2話 チュートリアル2回目
2回目のチュートリアルを終わらせるために行動開始。
まずは山に行って、採取スキルのチュートリアルと鍛冶スキルのチュートリアルに必要な鉄鉱石の採取。
鉱石系の採取自体は非常に簡単。金属に目印をつける時に使う道具のポンチとハンマーを持って鉱石が埋まっている壁を叩くだけで手の大きさくらいのサイズの鉱石が採取できる。
この時点だと魔力の損失はないため、鉱石系の採取は戦闘職の人でも簡単に採取出来る。
だけど、このままだと鉱石の周りには余計な石が付いている。そしてかなりの重量がある。
このゲームでは採取スキルを持っている人と鍛冶スキルを持っている人だけがこの余計な石を取り除く切削加工をする事が出来る仕様。
だけどスキルレベル1で切削加工すると最低品質のモノしか出来ない。現在のスキルレベルが品質の上限にもなっている。だから生産系のスキルはレベル100になってからスタートと言われてる。
切削加工をする際に周りの余計な石の除去もハンマーとポンチで行うのだが、これが結構難しい。
そのため鉱石系のアイテムの魔力損失は大きく、レベル100の人が切削加工しても、良くて普通品質。
こんな仕様だからオープンベータ版の時は出来上がる武器や防具も普通品質より上は作られていない。
「よし、鉄鉱石の採取はこの辺にして、切削加工作業をするか」
手の大きさサイズの鉄鉱石。でもこれはゲームのアイテムでもある。
くすんだシルバーに光る鉄鉱石の周りに茶色の石が付いているのをポンチとハンマーを使って落としていく。
ゲームだからこの切削加工作業にはMPをかなり使う。
普通にこの作業をすればすぐにMPが尽きてしまうから、集中スキルにある一点集中のスキルを使う。
この一点集中のスキルは高速でMPを回復する効果があるスキル。そしてスキル発動中は与えるダメージも貰うダメージも2倍になる効果があるスキル。
戦闘では魔法職の人がこのスキルを使うが、使い所が難しいスキルでもある。
でも今のボクの周りには敵がいないから、安心安全で使えるスキル。
「一点集中スキル・オン」
「切削加工作業・開始」
ボクはポンチとハンマーを持って鉄鉱石を叩いていく。
「まぁ、こんなもんかな」
「切削加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
今のボクのスキルレベルは26。見習い生産者の手袋も装備しているからスキルレベルは倍の52。でも出来上がったのは品質26%の低品質の鉄鉱石。切削加工作業はそれだけ難しい作業。
アイテムの品質。
100%は神品質。
99~90%で最高品質。
89~65%で高品質。
64~35%で普通品質。
34~10%で低品質。
9~1%で最低品質。
0%はクズ品質。
ボクは出来上がった鉄鉱石をアイテム袋にいれて、山を下りて鍛冶が出来る作業場に向かった。
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「よし、鋳造作業で鉄鉱石をインゴットにするか」
ゲームだからこの鋳造作業でもMPをかなり使うから一点集中スキルを使いながら作業をする。
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
このゲームの鋳造作業は温度管理でアイテムの魔力損失が決まる。
鉄鉱石の鋳造作業は基本的な事なので、チュートリアルで教わるが、これで出来上がったのは品質は26%の低品質の鉄インゴット。
「よし、鍛冶スキルはこれで終わりだ」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
ボクは出来上がった鉄インゴットをアイテム袋にしまい込む。
「次は錬金スキルのチュートリアルだ」
錬金スキルで出来る事は主に2つ。
1つはポーション製作。
ポーションはHPやMPの回復が出来るアイテム。瞬時に回復できるタイプもあるし、持続的に回復できるタイプのポーションもある。他にはステータスアップ系のポーションもある。
もう1つは武器や防具などのアイテムへの能力付与。
能力を付ける作業は手間もかかるし、品質の高い素材でないともったいないから、オープンベータ版でもほとんどやった事のない作業。
錬金スキルのチュートリアルはポーション製作。
ポーション製作は簡単に出来る。魔力水と呼ばれる液体に薬草を入れて、煮込むとポーションは出来上がるからだ。
薬草は街を出てすぐの草原で手に入るモノで、薬草はすでにゲット済み。といっても品質は50%の普通品質。最高品質で採取出来る方法で採取したけどスキルレベルの関係でこうなっている。
魔力水の作り方は水の中にミスリル鉱石を入れると出来上がる。
チュートリアルでは錬金ギルドの作業場に魔力水はあるから、それを使う。
もちろん錬金作業もMPをかなり使うから、一点集中スキルを使いながらの作業。
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」
コンロに鍋をセットして、魔力水を入れて火にかける。
そして煮立ったら薬草を投入。
しばらくすると綺麗な赤色になってくるから、そこで火を止めてポーションの完成。
「錬金作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
出来上がったポーションはもちろん普通品質だ。
「まぁ、こんなもんだよね。っていうか一回目のチュートリアルの時はスキルレベルが1だから最低品質のモノしか出来なかったし。あとはこれを生産ギルドに売りに行ってスキルレベルを上げる。でも一回チュートリアルをやっているからスキルレベルは上がらないかもしれないんだよなぁ」
ボクは出来上がったポーションをアイテム袋にしまい込んで、生産ギルドに向かった。
「これ、お願いします」
ギルドの受付の人に薬草と鉄鉱石、ポーションと鉄インゴットを渡す。
「採取スキル、鍛冶スキル、錬金スキルのチュートリアルアイテムを確認致しました。ずいぶんと頑張ってスキルレベル上げたんですね」
[採取スキルのレベルが25上がり、採取スキルのレベルは51になった]
[鍛冶スキルのレベルが25上がり、鍛冶スキルのレベルは51になった]
[錬金スキルのレベルが25上がり、錬金スキルのレベルは51になった]
「あっ、スキルレベルが上がった。っていうか今受付の人の言葉が一回目のチュートリアルの時と違ってたぞ。一回目の時は頑張ってスキルレベル上げたんですねって言わなかったぞ」
「三上様は生産スキルを3つお持ちですのでチュートリアルを終了するには薬草と鉄鉱石、ショートソードとポーションをアテナ像に捧げる必要があります。高い品質のアイテムを捧げれば良いことがあるかもしれませんよ」
「やっぱり一回目の時と言葉が違う。高い品質を捧げるなんて言葉はなかった。正式サービス開始での隠し要素なのかな。スキルレベルも上がったから、とりあえずもう一回薬草と鉄鉱石採取してくるか」
ボクは再び薬草と鉄鉱石を採取しに向かった。