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異世界キッチン間借りデリ〜魔法薬店はお弁当のお店!?〜

作者: 織部ソマリ

2019/5/8改稿しました。

内容に大きな変更はありません。細かい部分を修正しました。




「カリン、今日のランチボックスは何?」


 キッチンの向こう、扉の奥から声がかけられた。


「今日はカレーですよー!」


 腕時計を見れば時間はそろそろ11時30分。()()()風に言えば『昼中刻と半』だ。


「ジーク、そろそろお店開けます」


 顔だけ扉の向こうに出して、あちらを覗き声を出す。

 お店はいつも通りの淡い明るさで、森林の中にいるようなそんな雰囲気。

 小ぢんまりとした店には日の光を嫌う物もあるからと、通りに面した入り口側だけが硝子になっている。今日の()()()は雲ひとつない晴天だけど、直射日光が入る事はないのだ。


 ちなみに、今日の()()()はどん曇り。


「うん、じゃあこっちはそろそろ休憩にするね。ああ、それ持つよ」


 ジークは私が持っていた大きなカレー鍋をヒョイと取る。


「ありがとう」


 ()()があってジークはキッチンの中に入ることは出来ない。

 だからこの境の扉までは私がヨタヨタ持って行くのだけど、家庭用としては大きな寸胴に作ったカレーは予想以上に重かったので有難い。

 今後のことも考えて、ちょっとの距離だけど台車を購入した方が良いかも。


 ところで、普段ローブに隠されているジークの腕は意外と逞しいようで、度々こういった手伝いをしてくれる……のだが。

 やる事がスマートな上に、毛先に少し癖のある金髪と青い瞳というその容姿。私より頭一つ分以上は高い身長と穏やかな口調、それからじっと見つめて微笑むその癖。(なの?)

 今もドアを開けていてくれたりエスコートするように歩いたり、丁寧な女の子扱いがちょっとこそばゆく、うっかり心臓に悪い。

 日本人慣れてないの。そういうの。


 さて。気を取り直して、私はごはんと付け合わせの『兎菜のマリネ』を詰めたお弁当たちを抱え()()へと急ぐ。

 今日はごはんの他にパンも用意してたから少し急いで準備を――と、思った時。


『テテテッテ トゥトゥッタッ♪ テテテッテ トゥトゥッタッ♪テテテッテテッテテッテテッテ トッタットン♪』


 飴色の扉前に取り付けた小型の無線スピーカーから軽快なメロディーが流れ出した。

 私のお店『カリンDELI』の開店合図だ。


 曲名は忘れたけど、三分番組でお馴染みのあの曲。スマホに入っていた曲だけど、お弁当とお惣菜のお店の開店メロディーならこれかな! と選んでみた。

 開店時間に曲を流すなんて、ちょっと昭和なチャルメラとか石焼き芋屋さんとか……そんな感じもしなくはないけど、時計を持つ人が稀な()()ではあった方が良いのだ。

 お店を開く日は、私のスマホにタイマーをセットしておき鳴るようにしてある。


 これをジークは『なにそれ! ちょっと分解してみてもいい!?』と、興味津々な様子でスマホとスピーカーを見ていたが、勿論そんな事はさせられない。

 分解したら直せないからね! スマホ!!


 さてさて、この音楽が流れたという事はもう時間だ。早くしないとお客さんが来てしまう。


 私は『イステル魔法薬店』の片隅、一畳半ほどのスペースへと急ぎ、カウンターにお弁当を積み始めた。

 大きなおままごとキッチンか小さな屋台のようなここが私のお店。ジークのお店に間借りした、お弁当とお惣菜の店『カリンDELI』!

 ランチタイムはお弁当、夕方はお惣菜二、三品を出している。どちらも一時間〜一時間半の営業だ。


 丸型の曲げわっぱのようなお弁当を並べたら、大急ぎでパンも並べる。パンは三軒隣のパン屋さんから購入したもので、お弁当箱も職人街のレーベルさんに注文したもの。


「ジーク、カレー鍋はこっちにお願い」


 大きな鍋はお弁当を積んだカウンターとは逆、壁側の作業台に置いてもらった。カレーは注文が入ってからの用意だからこちらの方がやりやすい。


「はいはい。あ、看板出してこようか?」

「そうだった! ごめんお願いします……!」

「いいよ、僕の方は休憩の札を出しとかないといけないしね」


 ニコリと笑うと、ジークは表に『カリンDELI』の看板を出し、店の扉には『イステル魔法薬店・休憩中』のプレートを掛けた。


「カリン今日のカレーは何?」

「ふふっ、ジークのリクエスト通りチキンとひよこ豆のカレーです! チキンはねーオーブンでじっくり焼いたから皮はパリパリ、中はふっくらジューシーな仕上がりになってます」


