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追放された元公爵令嬢は何故か、追放した王子と冒険者をする  作者: 蟹の身が綺麗に取れない
1章:元王子とパーティー組みました
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本編4

鬱蒼とした森をエルメス王子と二人で歩いていると、目の前の王子が余計な事を思い出してくれた。


「おい」


「何ですか?」


「お前、アイリーンと言う名に聞き覚えは?」


自分から切り出したかったな…

こう言う勝手に突っ走るタイプの人は、あらかた全て教えておいて、口止めした方がめんどくさい事にならないと思うけど

ただ一つだけ不安なのは、彼が私を探す目的で冒険者をしている場合だ。

まぁ、王子が率先して探すのはあり得ないし、万が一そうだったらお供も何人か居るはずだから、多分大丈夫だと思う。

仕方ない、全部バラすか…


「ええ、当然ございますエルメス殿下。自己紹介が遅れました。私がアイリーン・アストガードです。今は冒険者として、アイリを名乗っています」


「…お前が?随分と変わりすぎではないか?髪も茶色いし、言葉遣いも全然違うじゃないか」


髪色だけならエルメス王子だってそうだ


だけど今はそんなこと気にしてる場合じゃない…エルメス王子が何でこんなところにいるかそっちの方が重要だ。


「それで、エルメス殿下?何故こんなところで冒険者を?」


「廃嫡された、お前を不当に貶めた罪でな」


廃嫡!?別に私は死んでないのに王様も思い切った事を…

いや、もしかしてお父様か!?親バカだったから怒りに任せてって事だったらどうしよう!?


「今の俺は、王族でも何でもない。今はエルという名前で冒険者をしている」


少ない情報だけど、まとめると私に対して婚約破棄&身分の剥奪をした事の罰として、廃嫡されて冒険者になったと…

やっぱり、罰重くない?私の責任?

くっ!悩んでも仕方ない!取り敢えず私をアイリーンと呼ばせないようにしないと!


「わかりました、エル様。どうか私もアイリと呼んでください」


「俺の事も呼び捨てでいい」


やばい…仲良くなってるわけじゃないけど…このままズルズルと付き合いが続きそうな感じがする。うう〜


「あとな…そのなんだ…あの時の事だが……!?」


歯切れの悪い言葉に、耳を傾けながら歩いていると言葉と同時に足音も止まる。


「どうしたんで…すか…!!?」


不思議に思い、前を見るとゴブリンとは似ても似つかぬ巨大な影が立っていた。


「オーガ?!なんでこんな浅いところに!」


「何だと?!オーガ?!こいつが?!俺が受けた依頼はゴブリン討伐のはずだぞ?!」


今初めて知った依頼内容だったが、それどころではなかった。

オーガは、Cランクパーティー、又はBランクの冒険者ではないと依頼自体が受けられないほどの強さを持つ


Fランクのしかも、なって一週間と二日目が戦っていい相手じゃない!!


「グガアァァァ!!!」


黒い体毛に覆われた猿のような魔物。だけど所々に赤い液体が流れていて、それが何故こんなところにいるのかを容易に想像させる。


誰かが倒し損なった…もしくは撤退したか全滅したか、だけど今はそんなこと考えてる場合じゃない!

隠密魔法で逃げる?いや、駄目!匂いまで消せない!


「ははは!!ちょうどいい!!俺の強さを証明できるじゃないか!」


!!?馬鹿!オーガも知らないの?!


「エル!!!無理です!!逃げましょう!」


このままでは二人とも、肉塊にされてしまう


「駄目だ、オーガは人間よりも速い上に嗅覚も鋭い。逃げの選択肢はない」


「知ってるならわかるでしょ?!!勝てるわけないじゃない?!」


会話に痺れを切らしたのか、ただ単に目の前の者を獲物と定めたのか、オーガはその巨体を捻り、右腕を振り上げる


「グガァァ!!」


「甘い!」


話しているうちに腕を振り上げるオーガに対しエルは地面の砂を掴み顔に投げつける


「ガァ!?」


「ふっ!」


目に入る砂埃に堪らず目を押さえるオーガ。その隙にエルは指の間から剣を差し込んだ


「ガァ…」


その剣は生物ならば脳まで貫通している筈で


「稲妻よ走れ『紫電』」


剣を走る稲妻は、肉を焦がす音を上げていた。

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