表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/100

1話 チュートリアル

「えっ、もう一回チュートリアルやるの?っていうか始まったばかりだからロールバックもないし、このままやるって事なんだよね」


~~~


ボクの名前は三上ハヤト。ボクがハマっているフルダイブ型VRMMOゲーム、スペードのクイーン。この度、オープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になった。


フランスではスペードのクイーンはギリシャ神話の女神アテナを表す。このゲームの中で操るキャラクターは女神アテナと共に悪魔を倒すストーリー。


このゲームはスキル構成によって職業が変わるゲームで、いくつもあるスキルの中から5つのスキルを選ぶ。


近距離スキル、遠距離スキル、魔法スキル。この3つは攻撃スキル。


強身スキル、狙撃スキル、集中スキル。強身スキルは近距離スキル、狙撃スキルは遠距離スキル、集中スキルは魔法スキルには必須のスキル。


重装スキル、軽装スキル、魔装スキル。この3つは防御スキルで必ず取らないといけないスキル。


基本的には近距離の人は重装スキル、遠距離の人は軽装スキル、魔法の人は魔装スキルを取るが、遠距離スキルを取って魔法も使いたい人は魔装スキルを選んだりする事もある。


他にもスキルはいろいろあって、近距離向けのスキルには盾スキルや二刀流スキルというのもある。魔法職向けのスキルには神聖魔法や暗黒魔法、召喚魔法などもある。


戦闘職で1番人気のスキル構成は、近距離スキル、強身スキル、重装スキル、魔法スキル、集中スキル。


重装スキルだと魔法の詠唱に時間がかかるが、集中スキルがあるとそのデメリットがなくなる。


~~~


このゲームではスキルを選ぶ他に、トランプの4つのマークを選ぶ事になっている。


スペードのマークは死を表し、スペードのマークを選ぶとキャラクターの物理攻撃や防御力などに影響があるようになる。


スペードのマークを選ぶ人はアタッカーだったりタンクだったり物理攻撃的な役割を持つ人が選ぶ。


ハートのマークは愛を表し、ハートのマークを選ぶとキャラクターの魔法攻撃力や魔法防御力などに影響があるようになる。


ハートのマークを選ぶ人は攻撃魔法、補助魔法、回復魔法など魔法を使う事を役割とする人が選ぶ。


ダイヤのマークはお金を表し、ダイヤのマークを選ぶとモンスターを倒した時のお金のアップ、アイテムのドロップ率アップにも影響があるようになる。


ダイヤのマークを選ぶ人は遠距離攻撃を主体とする人が選ぶ。遠距離攻撃は矢や弾を沢山消費するのでお金がかかるのだ。


クラブのマークは知識を表し、クラブのマークを選ぶと生産したモノの効果がアップしたりするようになる。


クラブのマークを選ぶ人は生産職をしている人が選ぶ。生産したモノの効果がアップする仕様のおかげで生産のスキル構成でも他のマークの人にも負けない活躍が出来る。


だからボクはこのゲームで純生産職と言われるスキル構成にして、クラブのマークで行こうと思っている。


ボクが選ぶスキル。


集中スキル

採取スキル

鍛冶スキル

錬金スキル

軽装スキル


集中スキルはMPの回復を早める効果があるため取っているスキル。


軽装スキルは物を多く持てるという利点があるから取っているスキル。


ここまで生産に特化した純生産職と言われるスキル構成をする人はあまり見た事がない。クラブのマークの効果で生産したモノの効果がアップすると言っても近距離スキルや魔法スキルを入れたスキル構成にした方が冒険の効率がいいからだ。


~~~

このゲームに出てくるアイテムの全てには魔力があり、採取行動をすると徐々に魔力が失われていく。


採取スキルを取っていない人が採取行動をしようとするとタイミングを合わせるゲージが出てくる。


成功のタイミングだと採取成功だけど、時間がかかりすぎると品質が悪くなっていくというシステム。


採取スキルを持っている人にはタイミングのゲージは出ない。


その代わりに採取する手順によって魔力の損失が決まるようになっている。


正しい手順で採取すると最高品質でアイテムをゲットできる。


薬草で説明すると、薬草をただ引っこ抜くと魔力の損失は50%になって、普通品質の薬草を採取できる。


薬草の根の周りをスコップで掘り、それから根の周りの土を落として採取すると最高品質で採取できる。


この採取方法だと薬草にストレスがかからないから最高品質っていう感じ。


ただの薬草の採取だけど、最高品質で採取出来るこの採取方法にたどり着いたのは、オープンベータ版が終了する少し前の事。


初期アイテムでもある薬草の正しい採取方法を見つけるのでも、かなりの時間がかかるくらい奥が深いゲーム。


鍛冶スキルや錬金スキルも似たような感じで奥が深い。運動音痴で鈍臭い事を自覚しているボクは純生産職のスキル構成でこのゲームを楽しもうと思ってる。