 今回は良い鶏が手に入ったし、お世話になってるジークのリクエストでもあったからちょっと時間をかけてみた。

 鶏肉にハーブを擦り込んでからじっくり遠火でローストして、それをひよこ豆と煮込んだカレーに入れ更に煮込む。するとスプーンだけで肉を骨からはずせる、中身ホロホロ皮パリパリの『チキンとひよこ豆のカレー』の出来上がりだ。


 ところでだけど、作りながら「チキンとひよこ豆で親子カレー……」なんて思ってしまったんだけど、よく考えなくても親子じゃなかった。

 いくら『異世界』でもひよこ豆がピヨピヨ鳴くことはなく普通の植物でした。


 ただし、ひよこ豆はマメ科ではなく、何故かヒヨコ科らしい。先生よく分かりません。


「それは楽しみだね。じゃあカリン、僕は調合作業して待ってるから、昼一刻になったら一緒に食べよう」


 ジークは蒼い瞳を細めて、私の頭にぽふんと手を乗せる。

 女の子扱いの次は子ども扱いである。いくら私が日本人の中でも童顔で、()()()の世界では更に若く見えると言ってもこれはいただけない。

 色んな意味で恥ずかしいのでやめて欲しいのだけど、ジークは私を揶揄って楽しんでいる節があるので言うだけ無駄。なのでもう放っておいている。


「うん。じゃあ後で――あ、いらっしゃいませ!」


 カラン、と入り口の扉のベルが鳴り、常連さんたちが賑やかに入って来た。


「ん、今日はカレェイか」

「カリンが作るこのカレェイってやつ美味いんだよな〜」

「レシピ聞いても全然分からないのよね、これ」


 日本語発音の『カレー』はここでは耳に馴染まないようで、ジーク以外の皆は『カレェイ』と妙にイイ発音で呼んでいる。


「いらっしゃいませ、ゼーベックさん。ライスとパンどちらにしますか?」


 お向かいの書店の店主兼学者のゼーベックさん。私のお弁当ファン第一号の六十代のおじ様だ。いつもオールバックでカッチリとした服装をしていて素敵なのだ。


「うむ……ライスにしようか。ああ、もう一つはパンで頼めるかな」


 いつも店番中の奥様にお弁当を買っていくのも実に良い。私も愛妻家さんの嫁になりたい。


「カリン、俺もライスで!」

「はーい! いつも通り五つでいい?」

「うん! あ、二つは大盛りにしてー」


 このお弁当箱の造り主であるレーベル工房で働いているヴァルター。成人したばかり、十五歳の職人一年生で、いつも工房皆の分を買いに来てくれている。


「じゃあ私のはライス少な目でお願いできる? もう一つは普通で」

「はい。じゃあ半銅貨割引きにしますね」

「それからコレ。試作品なの、あとで食べてみて?」

「わ〜ありがとうございます! いただきます!」


 手渡された籠の中身は焼き菓子。バターとレモンだろうか? いい匂い!

 彼女はパン屋さんの隣、菓子店のリーゼさん。実はパン屋さんの娘さんだ。


 試作品の試行錯誤中は試食が増えるので、ランチは必然的に少なめになるらしい。お察しの通り、もう一つのお弁当は旦那さんの分。こちらも仲睦まじくて良いなぁ。


 カラン、カラーン。

 次々と扉のベルが鳴り、お客さんが訪れる。


「いらっしゃいませ!」


 たった一ヶ月なのに、このお店も随分と街に馴染んだものだ。






 ここはシュトルム王国の王都、シュトルブルン。お城から周りを囲むように整備された貴族街を抜け、橋を渡ったその先、そこがシュトルブルンの中心街。

 このお店は放射状に整えられた城壁都市の、その中でも『魔法』に関した店が立ち並ぶ通りにある。


 私は和泉花凛(いずみかりん)、二十八歳。ブラックだった会社を辞めて四ヶ月。

 事の発端は一ヶ月前。そろそろ失業保険も切れるしこれからの事を少し真剣に考えなければ……と考えた果て、何の縁だかこの街でデリをやることになったのだ。


 一ヶ月前――その頃、心身共に疲れ切っていた私は考える事すら億劫で、まだしばらくのんびりしていたい……とそれだけを思っていた。


 そんな時、亡くなった大叔母の別荘の管理をしないか? と声がかかったのだ。

 大叔母に子供はなく、このまま荒れ果てさせるのも問題だから「暇なら半年でも一年でも住めばいい!」と疲れた私に言ってくれたのだ。


 管理と言っても特にやる事はない。適度に掃除をして人が住んでいるだけで良いらしい。

 場所は林と湖のある閑静な別荘地だが、セカンドハウスとして常に使っている人が多く治安も問題ないと聞く。

 特にお給料は出ないが、別荘を好きに使わせてもらえるのは有難い。

 私の両親は海外に移住してしまっていて、会社を辞めて帰る実家が日本にはないのだ。のんびりするなら慣れている日本がいい。


 そんな訳で、私は一人別荘へ向かい、そしてこの国――『シュトルム王国』に足を踏み入れ……? 繋がって? しまったのだけど……。



 ◆



「わ〜! 素敵な別荘! あっ、暖炉! うわっオーブンいいやつだし、え〜ピザ窯? 色々出来そう……さすが叔母さんお料理好きだったもんねー……」


 私は幼い頃に可愛がってもらった大叔母を懐かしみながら、別荘内を見て回った。

 広いリビングダイニングに使いやすそうな広さのキッチン。主寝室とシングルの客間が二つ、ツインの部屋が二つ。それからキッチン隣に広めの納戸があって、ここは食料庫や物置として使っていたようだ。


