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4 白金ミウと・・・


 ピピピ ピピピ ピピッ


 朝5時30分


「ふあぁ〜もうこんな時間か…」


 眠い目をこすりながらベッドからもぞもぞと出る。歯を磨き、ジャージに着替えて、ランニングシューズを履いて少しだけ準備運動をする。


「よし!いってきまーす」


 当然ミウは寝ているので、誰からも返事はない。


 毎朝5時30分に起きて一時間のランニング。俺が毎日行っている朝のトレーニングだ。


 なんでこんなことをしてるかって?それは…

 


 毎朝早く起きてトレーニングしてるお兄ちゃんかっこいい!努力家で健康志向なお兄ちゃん大好き!って妹に思わせるためだ!!!

 これを思いついた時「俺は天才だ!」と思ったもんだがやはり上には上がいるもんだな。

 昨日のヒカリの作戦を思い出してまた感動にうちひしがれる。ヒカリの作戦に比べたら俺の考えなんて妹の服に着いた毛玉くらいなもんさ。


(そろそろ一時間経つな…帰るとするか)


 家の前に着き、玄関のドアを開けた。


「ただいまーっと」


「おかえり。兄さん」


 そこには俺が大好きで、俺がフォーエバーラブを誓った妹のミウがピンクのパジャマ姿で立っていた。


 ツヤのある黒髪ロングヘアーで高校1年生にしては背が高く、モデル並のスタイルを誇る。芸能人など少しキレイなじゃがいもじゃね?くらいに思わせる程、ミウは別格に綺麗で美しい。


 そんな綺麗で大好きな子に、おかえりって言われてみろ?俺が言える言葉はこれだけだった。


「あ、あぁ」


「……」


 ぷぃっとミウはそっぽを向いてそのまま洗面所へ行ってしまった。



(し、、しまったぁあああああ!またやってしまった!)


 ついつい見惚れてしまってまとも会話すらできない状況が、ここ数年続いてしまっている。


 ミウを目の前にすると極度の緊張とあまりの綺麗さで言葉がでてこない。


 あ〜あれだ、クラスで今まですごいしゃべってたのに、好きな子が近くに来た瞬間意識しちゃって黙り込んで、何もしゃべれなくなっちゃうあの感じ。あれだあれ、わかるだろ?


 玄関に立っててもしょうがないので俺はシャワーを浴びて学生服に着替えてからリビングへ行くとミウが朝食を作って待っていてくれた。


 椅子に座った姿も、西洋の彫刻を彷彿させ、姿勢良く座ってる姿はとても高校1年生とは思えない程気品を感じる。


 毎日毎日何年経っても俺はミウを見るとこんな事を思ってしまう。ミウを見ると心ここにあらず状態になってしまい俺はミウに対してカタコトの日本語しかしゃべれなくなってしまうのが俺の短所だ。


「食べないの?」


「あ、あぁ食べるよ。」


俺はミウの正面の椅子に座り手を合わせる。それに合わせてミウも手を合わし



「「いただきます」」


ミウの朝食は言わずもがな。最高だった。だがやはり緊張で何も話せなかった。時折ミウの方をチラ見していたのは内緒だ。


「「ごちそうさまでした」」


お皿を洗い俺はホットコーヒー、ミウにアイスカフェラテを作ってあげて一息ついていた。


「昨日の夜どこかでかけたの?」


 アイスカフェラテを飲んでいたミウが急に話しかけてきて俺の心臓は跳ね上がった。落ち着け俺…普通に会話するんだ…


「あぁ」


「ふーん」


 そしてそのままじぃーっと俺を見つめてくる。(やめろ!お兄ちゃん惚れすぎて死んじゃう!)


「どこに行ってたの?」


「あーヒカリの所」


 その瞬間ミウの飲んでいたアイスカフェラテの手がピタッと止まった。どうしたんだろう?


「なんでヒカリさんの所へ行ってたの?」


 またしてもじぃーっと見つめられる俺。(ダメだ。もう可愛すぎてヤバい!そんな見つめられたらお兄ちゃん耐えられない!)


「それは…ミウを…ッ!!」


 あぶない!理性が飛んであやうく作戦を全部暴露するところだった。汗が吹き出てくる


「わたしを…?」


「い、いやなんでもない」


「ふーん」


 そう行ってミウは自分の部屋へ戻ってしまった。


(ふぅ〜あぶないあぶない。あやうくヒカリが考えてくれた天才的作戦が台無しになるところだった…)


 などと思って今日からヒカリがどんな指示を出してくれるんだろうと考えていたらピンポーンとチャイムがなった。


(おっとヒカリが来たみたいだな)


 俺は靴を履き


「はいはい今行くぞー」


 とドアノブに手をかけたら


 後ろから階段をドタバタと降りてくる音がする。


「兄さん待って!開けないで!」


 普段聞いたことないような声を出すミウ。その違和感にいち早く気付いた俺だがもうドアノブを回してしまい…




ドアが開いた先に居たのは見知らぬ男



「あ、初めましてお兄さん。」


 だれだこいつは?なんでいるんだ?


「どちらさんで?」


 俺は睨みながら聞いた。こいつにお兄さんと呼ばれる筋合いはない。


「僕はミウさんと同じクラスメイトの一条ハジメと言います。ミウさんと…きあ…………ます。」



(は?????????????????????????)


 こいつが一条ハジメって言う事はわかったがその後はなんて言ったのかちゃんと聞き取れなかった

 こいつ今なんつった?なんだ?声がうまく聞き取れなかった。いや聞こえてたけど脳が理解できなかった…


「悪い聞き取れなかったみたいだ。すまんがもう一度言ってくれないか?」


「あ、はい笑」


そいつは気味の悪い笑みを浮かべながら 


「ミウさんとお付き合いさせてもらってます。一条ハジメです。今後ともよろしくお願いしますね。…お兄さん」




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