-1話 やまだたけるの熱望
この小説の男性陣は閑話になるとハードボイルド方向に引き摺られていきます。
俺の名前は山田武尊と書いてヤマダタケルと読む。35歳、独り者の男だ。独り身のはずだ。
同居人はいる。
現在は3柱の神と同居している。もう1人いつの間にか増えていたが、これは神ではない。
俺は彼ら4人の人間界における保護者ということになっている。
俺の職業なんだが冒険者ということになる。
俺の知っている冒険者というのは未開のジャングルの中を道なき道を切り開きながら新種の植物や生物を探すハンターだったり、未だ誰も入ったことのない洞窟を探検する人だったり、南極や北極を目指す人だったり、登山家だったり、下山家だったり、必ずカメラマンの後に洞窟に入って行く人だったり、名前の後に“、”が付いてて昔研究所を脱出した改造ニンゲンだったりとまぁこんなイメージだ。決して、夜ジャングルで鹿を見て“虎だ虎だ”と騒ぐいい年の大人たちでもない。でも、のんびりユーコン川下りはありだと思う。ヨーロッパもいつか旅してみたい。
俺の所属する冒険者ギルドに所属する冒険者連中は俺以外ほとんどがゲーマーだ。むしろそっちが本業なんじゃなかろうかというくらいにどっぷりゲーマーである。ちみっ子によると彼らもゲームの中で冒険をしているんだそうだ。
そういう俺自身はバイヤーだろうか。最近は大量のアダルト関連グッズの代理購入が続いている。これはもう自分で店を開いてもいいんじゃないだろうかというレベルだ。どの店も俺が行くと上得意として扱ってくれる。試しに仕入れ情報を尋ねてみたところ、店主が懇切丁寧に卸業者やルート、同業者、挨拶しておくべき事務所を教えてくれた。事務所への挨拶はするつもりないんだが、やっぱり店を開いた方が原価率下がっていいんじゃないだろうか。先日ギルド内に売店が開けないかチッチさんに聞いてみたところ、OKだという。売り上げの10%納めればいいようだ。スペースは1階であれば勝手に全面改装してもいいらしい(費用はこっち持ち)。しかし売るためには商品を仕入れなければいけないわけで不良在庫が出ればたちまち赤字になりかねない。これが俺の目下の悩みと言えるだろう。
(アダルトショップを)開業するべきか、せぬべきか、それが問題だ。
To open or not to open, that is the question.
果たしてエログッズ専門店に将来性はあるのか? いまなら確実に需要はあるようなんだがこれがいつまで続くのだろう。
さて、話を戻そう。俺は初心者冒険者らしいんだが、未だ冒険と呼べる冒険は所長のジョニーさんとその部下ディープ君さんに騙されて訪れた地下世界だけ。2人に騙されていなければ、あれはちょっとした観光旅行だと思う。
ちみっ子さんに勧められたスジャータさんのおっぱい直吸いチャレンジは残念ながら断ってしまったので、カウントできない。返す返すも残念だ。
男とは夢とロマンにあふれた生き物なのだ。冒険者――――この甘美な響き。しかしてその実態は、ゲーマー或いはバイヤー、これではいけない。ここには夢もロマンもありはしない。いや、たしかにエログッズの中には男の夢もロマンも、そして男の欲望も充分に詰まってるんだけれども、それじゃないんだ。そうじゃないんだ。
確かにお金はこの1月で相当稼げたさ。都心の高級マンションいくつか買えるくらいは余裕で稼いでしまったよ。投資信託も始めたところだ。宇宙人相手の冒険者稼業は他に競争相手も居ないから、すごく稼げる。でも俺はいま冒険に飢えているんだ。
自分のギルドカードを見てみた。
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なまえ ヤマダタケルくん 35さい 種族 ホモ・サピ族
出身 ちきう
冒険者らんく 初心者らんく
れべる 5
ちからのつよさ 50(115)
すばやさ 48( 92)
ぼうぎょりょく 415
かしこさ 94
HP 220(296)
MP 224
所有スキル ボケ lv2
突っ込み lv2
ボケ殺し lv2
2次元ポケット
スキル自動発動(ON←OFF)
オリジナルスキル くさなぎの○よぽん lv1
(股間限定完全防御システム)
(スキル自動発動設定中)
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称号 オタク三段
美少女神の相方&パパ
スパえモン師匠の弟子
熟女神のターゲット
スサオが憧れる男
※近いうちに冒険始まるからドンマイ。(聖告byすぱもん)
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ありがたや、ありがたや。一番下の※はスパモン様からのお告げだろう。こんな形でお言葉を授かるとは。神はここにおわしまする。本体は相変わらず俺の頭の上に漂っているようなんだが、最近あまり気にしないようにしている。気にしたら負けだ。
レベルもステータスも統合されてずいぶんと数字が上がっている。
あとオリジナルスキルが2つ増えている。
何故に?
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