「私の部屋はどこにしようかな?」


 どこを使っても良いと言われているけど、どうせなら好みの色味の部屋が良い。

 大叔母はお洒落な人でもあったから、各部屋ごとに趣が違っていて、壁紙から家具の色、ファブリックまで様々なのだ。


「んー……迷うなぁ」


 明るいパステル調のレモンイエローに焦茶色の家具の部屋と、ペールブルーを基調にし、白の家具で統一された穏やかで可愛らしい部屋。この二つで迷っている。

 少し沈んでいる心を元気にしてくれそうなイエローにも惹かれるし、疲れた心が休まりそうなブルーも捨てがたい。


「うん、あとで決めよう! それにしても……どのお部屋も綺麗」


 別荘には定期的に清掃業者を入れていたそうで、室内は綺麗だし外壁も傷んではいない。十年も人が使わなかったとは思えない程だ。


「さて。じゃあ買い出しに行きますか!」


 納戸にも、勿論冷蔵庫にも食料は何もないのでまずはそれ。

 私は荷物をとりあえずキッチンにまとめ置き、車を出すことにした。

 そう。別荘地とはそんなに便利な場所ではないのだ。免許を取っておいて本当に良かった。


 だって一番近いコンビニまでは車で十分、小さなスーパーまでは三十分。今日の目的地は地元の農家さんの直売所と、その隣のドラッグストアだ。信号があまりないし車も多くないから距離の割には早く着きそうだ。




「わっ、朝採りの卵! 泥付き野菜! 何これ……? 山菜かぁ!」


 道の駅なんかにも直売所はよくあるが、悲しいかなブラック企業勤めだった私は実際に行った事はなかった。少ない休日は寝るだけで、小旅行なんて行く気すら起きなかったのだ。


「お姉さんここ初めて? 週末は朝市もやってるから是非おいで! 秋には新米もあるし、毎日タイムセールもあるのよ? 今日は豚肉ね」

「あっ、お肉もあるんですか! へー……何でもあるんですね……」


 平日の午前中は暇だったのか、店員のおばちゃんにアレコレお勧めされながら見て回った。


 結論から言おう。

 はじめての直売所は楽しすぎた。テンションが上がりすぎて一人だと何日分になるの!? という程どっさり買ってしまった。いや、そもそも一袋の量が多いんだよね! それに安い!


「ミネストローネでも作ろうかな〜」


 手打ちパスタも手に入ったし、スープスパにするのも良いかもしれない。


「良いところに来たなー……」


 幸い貯金はたっぷりある。勤務体系はブラックだったけどお給料は普通にもらえた。使う暇がなかったからの貯金だけど、通帳を見て、しばらくは のんびり休めそう……とホッとした。


 それに、もし仕事がしたくなったら転職した元上司の伝手もある。パソコンがあればどこでも出来る仕事だから、ここに住むのも良いかもしれない。


 私はこれからの暮らしを想像しつつ、ドライブ気分で家路に着いた。






 ああ、買いすぎた野菜が重い。

 私は車から買い物袋を降ろしキッチンへ運び込む。日持ちがする野菜は泥付きのまま後で納戸へ入れておこう。お肉も多すぎる分は冷凍して……。

 ちょっとこれ、何日引きこもるつもりなの? という量にあらためて笑ってしまう。買い物はストレス解消だって本当だ。今とても気分が軽い!


「よーし。しこたまお料理してストレスもっと発散しよ!」


 私は伸びたボブの髪をクリップで留めて、エプロンをして野菜を洗う。

 まずはジャガイモと玉ねぎ、泥を落とすと鮮やかな色の人参。この三つを一センチ角に切っていく。ちょっと手間だけど、広いキッチンでする久し振りの料理は楽しくて、ちっとも苦にならない。


 次はツヤツヤのトマトとシャンとしたセロリ、パプリカ、ぷりぷりのマッシュルーム。それからズッキーニとコロンとしたイタリア茄子。きっとあまり馴染みのない西洋野菜なので買う人が少なかったのだろう。どっさりのお徳用セットで売られていて、つい飛びついてしまった。


 さあ、それらを適当な大きさに切ったら、今度はブロックで買ってきた手作りベーコン! この大きさでこのお値段……ありがとう直売……! 生産者さんと豚に感謝しつつちょっと厚めに切った。