~~~


「8時55分。そろそろゲームを始める準備をするか」


9時からスペードのクイーンのゲームが正式リリースされる。そのフルダイブ型ゲームを始めるためにボクは専用のカプセルに入る。


「ゲーム起動・スペードのクイーン」


ボクの言葉で目の前の景色は一瞬の暗転。すぐに景色が変わり、目の前に広がる辺り一面真っ白な空間。


少し待っていると、目の前に女神アテナが現れた。


「スペードのクイーンの世界へようこそ。貴方には悪魔の手からこの世界を救ってもらいたい。まずはこの世界に慣れるためのチュートリアルをしてもらいたいが、どうだろうか?」


このゲームをやる多くの人はオープンベータ版をやっているので、普通であればチュートリアルを飛ばす人も多いと思う。


だけど生産職をする人はチュートリアルをクリアした時の報酬の関係でチュートリアルをやった方がお得。


「ボクはチュートリアルを行います」


「わかりました。それでは頑張って下さい」


一瞬の暗転。目の前にはリアルな街並みが広がり、後ろを振り向けば爽やかな風と共に広がる草原の世界。


オープンベータ版でもチュートリアルをやっているので、素早く移動開始。正式サービス開始直後なので、出遅れればいろいろと不利になる。


わかりやすいところを言うと採取場所の場所取りだ。オープンベータ版の時は鉱石の採取場所を大手クランが独占したりといろいろな事があったのだ。


だからボクは素早く3種の生産スキルのチュートリアルを終わらせて、生産ギルドの受付の人にアイテムを渡す。


「採取スキル、鍛冶スキル、錬金スキルのチュートリアルアイテムを確認致しました」


チュートリアルの報酬はスキルレベルが25上がる。


3種の生産スキルのチュートリアルを終わらせた純生産職の人は、見習い生産者の手袋というアイテムが手に入る。


見習い生産者の手袋。採取、鍛冶、錬金スキルレベルを倍にする(レベル100を上限とする)


ゲーム開始直後ならこの効果のおかげでスタートダッシュが出来る。だからボクは純生産職にしたというところもある。


「三上様は生産スキルを3つお持ちですので、チュートリアルを終了するには薬草と鉄鉱石、ショートソードとポーションをアテナ像に捧げる必要があります」


ボクはチュートリアルの街の中心にあるアテナ像の前に移動。


「このアイテムをアテナ像の前に捧げてチュートリアルは終了だ」


ボクは薬草と鉄鉱石、ショートソードとポーションをアテナ像の前に置くと声が聞こえてきた。


「貴方は純生産職として頑張るのですね。そんな貴方にはこのアイテムを差し上げます。どうか悪魔の手からこの世界を救ってください」


『見習い生産者の手袋を手に入れました』


「それでは始まりの街に転移させますね」


一瞬の暗転。場面が変わると思ったら暗転したままで場面が変わらない。そして聞こえてきたシステムメッセージ。


[サーバーに負荷がかかりすぎたために、現在復旧作業をしております。今しばらくお待ちください]


「えー、マジでー。でもサービス開始直後ってこういう事多いんだよなぁ。仕方ないと思って諦めるか……っていつ復旧するんだろ。スタートダッシュは決めたいからこのまま待つとするか」


…………


[大変お待たせ致しました。サーバーメンテナンスが完了いたしました。引き続きゲームをお楽しみください]


「おっ、終わったな。チュートリアルも終わった事だし、一気に行くぞ」


暗転から景色が変わり、目の前にはリアルな街並みが広がり、後ろを振り向けば爽やかな風と共に広がる草原の世界。


「あれ?ここチュートリアルの街じゃん」


ボクはステータス画面を開く。


「スキルレベルも上がってるし、見習い生産者の手袋も持っている」


だけどチュートリアルを終了させるアイテムは持っていない。


「えっ、もう一回チュートリアルやるの?っていうか始まったばかりだからロールバックもないし、このままやるって事なんだよね」


ボクはもう一度チュートリアルをやるために行動を開始した。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