん、ボサっとしてないで急ぐよ」


イヤ、さっきまでおしゃべりしながらゆっくり歩いてたのは2人じゃん。って言ったら怒られそうだから、ここは素直に従っておこう。


「はい、すみません」


「よし、じゃあ急いで木の根元の穴のところに行くよ」


「「了解」」


ウサギの丘の木の根元の穴のところに到着。このままこの穴に飛び込めば始まりの街まで行く事が出来る穴。


ボクはアイテム袋から3つの不死のリンゴを取り出し、マリナさんとアイナさんに手渡す。


「ちょっといいかな?これからこのリンゴを穴の中に入れるんだけど、私イヤな予感してるんだよね」


「マリナもやっぱりそう思った?私もイヤな予感してるんだよね」


この2人は何を思ってるんだろ?ボクには検討もつかないな。


「もし、このイヤな予感が的中してたら、その時はやっぱりアレだよね」


「そうだね」


何故か2人ともこっちを見てくる。イヤな予感が的中したらボクは一体どうなるんだろうか。


「とりあえず行ってみないと何も始まらないから、まずはハヤトくん、リンゴを入れてみて」


「わ、わかりました」


ボクは不死のリンゴを木の根元の穴に投げ入れると、白兎がひょっこり顔を出してきた。


あっ、これが月影の白兎なんだな。


「今、このリンゴを投げ入れたのは君だね。僕は不思議の国の導き手、月影の白兎。君を不思議の国に招待するよ。付いておいで」


再び穴の中に飛び込んでいく月影の白兎。ボクもその後を追って穴の中に飛び込んだ。


一瞬の暗転。見えてきたのは紺色に染まった暗い空。周りの景色もその空のように暗い色。それに同調するように空気もどんよりとしている。


そんな暗い景色の中で目に映る月影の白兎は異様な存在。


「ここは不思議の国の世界。あっ、ちょっと待ってて、あと2人来る」


マリナさんとアイナさんも到着。2人とも辺りを見渡し、状況把握中。


「ここは不思議の国の世界で、ハートのクイーンが治める世界」


このゲームの名前はスペードのクイーン。女神アテナが治める国。スペードは死を表す。


ボク達がたどり着いた不思議の国の世界。ハートのクイーンが治める世界。ハートは愛を表す。


でもこの不思議の国の世界を見る限り、愛のある世界とは思えない。


「今この国は大変な事になっているんだ。詳しい事はハートのクイーンから聞いて欲しい。クイーンがいる城まで案内するから付いてきて」


そういうと月影の白兎はぴょんぴょんと走り去っていく。


「お、追いかけないと」


「やっぱりこういう展開よね。って事でハヤトくん、一旦パーティー解散するから、後からゆっくり来てちょうだい」


「えっ、え、あっ、はい」


マリナさんとアイナさんがスマホを取り出し、パーティーから抜けて、2人でパーティーを組み直す。


「それじゃあアイナ行くよ」


「オッケー、マリナもちゃんと付いてきてね」


「アイナも無茶しないようにね」


「オッケー」


「「レディー、ゴー」」


すごい勢いで月影の白兎を追いかけ始めた2人。もちろんモンスターも出てくる。しかもこのモンスターはクセが強い。


今のこの状況、現在この世界に来れるのはクラブの見習い級とハートの見習い級だけ。そうなると必然的にモンスターは魔法に強いモンスター。


魔法使いの魔法は距離によって威力が変わる。10メートルまでの至近距離で威力2倍。10~20メートルは等倍。20~30メートルは威力半減。


近距離で戦うスペードや遠距離で戦うダイヤがいない状況で求められるのは至近距離での魔法攻撃。


至近距離での魔法攻撃は大手クランリーダーのコジロウさんが得意とするところ。


ここに来たのがマリナさんだけだったり、アイナさんだけだったら、きっと城まではたどり着く事は難しかったと思う。


アイナさんがタンカーでモンスターを翻弄した事もあって、あっという間に月影の白兎に追いついた。


「これなら城まできっとたどり着けるね。ボクはゆっくりと採取しながら行くとするか」


マリナさんとアイナさんが倒したモンスター。ボクはパーティーから抜けたため、このモンスターの採取権はない。


少し時間が経って採取権がフリーになったら、採取をしよう。そう思い、その場で待っているとモンスターが再び立ち上がる。


「えっ、どういう事?採取出来ないって事?」


スペードのマークは死を表す。だからスペードのクイーン、女神アテナの世界ではモンスターは死んで、モンスターから採取出来るって事かな?


「じゃあここにいる意味ないじゃん。急いで2人の元に行こう」


ボクは必死に2人のあとを追ったが、2人に追いつく事はなかった。モンスターを倒しながら行く2人よりもボクの足は遅かったのだ。


2人の姿が見えてきたのは、城門の前。2人は何やら楽しそうに話をしていた。


「始めの内はどうなる事かと思ったけど、最後は息ピッタリだったね」


「そうだね。私、タンカーをやるアイナがこんなにもすごいとは思ってなかった。ねぇ、ここまで息ピッタリなら私達一緒にユニット組んでみる?」


「えっ、いいの?」


「1人でやるのも限界感じてたんだよね。強くて可愛いのがバリドルじゃん。トップバリドル名乗るなら、誰よりも強くないとダメだと思うんだよね」


「あー、その気持ちわかるわぁ」


「でしょ」


「あー、でもマリナとユニット組むとなると私はどうしたらいいかな?私、清純派って感じでアイドルやってるじゃん。正直清純派って感じじゃないのはわかってるけど、マリナも清純派だから合わせた方いいよね?」


「私も清純派でやってるけど、正直清純派って何?って感じだよ。でも今更キャラ変えるわけにはいかないじゃん。その点、アイナはいいなぁって思う」


「何が?」


「アイナの体型って出るところはしっかりと出てるセクシー系じゃん。で、これから暗黒タンカーとして活動するじゃん。暗黒系は清純派っていうよりセクシー系ってイメージ」


「たしかに清純派キャラ作ってやるよりセクシー系の方が楽だね。変にキャラ作る必要もないし」


「私は清純派でイメージカラーは白。アイナはセクシー系でイメージカラーは黒。白黒つけないアイマイナ関係。私達のキャッチコピーはこんな感じでどうかな?」


「アイマイナ関係か……ピッタリだね」


ボクに気づいたのか2人が意味深な表情をしながらボクを見てる。なんだろ?さっきまで楽しそうに話してたのに……


「って事でよろしくね」


「よろしく」


再びにこやかに楽しそうな感じ。


「遅くなってすみません」


「月影の白兎はもう中に入ってるよ。早く、早く」


急いで合流。城門を潜り抜けると大きな宮殿が姿を現した。







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