「ふぅ、下準備はこれで完了! 次は~……オリーブオイル! わ、お徳用だったけどこれ香りが良い……」


 少し深さのあるフライパンにオリーブオイルを多めに入れて、潰したニンニクを軽く熱する。それから最初に切った玉ねぎ、ジャガイモを炒める。


「こっちも良い香り〜! お高いニンニクはやっぱり違うな〜!」


 そう。直売所は安いだけが売りではない。普通のスーパーではあまりお目にかかれないレア野菜や、流通には乗りにくい丁寧に作られた少数野菜なんかもある。このニンニクはそんな野菜のひとつだ。


「あとは茄子も炒めようかな。ちょっと焦げ目が付いたくらいが好きなんだよね〜」


 私はフンフンと鼻歌を歌いつつ、茄子を投入。


「あ、このオリーブオイルで茄子の素揚げとかも良さそう……」


 そう言えば裏庭に、ハーブと一緒にミョウガが生えていた。新鮮な茄子の揚げびたしにミョウガと生姜……絶対に美味しい。今度やろう。


 良い感じに熱が通ったら、ここで一旦、具材を大きな鍋に移して次はベーコンを炒める。これは軽くでいいだろう。それからついでにパプリカとズッキーニも炒めよう。こっちもちょっと火が通るくらいでいい。


「えっと、トマト缶……よっ、と! 二缶入れちゃおうかな」


 野菜を入れた大鍋にトマトピューレを入れて、お水とコンソメスープの素も入れる。

 たまに『○○の素』は手抜きだと言う人もいるけど、有名メーカーが作ったスープの素はすごいのだ。手抜きなんてとんでもない!

 素人が一からスープを作ったら、時間も手間もお金も結構かかる。そこを助けてくれる物があるのなら、私は有難く使って楽しく料理をしたい派だ。


 さあ、ここまで来たら完成まではあと少し! 鍋に残りの具材も全て入れ、一煮立ちさせたら灰汁を取る。


「灰汁取り楽し~どこまで取ろう~?」


 いつも迷うけど、ほど良いところでお玉を置いて、ここでハーブ――今日はバジルとローズマリー、食べる前にパセリも散らそうと思っている。

 このハーブはキッチンにある裏口のドア、そこを開けてすぐの所に生えてるのをさっき見つけて摘んできた。きっと大叔母がお料理用にここにも植えたのだろう。追々、家庭菜園として整えたい。


 まあ、ハーブはそんな偶然の出会いだし、別に入れなくても良いのだけど……。


「投入~!」


 タコ糸で束ねたブーケガルニをお鍋へ。うん、良い香り!

 料理なんて何を入れたって良い。楽しく美味しく作れたならそれが正解だと私は思う。


「ちょっとハーブ多かったかな……まあいっか。最後に塩胡椒で整えて〜……うん、美味しい!」


『産直野菜のミネストローネ』の出来上がり!

 大人数が集まる事もあったのだろう。ここにあった、ほとんど寸胴のようなこの大きな鍋いっぱいに作ってしまった。


「ん、そろそろお昼か」


 ポケットのスマホで時間を見ると、時刻は十二時ちょっと前。


「楽しかったけどさすがにお腹すいたわ〜。買ってきたパンと一緒に食べよう〜!」


 夜は手打ち生パスタでスープスパにするんだ! 楽しみ!

 明日は何にしようかな〜ハーブが沢山ありそうだから、お肉を香草焼きにしても良いかもしれない。香草焼きとミネストローネ合う。あ、ロールキャベツもいいかな〜スープを煮詰めてトマトハンバーグなんかもいいかも……!


「そうだ。せっかくだから外のテラスで食べようかな! テーブルちょっと傷んでたけど……あ、納戸にクロスがあったような? あれ敷けば汚れも気にならないかな〜」


 と、そんな事を考えながら納戸を開けた。――の、だが。


「えっ……?」


 一歩踏み入れたそこにあったのは、飴色の木の床と、同じ色の重厚な棚……そう、昔の薬屋さんで使われていたような、小さな抽斗が並んだ大きな棚。工具や庭道具が置かれていた金属の棚も、仕舞われていたバーベキューセットや脚立も見当たらない。


 ――ここ、納戸じゃない。  


 ドッキン。と、訳の分からない状況に心臓が大きく跳ねる。


「えっ」


 バッと後ろを振り向いた。

 開けっぱなしのドア向こうには、今まで料理をしていたキッチンが広がっている。当たり前だ。


 私は震える脚で後ろに一歩飛び退いて、納戸のドアをバタン! と閉めた。




 サワサワ、さわさわ。

 春風が木立を揺らす爽やかな午後。そして出来立てのミネストローネの香り。買ってきたばかりのバゲットも、置きっぱなしの私の荷物もここにある。


「うん。――別荘、だ」


 ドッドッドッとまだ心臓がうるさいが、周りを見渡し足下を踏みしめ、そんな当たり前を口にした。


 ――今のは一体、何?


