32話 酒場のご主人
今日も目覚めのいい朝だ。ボクは出かける準備を整え、マイハウスから東の王国の酒場へ。
酒場の扉を開けると、酒場にいた人達は未だに盛り上がりを見せており、ボクに気付く人はいなかった。もしかしてボクって存在感がないのかな。
「いらっしゃいませ。食べ物をお求めですか?それとも情報をお求めですか?」
話しかけてきたのは酒場のご主人。
寝る前にアイテム変化の情報はきちんと入れてきた。風の夢見鳥から採取出来る羽、夢見の風羽はアイテム変化で夢幻の風羽に変化する。
「夢幻の風羽について聞きたいです」
「夢幻の風羽は羊の館にいる羊の執事に渡すと陽炎の夢羊がいる夢幻の館まで連れて行ってくれるアイテムだよ。夢幻の風羽についてはこれ以上情報はないよ」
「夢幻の館で何か情報はありますか?」
「その情報については有料情報になるよ。情報料は1万リン」
「追加情報込みでお願いします」
「おっ、追加情報込みなら特別に10万リンでいいぜ」
「お願いします」
ピコン
スマホに通知音。
『(1万リンの情報)夢幻の館には夢幻水晶というモノがあり、夢幻水晶は魔法攻撃に弱い』
『(10万リンの情報)夢幻の館にある夢幻水晶は採取できる。採取出来たアイテムはそのままでは価値はないが、アイテム変化を使えば価値のあるモノに変化する』
この情報からわかる事は夢幻水晶は魔法攻撃で壊せって事か。
そして10万リンの情報はきっとかなりお得な情報。夢幻水晶はアイテム変化のレシピにもなかったモノだ。
さてと、次に聞きたいのは……ポーションの事についてだ。
今ボクは2級ポーションを作る事が出来る。1級ポーションの作り方はわかっていないし、薬草や青薬草のアイテム変化のレシピはなかった。何かキーアイテムが必要なんだと思うのだが。
「1級ポーションについて聞きたいです」
「1級ポーションについてだね。1級ポーションは2級ポーションより効果が高いポーションだ」
「追加情報込みで有料情報お願いします」
ピコン
スマホに通知音。
『(1万リンの情報)1級ポーションはリンゴを錬金鍋で煮込めば作れる』
『(10万リンの情報)リンゴの木に薬草を使えばフジのリンゴが出来て、青薬草を使えば王林の青リンゴが出来る』
おっ、この情報は農園の品種改良の情報だな。農園の品種改良についての情報はほとんどネットに出てない情報だから、こういう情報は助かるな。
そういえば、アイテム変化のレシピにフジのリンゴは不死のリンゴになるってあったはず。これがおそらく1級ポーションを作るためのキーアイテムだな。
マイハウスに帰ったら、早速やってみるか。
さてと、次に聞きたいのは……メリーさんの事についてだ。
と言っても吉田メリーさんの事について聞くわけじゃない。もし酒場のご主人に対してそんな事を言ってしまったら、白い目で見られる事は間違いない。
メリーさんは第2クランをボクのクランにしてくれた。そしてそのキッカケはきっとサンダーラムやサンダームートンの時だと思う。
だから雷に関係しそうなアイテム変化のレシピを検索していた時に見つけた素材、タングリスニについて聞いてみる。
「タングリスニについて聞きたいです」
「タングリスニについてだね。タングリスニは雷神トールが乗る羊の乗り物だ」
「追加情報込みで有料情報お願いします」
ピコン
スマホに通知音。
『(1万リンの情報)この世界にはタングリスニという羊のモンスターはいない』
『(10万リンの情報)タングリスニはタングステンをアイテム変化すれば作れる素材。雷属性を持つ素材だが、このままだと重くて使えない』
そっかぁ、タングリスニは作れたとしてもまだ使えない素材なんだな。
タングステンをアイテム変化すればタングリスニは作れる。そのタングステンは東の王国エリアの狼エリアで採取出来る素材。
タングステンはウォルフラマイト、狼鉱石を切削加工すれば出来る素材。タングステンも重い素材で、この状態では重くて加工出来ないという特徴もある。
狼鉱石は死獣、月の銀狼・フェンリルがいるエリアで採取できる素材。フェンリルがいるエリアは超アクティブと言われる凶悪なモンスターもいるエリア。
超アクティブのモンスターは敵がノンアクティブになる熟練生産者の指輪を持っていても襲われる。
銀狼のマントはモンスターから狙われにくくなる効果があってその効果は30%。生産スキルを2つ持っていれば熟練生産者の指輪の効果は100%なので2つ装備すれば130%になるが、それでも超アクティブモンスターは襲ってくる。
ボクが今装備している黒の銀狼のマントは50%の効果があるので、今のボクはノンアクティブ率150%。
この状態でも襲われるのかは後で試してみるとするか。
っていうか狼鉱石のタングステンがアイテム変化で羊のタングリスニになるのは面白いな。
次にボクが聞きたい事は…………
「お兄さん、そろそろいいかな?俺も忙しいんだ。でもお兄さんはお得意様だから特別に俺の連絡先教えてあげるよ。今度からそっち経由で聞いてくれ」
「あっ、はい」
[酒場のご主人の連絡先を手に入れたため、スマホからいつでも情報を聞けるようになりました]
あっ、システムメッセージだ。って事は今度から酒場まで来なくていいようになったんだな。ボクってあのアテナの骨を捧げたムービーで有名人になって酒場まで来ると騒ぎになるから困ってたんだよね…………すみません。言い過ぎました。ボクはモブキャラで誰にも気付いてもらえません。ごめんなさい。
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第3章が始まるまで、新章開幕のオープニングムービーに出てくる人がファーストクリア者だという事に誰も気付ける人はいなかった。




