そこそこ歴史に詳しいヨーロッパ人(笑)が、なろうテンプレを読んだ時の感覚を再現してみた【転生令嬢編】
かなり大袈裟にやってますごめんなさいどうか石を投げないで下さいこれはおふざけです誰も貶めるつもりは一切ありませんこれはジョークですだから許して下さい
必殺!「日本語は母国語じゃないのでお手柔らかにお願いします!」[*]
尚、作者は日本の歴史は大まかな流れしか知りません。しかし、本作を書くにはそれ位が丁度良いと判断しました。
あらすじ
名誉ある百姓大名家[1]のお姫様、百姓お蝶は、十歳のある日、しがないイギリスの女学生だった前世を思い出す。そう、そこは前世で遊んだ乙女ゲームの世界、「合縁奇縁!Be my Samurai♥」であり、お蝶はそこでヒロインである巫女を虐める悪役姫様なのだ。
このままでは破滅フラグまっしぐら!故にお蝶は婚約者である次期天皇、そして他の攻略対象である将軍、武家の倅、公家の嫡男、住職見習いを避けようとするが、何故か逆に気に入られて?!しかも隠れキャラ、「忍者」がどうして…?
知識チートで無双する、異世界東洋戦国風ファンタジー!
・
・
・
・
・
・
頭痛と共に目が覚める。寝台の感覚に違和感を感じた。これは…ベッドじゃない?え、ベッド?ベッドって…何だっけ?
それと同時に頭の中に、膨大な記憶が流れてくる。そうだ、前世の私はアン・スミス、しがないイギリスの学生だった。
むくりとお布団から起き上がる。前世とは全くと言って良い程違う景色。床のこれは畳、という物だ。そして隣に置かれている金の屏風には、繊細な孔雀と雀の絵が描かれている。正にオリエンタルアート。それだけで、この家がかなり裕福なのが解った。
立ち上がって縁側の方へ移動する。障子を開けると、奇麗な庭園が広がっていた。こういうのは確か、枯山水っていうんだっけ?そういう庭だ。その庭の中心にある池[2]へと足を運ぶ。そしてそこに写った黒目黒髪の愛らしい少女を見て、私は絶句した。
私はよりにもよって、悪役姫、百姓お蝶に転生してしまったのだ。
そうだ、前世の私は所謂ウィーブで、日本の文化にとても興味があった。この世界は、その時特にハマった乙女ゲームに似ている。「合縁奇縁!Be my Samurai♥」—戦国日本風の、乙女ゲームだった。ストーリーは悪しき妖怪がのさばる戦国東洋ファンタジー、ある日突然茶屋の娘が退魔の巫女[3]として目覚め、都に連れて来られるという物。そこで出会う様々な美形の攻略対象と恋愛を楽しむ、というのがこのゲームの売りであった。
攻略対象が五人、そして隠れキャラが一人。次期天皇の田中一郎、将軍の宮崎奕辰、武家出身の金信子、公家の李杨、住職見習いの일휴[4]。
そしてよりによって、私はヒロインと攻略対象の邪魔をする、悪役のお姫様に転生したのだ。
(この後主人公は、中世も近世もヨーロッパも関係ない…じゃなかった。戦国も東洋も関係ないお約束の展開で攻略対象を惚れさせる。そしてやってきました知識チートお料理編。ちなみに隠れキャラの忍者は時々現れては消える、ミステリアス要員。好物は蒸かし芋)
「ふふふーん♪」
今日はやっと父上様の許可を貰って台所を使う許可を貰った。何時もは重くて大変な十二単を脱いで、今日は軽やかなチマチョゴリを着ている。髪は邪魔にならない様に、立兵庫に結った。
「姫様、何を作るおつもりなんですか?」
私の女官、お花が尋ねる。それに対して私は自信満々に答えた。
「醤油よ!」[5]
(主人公の作った醤油は爆発的に売れ、彼女は一財産築いた。その後なんやかんやあって、基本作者自身(私)この先読まないから適当にテンプレ的オチを各自想像して下さい。多分忍者か天皇と結婚するんじゃないの?知らんけど)
おしまい
以下、説明というか弁明というかあえてこうした理由
[1]
貴族の名前を付ける際、職業名付けている人をチラホラ見かけます。スミスとかカーターとかフィッシャーとかポッターとかメイソンとかテイラーとかエキセトラ。それな、侯爵に「ツボ職人」って名付けている様な物なんです…大名が「百姓」なんて、変でしょう?