 明らかに納戸ではなかった。納戸の中は、このキッチンと同じ白いフローリングで、あんな使い込まれた感じの飴色じゃない。それに午前中に入った時は、棚はあったけど金属製で、あんなレトロな薬棚では絶対になかったはずだ。


「……」


 目の前のドアを見つめ、私はゴクリと息を飲む。

 どうしようかと迷いつつノブに手を伸ばし、そっとドアに耳を押し当ててみた。


 ――特に物音はしない、か。


 いやいや、当たり前だ。だってただの納戸だもん。


「……なんか、あれかな。ストレスから解放されすぎて白昼夢とか? 見ちゃったのかな? やだな〜ストレスって怖いわー……」


 と、自分に「気のせいだった」と無理やり気味に言い聞かせ、再びドアを開け一歩……――。


「えっ」


 人が、立っていた。


「……誰?」


「ッエ」


 少し離れたそこから私を睨むのは、金髪青い目のイケメンさん。明らかに外国人。


「君、どこから入ったの?」


 ツカツカとこちらへ歩み寄り、彼は棒立ちの私の腕を掴み容赦なく捻り上げた。


「イッ……た! やっ、待って! 私なにも……!!」


 痛みを堪え周囲を見回すと、ここは納戸じゃなくてさっきの知らない部屋だ。飴色の床と薬棚、漢方薬のような瓶に……カウンター? え? ここお店?


「キッチンか……。裏口から盗み入ったのか」


 男は長い溜息を吐き、呆れた目で私を見下ろした。


「やっ、違います! あなたこそ……!!」


 ――この人、こそ?


 自分でそう口にして、例えようのない奇妙な違和感がゾワリと背筋を撫ぜた。


 ……そうだ。違和感。

 聞こえているのはザワザワとした街の喧騒。肌に感じる空気はちょっと乾燥していて、別荘のしっとりとした感じとは全然違う。

 そして一番気になるのは、()()()()()()()()()|この人の服装だ。


 ――待って。()()はどこ?


 私は腕を掴まれたまま、改めて男を見た。

 少し癖のある明るい金髪に青い目。どちらも生来のものに見える。彫も深いし肌も私とは違う白さで……やっぱり外国人だ。

 そして目を下に動かして、観察したのは彼の服。ズルズルと長い上着を着ていて……なんか()()()()の魔法使みたいな格好だ。だって、腰のベルトには杖が差してあるし、装飾が施された革のポーチに、短い試験官のような瓶も着けている。


「さて。誰の差し金かな? それともただの物取り? お嬢さんにここにある物の価値が分かるとは思えないけど……?」


 私、馬鹿にされてる? ……まあ確かに、Tシャツにサロペット、カーディガンを羽織っただけの普段着にエプロン姿だ。忍び込んだと思われてるのなら、間抜けに見えるだろう。


「あの、私ここへ盗みに入った訳でも、忍び込んだ訳でもありません! 私にしてみればあなたが誰? だし、どこから入った? なんですけど!!」


「は? 君は何を言って……」

「ちょっとこっち、来てください!」

「は?」


 私は掴まれている腕を逆に引き、ドア向こうの()()()()へと引っ張った。


「何をしてるんだ? 逃げる気なら――」

「逃げるんじゃありません! ちょっとこっち来て……ん?」


 そして気が付いた。


「あ……れ? ドア……違う!?」


 どうして!? 納戸の扉は白だったはず! なのに今、目の前にあるこの扉は深いグリーンだ。デザインも違うしノブだって、こんな模様の入った渋い金色じゃなったはずだ。


 いや、しかし。それでも、だ。私はこの扉を開けてここにいるのだから、出て行くのもここからしかない。


 そして、私は思い切ってノブを回し、そのドアを押し開けた。




 トン。と爪先が着地したのその先は、やっぱり白い扉と白い床のキッチンだ。


「ほら! やっぱりあなたこそなん――」


 バチンッ!


「イッたぁ!?」

「ッ、はじかれた……?」


 静電気のような音がして、男が掴んでいたそ手と私の腕がはじかれ、離された。

 私は白い床のキッチンで、男は飴色の床の部屋で()()にはじかれたお互いの手を見て、顔を見合わせた。


「え、なに……?」

「……結界? いや、どういう事だ? うちのキッチンじゃない……? これは……()()が違う……?」


 男は開けっぱなしのドアに触れ、そしてこちら側に手をくぐらせようとすると――。


 バチン!

