科学と魔法の狭間
誕生会を途中で切り上げて屋敷の中に戻ってきた僕らは、居間に集まることとなった。
参加してくれていた皆さんには、申し訳ないけれど、途中で帰っていただくことにした。
(執事とメイドの皆さん、せっかく準備してくれたのに、お手数おかけしてすみません。)
と心の中で謝っておいた。
「さて、アスフォードは、怪我や変わったことは無かったか?」
父が心配そうな顔で問いかける。
「怪我はありませんが、不思議なイメージを沢山見た気がします。」
僕は正直に、頭の中に浮かんだイメージの数々について、父に説明をしていった。
「うーん。。。不思議な夢だな。いずれにしても、大したことは無さそうで安心したよ。」
父にはどうやら”夢”と伝わった様で、不思議な夢を見た息子ということになったらしい。
僕は僕で、一気になだれ込んできたイメージの数々に、頭痛とめまいを感じて、その日は早々にベッドに入ることにしたのだった。
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その夜、僕は長い長い夢を見た。
”今の僕ではない誰か”が、生まれてから、その人生に幕を下ろすまでの物語。
見たこともないような大きな建物や、空を飛び交う巨大な船。
小さなころから、星空にあこがれて、「いつかは星へと行ってみたい」という夢を持つ。
何年も学校に通い、”空を飛ぶため”の科学という知識を学び、空のその先、夜空を彩る星々へと思いを馳せる日々。
長年苦労して発見した星を渡るための研究結果を、いよいよ発表するというその日。
会場へと向かう途中で、銃に打たれ、急速に意識を手放した。。。
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瞼の外に、朝の陽ざしを感じて、薄く目を開ける。
気づかないうちに、僕は泣いていたみたいだ。
目じりに伝う涙をぬぐってから、昨日のイメージと、夢の内容を思い返す。
僕のようで、僕ではない、誰かの記憶。
「前世」とでも言ったほうがいいのだろうか。
ぼんやりと考えながら、魔法でお湯を創り、顔を洗う。
それにしても、夢で見た「科学」という知識は、今まで聞いたことも見たこともないものだった。
空を飛ぶ道具なんて、今まで聞いたことがない。
魔法で空を飛ぶことはできるが、空に輝いている星に行ったなんて話は、物語の中でのことだと思っていた。
本当にできるのならば。
星空のその先へ行けるのならば。
いつか行ってみたい。
今まで感じたことがないようなワクワクした気持ちが、胸いっぱいに広がってきた。
まるで、自分が物語の主人公になったみたいだ。