[2]
枯山水庭園には普通池は無いって?ああ、でもこれは史実では無く、「戦国東洋風ファンタジー」なのであります!
[3]
聖女…じゃなくて巫女ってそうやって決まるの?知らんけど。
[4]
え、中国と韓国と女子の名前が混じっている?でも全部ちゃんと「東洋」でしょ?(すみませんごめんなさいちゃんと区別は付いています。でも、でもね!こっちはいつも「ヨーロッパ」で一括りにされているんですよ!名前も含めて!皆バラバラ!)
[5]
何時も思うんだけど、何で基本近世フランス風の世界で、皆どや顔でマヨネーズ作るんだろう…あれ、18世紀フランスの調味料なんだよね…
後はもう面倒なのでワザとやった、って事で…
いやもう、何が言いたいか解って頂いたと思うんですけど、本作は別にテンプレや特定の作品を貶す目的は一切ありません!ただ、この気持ちを何らかの形で共感して欲しかった、それだけです!
追記というか余談:
実は醤油も18世紀の時点でヨーロッパに入ってきています。1737年では、オランダ東インド会社が、75樽の醤油を出島から輸入、一部をジャワ島に輸出、35樽をオランダに持ち帰った、との記録あり。同時期の学者、イサーク・ティチングもこの頃に「(和風)醤油の作り方」的な内容の書物も出版していますし、下手すると存在自体はマヨネーズの前に知られていた…?
[*]作者はそんな言い訳が出来ない程度には、日本語理解しているつもりです。冗談だよ、別にお手柔らかじゃなくても大丈夫( ^^)b
でも基本的なマナーは守ってね☆
本作が思った以上に反響あって、正直めっちゃビビっています(日間ランキング一位…だと…!)。でも嬉しいですね!
良ければこちらもどうぞ!
ファンタジーにおける、ワンランク上の命名方法について考えてみた【地名編】(https://ncode.syosetu.com/n8455hd/)
更に追記:マヨネーズについて
コメント欄にて、「マヨネーズはフランス生まれではない!」という感想を頂きましたが、作者はその戦いに入るつもりは毛頭ありません!というか私はその様な主張をしている訳では無いです。マヨネーズのオリジンなんてぶっちゃけ誰も解っていません。
その際に返信として書いたマヨネーズ史の要約↓
マヨネーズのオリジン主張権、フランスvsスペインは有名な話です(多分)
フードライターやフードヒストリアンですら意見が分かれています。
最も有名なオリジンストーリーでは、リシュリュー公爵がマオンから持ってきた物を、フランスで「mahonnaise」として広め(1756年以降)、それがマヨネーズとなった、という物です。が、そのリシュリューがどうやってマヨネーズを見つけたのか、という伝承は幾つかあります。
1.スペインのゴミラ修道士のレシピブックにある「アイオリ・ボ」(1750年)がマヨネーズのオリジンであり、リシュリューはこれをパクった
2.マオン地元の宿で発見
3.マオン滞在中に『勝利のソース』を作る際のクリームが無くて、卵と油を代用品として公爵自身が作った
エキセトラ。まだバリエーションはあると思います。
それでいて、この公爵によるマオン・コンクェストの前に、フランスでもマヨネーズと似た調味料が使用されていたともされています。1742年のフレンチ・クックブック(フランソワ・マリン作)には現代のマヨネーズと似たソースレシピが登場します。このソースもまた一説によるとレムラード・ソース(フレンチ)が元、一説ではアイオリ(スパニッシュ)が元です。
何ならフランスの街、バイヨンヌ出身説や(Bayonne→bayonnaise→mayonnaise)、古フランス語のmoyeu(黄身)から来ているからフレンチ!説もあります。
1920年代からスペインのパンフレットに、「マヨネーズはスペインの物だあああぁぁ」的な内容の物が出版されてから、この戦いは始まったともされています。
しかし、私の意見をまとめるなら
「マヨネーズという単語と、最も馴染み深いレシピは、18世紀フランスのクックブックには載っている故、『マヨネーズは18世紀フランスの調味料』だと言える」
貴方がスペイン派だろうとフランス派だろうと、何なら日本人転生者派だろうと、頼む、私を巻きこまないでくれええぇぇ