 また見えない何かにその手がはじかれる。


「君、ちょっとこちらに手を出してみて?」

「えっ? あ、はい」


 また『バチッ』と来るんじゃないかと若干ドキドキしつつ、扉の向こう、男に向かって手を出した。

 すると私の手はアッサリ扉を越えて彼の立つ方へ。


「――よく分からないな」


 そう言い男は少し考え込むような仕草を見せる。


 どうしよう。

 これ……白昼夢なんかじゃない。あの男の人はちゃんと触れたし、――あれ?


「あの、日本語……話せるんですね?」

「ん? ……ニホンゴとは?」


 今、『ニホンゴ』って言った時だけ、イントネーションがちょっと変だった。まだ日本語に慣れていない外国人のようで……あ、そうか。そこも違和感だったんだ。


 明らかに外国人なのに、彼の話す日本語が綺麗すぎたのだ。


 いや、日本で生まれ育ったご両親が外国人……という場合もあるのは分かってる。でも彼の場合、多分そうじゃない。


 よく見たら、口と言葉が一致していないのだ。

 彼が話しているのは日本語じゃない。多分。でも、じゃあ何で私は彼の言葉が分かるの? しかも日本語にしか聞こえない。それに、私が話している言葉も日本語なのに、彼と言葉が通じている。


「うーん……珍しい事が起きているみたいだね」


 彼は何かを納得したように頷くと、こちらに向き直り言った。


「先程は失礼しました。腕痛くない? 僕はジークベルト・イステル。魔法薬師をしています。君の名前は? あ、僕はそろそろ昼にしたいんだけど、君は? 良かったら一緒にどう?」


 にこりと微笑み()()()側で手を差し出している。


「……私も、そろそろお昼ごはんにしようと思っていて……」


 どうするべきか。

 彼はこの事態の答えを知っていそう。だけど素性は分からないし、職業もよく分からないファンタジーなものだった。


 私、これ、確実におかしな事に巻き込まれてる。


 うーん……。でも、納戸を開ければ私は()()()()に行けるけど、彼は()()()()には来れないみたいだし……別に事態を把握する必要はなくない? だってドアを開けなければ良いのだ。封印。納戸を開かずの間にして忘れてしまえば良い。


「……ちょっと、待っててください」

「うん」


 一度キッチンから出よう。冷静になってちょっと考えてみた方が良い。

 多分あの納戸は()()()()()()()()彼のいる場所には繋がらないんだと思う。多分。だから――。


「あ、れ?」


 足が、キッチンから踏み出せない。


「えっ、なんで」


 リビングダイニングと間続きになっているから、キッチンの出入り口に扉はないのに、向こうに部屋が見えているのに。何もない空間に阻まれて、キッチンから出る事が出来ない。


「う……そ」


 まるでさっきの、あの彼だ。

 納戸の扉にはじかれたあの感じに似ている。


「まさか……私、もうキッチンから外に出れない……? 向こう側には行けるのに? えっ? どうして……!?」


 ザッと血の気が引いた。

 信じられない。思い込みとか勘違いなのでは!? と、何度も足をリビングダイニングへ出すけれど、やっぱり硬い何かに阻まれ、出る事は叶わない。


 ――もうこれは、勘違いなんかじゃない。


『バチン!! コンコンコン!』


「えっ」


 その音に、冷蔵庫の向こうを覗き込んだ。そこはあの、ファンタジーな彼がいる納戸。


「ねぇ、どうかした? 何か()()()の常識ではおかしな事が起こってない? 大丈夫?」


「あ……」


 どうしよう? あの人は何か知っていそうだし、でも何を考えてるのか分からないし……。

 考える事と訳の分からない事が頭の中を駆け巡り、鼓動が速まりジワリと冷や汗が滲みだす。もう、何なのこれ?


