8 誰ですか?
一条ハジメ視点 その1
自分で言うのもなんだが、俺は世渡りが上手な方だと思う。
人当たりも良いし、誰からも好かれる性格をしていると思っている。
現に俺の周りにはたくさん人が集まって来て、皆、俺を中心に笑顔になっていく。
まさに俺が何かの物語の主人公ってくらい順風満帆に人生を謳歌していると錯覚してしまう程だ。
そして俺は顔も良くてモテる。小学校高学年から俺は彼女がいたし、中学になってから更に女子からモテるようになった。
同学年の女子は全員俺に惚れていて、密かに俺の事を想っているんだろうな~なんて考えていた。
だって俺が、可愛い女の子に少し声をかけて話して「好きだよ」って言えば、その日の内に付き合える。なんて良くある事だった...。
そんな事が何年も続けば世の中、いや世界が俺を中心に回っている。って確信してもおかしくないだろ?
だから俺は...高校に入学して、同じ学年の一番の美少女、白金ミウに目をつけて、俺の彼女にしたいと思うことは当然で、俺の彼女になると思うことは必然だと思った。
高校生になってからは《何人付き合ったか》ではなく《どんな女と付き合っているか》に重点を置いていた。
正直飽きていたんだ。
同じような見た目の女子が寄ってきて、付き合っては飽きて別れる。
そんな事が続いて俺は見た目より中身を重視しはじめたのだ。
入学してから何人かの女の子に告白されたが
全て断った。
なぜか?
同じクラスに、俺に寄ってくる有象無象の女より別格にいい女がいるからだ。
《白金ミウ》
俺は彼女に惹かれていた。
外見も、性格も、雰囲気も全てが俺のドストライクなんだ。
だから入学して1ヶ月目に告白したさ。
放課後、彼女が一人なった時を狙って。
当然一ヶ月経てば俺がどんだけ人気があって、モテてるかわかると思うし、普通の女子ならそんな人気者に告白されたら舞い上がって、嬉し泣きすらしてOKするだろう。
だが白金ミウは違った
「悪いけど、あなたとは付き合えません」
...は!?
なにを言っているか理解できなかった。
そんな呆然としている俺に追い討ちをかけるように
「そもそもあなた誰ですか?急に告白されても気持ち悪いだけです...では」
足をワナワナさせて立っている俺。
振られた...?この俺が...?
現実を直視できない...
それに最後の言葉。
誰ですか?...だと?
同じクラスでめちゃくちゃモテて、クラスの人気者で、世界の中心にいるこの俺に向かって誰かだと!?
全てのプライドがいまの一言でズタズタに引き裂かれた。
それと同時に、今まで味わったことのない憎悪の気持ちが、一条ハジメの身体を支配した。
「俺を振った事を一生後悔させてやる...白金ミウ!!」
それから一条ハジメは、白金ミウに固執するようになった。
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