 涙まで滲みだしたその時、ミネストローネの香りが鼻腔をくすぐった。


 そうだ。ミネストローネ、冷めちゃう。

 そんな事を思ったら、ふと焦った気持ちが落ち着いた。


 ――彼の事はまだ何も分からないけど、ひとまず信用してみよう。

 幸い彼の居場所は道に面したお店の様だし、人目のある所で話をしよう。もし何か危害を加えられそうになったなら、キッチンに逃げ込めば良い。そこまで頑張れば逃げ切れる。

 うん。大丈夫。


 私は大きく息を吸い、彼のいる納戸の前に立ち戻る。


「……あの、お話しをしたいのでそちらに伺わせていただいても……? 私、和泉花凛(いずみかりん)と申します」


「カリン、歓迎するよ。まずは食事をしてデザートまでのんびり話をしようか。ところで良い匂いだけど……君のランチ?」


 男は興味深そうにキッチンを覗く。透明な何かに阻まれているから、視線だけでなのだけど。

 ……て言うか、匂いは扉を通過してるんだ。あ、そう言えば音もか。


「たくさん作ったのでよろしければ食べません?」


 お腹が空いてると碌な考えが出てこない。

 そう、ひとまずだ。この知らない男とランチをしてみよう。



 ◆



「たまにあるんだよ。異界の人間がこちらへ迷い込んでしまう事が」


 彼――ジークベルトさんは、ちょっと申し訳なさそうな顔でそう言った。

 申し訳なさそうな顔のその理由は、ここまでの話し合いにある。


 結論から言おう。

 私は()()()()()()のだそうだ。


 別荘のキッチン……納戸の扉が、ここ『イステル魔法薬店』――ジークベルトさんの世界に繋がってしまった。歴史を紐解くと、今までにも何例かこういう事があったらしい。

 大体は日本の何処かの扉と、こちらの何処かの扉が繋がり重なってしまったような状態となり、そこを通った人間がこの世界に来てしまう。


 そうした人々は『扉人(とびらびと)』と呼ばれているそうだ。

 そんな呼び名が定着しているという事は、ココには私のような人間がそれなりにいる、若しくはいたのだろう。


「でもカリン、気を落とさないで。君は僕が知っている『扉人』の話とは異なっている部分がいくつかあるんだ。君はもしかしたら戻れるかもしれないし、脅かす訳じゃないけど、何か他にも変わった事が起こるかもしれない」


 どうやらジークベルトさんは、ちょっと良い家の出だとか、ちょっと宮仕えのような事をしているとか、物事を調べるのが趣味? だとかで『扉人』への造詣が深いらしい。


 ――まったく運が良いのか悪いのか。

 ジークベルトさんのお店に繋がったのもだし、私はキッチンと共にこちらに転移して来てしまったレアケースだ。何があるのか本当に分からない。


「そうですね……。なんでかスマホも繋がってるし」


 そうなのだ。私はキッチンと行き来が出来、更にこのお店の中までならスマホが……インターネットが繋がっているのだ。全く訳が分からない!

 キッチンと繋がっているから無線LANの範囲内だったのだろうか? 世界を飛び越えてしまっているのに?


 でも、これは心強いしラッキーだ。

 充電はキッチンですれば良いし、買い物帰りにそのままキッチンに立ったからバッグもある。まだ自分の部屋を決めていなかったから、しばらく滞在する用意が出来た荷物もある。

 財布に化粧ポーチ、着替え、お風呂セットに手帳、鍵……日常的に使う物は大体揃ってる。それにキッチンには買い込んだ食材だってある。


「うん。『スマホ』が何なのかはよく分からないけど、それじゃあカリン、これからよろしく」


 ジークベルトさんは優しく微笑み手を差し出した。


「握手ってこっちにもあるんですね。はい。よろしくお願いします、ジークベルトさん」


 もしかして、握手は『扉人』が持ち込んだ習慣だったりするのだろうか? それとも戻ってきた人による逆輸入だったり?


「ああ、ジークでいいよ。歳も一つしか変わらないんだろう? まあ僕は、君がニ十八って聞いて驚いたけどね」


 そうなのだ。ジークは二十九歳。私は同じくらいかな〜と思っていたのに、彼は私のことを二十歳くらいの女の子だと思っていたらしいのだ。それもあって放ってはおけず、昼ごはんに誘ったそうなのだけど。


「あー……童顔なんですよね、私」


 やっぱりここでは、平たい顔で体付きの主張も控えめな日本人は幼く見えるらしい。

 それに加え今日の私はお化粧も簡単な『ご近所』用だ。だって、車移動だったしそんなに人に会うとも思えなかったし……。

 正直なところ、毎日毎日気合を入れる為に化粧をしていたので、会社から解放されたばかりの今、まだ真面目に化粧をする気になれなかったのだけど。


「へぇ。『扉人は皆、若々しい』って書かれてたけど、そういう事なのかな?」

「あー……それは多分、こちらの人たちから見ると日本人は皆ちょっと若く見えるんだと思います。えっと、私の顔って……こちらの人よりあっさりしてません? そのせいか、私の世界でもある地域の外国人から見ると『子供みたいだ』なんて言われる事ありますし」

「へー……。カリンは背も大きくないし、確かに」

「……あんまり近くでマジマジと見ないでください。私にはジークのお顔はちょっと眩しいので……」


 すごいの。睫毛長いし、鼻筋は綺麗に通ってるし、顎のラインもスッキリしてて、髪なんてキラキラでふわサラで、背も高くて……雑誌でしか見たことのない外国人モデルさんみたいなのだ。


 そうそう、私の現状把握の為にさっき一瞬お店の外に出たのだけど、街並みは完全に古いヨーロッパ。石造りの建物と明るい色の屋根、バルコニーで咲き誇る蔦薔薇、石畳の道、教会の様な尖塔、遠くにはお城まで見えた。

 まるで異世界と言うよりもテーマパークの様だ。


 それから、ここの人たちは皆、欧州にルーツを持つ人たちに似ていた。でも、染めた様な変わった髪色の人もいたし、カラコン入れてるのかな? ってくらい鮮やかな瞳も見かけて……やっぱり異世界なのかと再認識させられた。






「じゃあジーク、しばらくルームシェアよろしくお願いします! とりあえずは……何か仕事をしないとだよね」

「仕事? カリンは繋がってるあちらの部屋で寝泊まりするんだし、店の手伝いをしながら徐々にこちらに慣れていけば良いんじゃないかな?」


 そう。ジークはこの世界への足がかりとして、自身の店を使って良いと言ってくれた。

 こちらの事は何もかも分からないのだから、仮の住所としてお店を借りて、生きていく為の事を学べば良いと。

 それに『扉人』は国が保護をしてくれているそうで、役所に申し出れば、一定期間の保護・保障もしてくれるらしい。

 うん。なんて良い国なのだ。欧州風ファンタジーの世界だというのに手厚くて優しい。


「うーん……。最初はそうさせてもらいたいけど……生活するには食べてかなきゃ行けないし、帰れないってハッキリしてから職探しするよりは早目に探そうかなって」


 予想以上に早い仕事復帰になりそうだけど、ここは異世界だ。仕事とは言え良い気分転換になるかもしれない。

 そもそもだ。人間先立つ物がなければごはんが食べれない。迷子のようなものだとしても、保護してくれた人に甘えすぎては人間関係がおかしくなってしまう。私はそんなのは嫌だ。


「……カリンってやっぱりニ十八歳なんだね。しっかりしてる」


 ジークは感心したようにそんな事を言う。


「それ褒めてなくない?」

「ごめんごめん。うーん仕事……か。あ、そうだ。『ミネストローネ』まだ沢山あるんだよね?」

「あるけど、なに? 突然」


 お昼に食べただけじゃ、あの寸胴いっぱいのスープは大して減らない。我ながら本当に作りすぎたと思う。


「僕のアイデア、ちょっと試してみない?」


 にっこり微笑みかけられて、まあいいかと任せたのが始まりだった。






 その日の夕方、ジークはお店がある通り、仲の良いご近所さんたちに私のスープを振る舞った。


 この通りには『魔法関係の専門店』が集まっていて、食料品を扱う店(それも魔法関連が多い)はまばらに幾つかあるだけ。食事が出来る店は僅か一軒、そこも夜だけ営業する酒場だ。どの通りも大体同じ系統の店が集まり、その中に雑貨店やパン屋など、生活に欠かせないものを扱う店がチラホラとある。(市場や食料品店ばかりの通りも勿論ある)


 だからこの通り――通称『魔法通り』は食に飢えていた。しかも魔法使いというものは、物事に没頭し寝食を疎かにしてしまうタイプが多いそうで、自炊率が物凄く低いらしい。


 そこに私のミネストローネ。

『彼女、料理が趣味で得意なんだって』というジークの言葉で持ち込まれた絶品スープ。そして私は仕事を探している。更に迷子としてジークに保護されていて、ルームシェア状態であると説明されれば――。


「あなた食堂でもやれば良いのに!」


 行く先々、皆がそう言った。




「ねえカリン、僕の店の一画で料理を売らない?」


 してやったり。という顔でジークが言った。

 彼自身も美味しい食事に飢えていたそうで、私の存在は正に渡りに船。

 美味しいものを食べる為、先行で周囲に宣伝をし、私への説得力をも用意してしまったのだ。



 ◆



 こうして私――和泉花凛は、異世界で『カリンDELI』を開く事となり、一つ年上のイケメン魔法使い(訳が分からない)とルームシェア生活に至る……という訳なのでした。


 そうそう、ちなみにジークへの間借り料は、毎回の食事で支払わせていただいております。

 賃料がそれで良いなんて……ジーク、本当に食に飢えていたんだね……。




 これからどうなるのかは分からないけど、どうせ半年は別荘でのんびり休むつもりでいた。

 それならば、まさかの異世界でのんびりするのも、旅行をしてみるのも良いかもしれない。迷い込んだ『扉人』の私には、この街で暮らすだけでも何もかもが新鮮で、物珍しくてきっと楽しめるだろう。


 それは多分、ボロボロになっていた私の心も体も癒してくれる。

 ほら、初めての直売所で楽しくて元気になったみたいに!






「カリーン! 今日のランチは何ー?」

「今日はねー……」


 さてさて、時刻はそろそろお昼時の十二時。あのメロディーが流れたら『カリンDELI』は『イステル魔法薬店』の片隅で、本日も開店です!

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[気になる点] >>>クリス以外の皆は『カレェイ』と妙にイイ発音で呼んでいる。 この一文にのみ出てくる「クリス」。もしや「ジーク」の間違い?
[良い点] 続きがよみたい [気になる点] 28が17に見えるはやり過ぎ? [一言] パン焼きからきました 読み始め
[一言] 連載の方から来ました! リマソさんの書き方すごいすきです♬(ノ゜∇゜)ノ♩ 続きが気になるのでこれも連載してくれると嬉しいです[壁]。・_・)
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