第十五話
新キャラ5人目登場。 話が転がり出すまでもうちょっとだからね。
「婆ちゃん、今からちょっと銀行逝ってくるわ。代金振り込んでくるから。口座はいつもの店のヤツでいいよね。」
「あぁ、さっさといっといで。この子たちのことならお前が出かけてる間アタシが面倒見とくから。」
「タッケルぅ、わらわも銀行へ連れてまいるが良いのじゃ。」
「銀行に行ってお金振り込んでくるだけですよ。ここで婆ちゃんとお留守番してた方が良いのでは?」
「まぁ良いではないか。わらわも連れて行け。」
「別にかまいませんけどね。」
「じゃ、婆ちゃん逝ってくるわ。」
ちみっ子さんとお手々をつないで、銀行まで歩きます。
途中でちみっ子さんに脇道へと引っ張られてしまいました。そっちからも銀行へ行けるっちゃ行けますけど、ちょっとだけ遠回り? になるんじゃないかなぁなんて。
「タッケルぅ、こっちを通るが良いのじゃ。」
「はぁ、そっちに何かあるんですか?」
「わらわのゴーストがわらわを呼んでおるのじゃ。」
「いいですけどねー。迷子になるのはゴメンですよ。着いた先にジャンク屋さんとか無いよね。」
さして重要なことでもないので、脇道へとちみっ子さんにお付き合い。少し歩くと、どこからか男女の言い争うような声が聞こえてまいります。痴情のもつれってヤツでしょうか? ちみっ子さんの情操教育的にはあまり良くありませんねー。そうゆうのはどこか遠い所(シベリアとかアラスカあたり? 南極でも可)でやっていただきたいものです。まったく困ったものです。
細い路地の先で角を右に曲がって左に曲がって右に曲がって・・・和服姿の若い女性が3人の男たちに絡まれておりました。
「――――俺たちにまかせとけば大丈夫なんだって。」
「お姉さん、これから予定なんて別にないんだろ。」
「だから、俺たちに付いてくりゃいいんだって。」
「や、やめてください。御心配頂かなくて結構です。どうか離してください。」
「ほら、あんたも一緒に行こうぜ。教祖の話聞けばあんただって変われるさ。」
「地震が来たら、あんた後悔することになるんだぜ。」
「俺たちと一緒に集会に行きゃ人生変わると思うよ。」
ははーん、また例の新興宗教の勧誘でしょうかね。若い女性の方は大変に見目麗しゅうございます。宗教勧誘の中にナンパ成分もかなり含まれておるのでしょうなぁ。
「あっ、山田さん、お待ちしてました。」
突然、女性に抱きつかれちゃいました。これは桜の香りのような、良い香りがいたします。桜餅食べたいですねぇ。そろそろ牡丹餅も食べたいところです。
――――いやいやいや、別にあなたを待たせてはいませんよ。これからちみっ子さんと銀行へ行くところなわけで・・・あれ? あぁなるほどなるほど、俺を出汁にして不埒な男たちから逃げようということですね。承知いたしました。
「ゴメンね、待たしちゃったかなぁ。いったいこの人たちは誰?」
「知りません。突然この人たちが私に声を掛けて来て・・・」
「なぁおっさん、いきなり出てきて俺たちの邪魔すんじゃねーよ。」
「この女の知り合いだか何だかしらねーけどさ、俺たちが先にこの女に声掛けてんだよ。」
「うぜーんだよ、おっさん。どっか消えちまえよ。」
男たちの中の1人、ニット帽を被ったチビが俺の胸ぐらを掴んできやがりました。それって無理があるんじゃないかなぁ? もうちょっとつま先立ちしてみませんか? あれ、届かないねぇ、そうだ、後ろの2人に抱え上げてもらえばいいんじゃないかな?
「(お前さまよ、2次元ポケットの中に何か使えそうなもの無いかのぅ?)」
「(さっきのおもちゃの中にかんしゃく玉とかビー玉とかありましたね。)」
「(やっちゃっていいんじゃないかのぅ。)」
「(そうですよねー。)」
俺はビー玉をこっそりと地面にぶちまけ、その後、かんしゃく玉をチビ太くんの足元に投げつけました。かんしゃく玉の破裂する音に驚いたチビ太くんはビー玉に足を取られて、地面に腰を激しく打ちつけていらっしゃいます。痛そうですねぇ、あーすっきり。――――大丈夫ですかぁ?
「「この野郎――」」
「お前ら、やっちまえ。」
地面に座っておられるチビ太さんがボスだったようでございます。チビ太の指示で向かってくる2人の男。俺は無性にべれったさんのお世話になる誘惑に駆られたのですが、婆ちゃんの所で仕入れた各種アイテムを思い出し、火薬ピストルを取り出してみました。最近のおもちゃって見た目がリアルにできてるんだねぇ。軽いプラスチックのおもちゃを重そうに取り出してみせると2人の顔がひきつっていますよ。逃げ腰になっております。ほら、さっさと逃げちゃっていいんだよ。
空に向かってよーいドンしてみたら、皆さん逃げてしまいました。クラウチングからじゃないのが残念ですが、なかなか良い走りですね。ビー玉地獄もなかなかこれは良いものです。
「pang pang pang pang pang」
悪は去りました。
「お嬢さん、お怪我はありませんでしたか? (キリっ)」
「山田さん、助けていただいてありがとうございます。(ポっ)」
「タケルぅ、さっさと銀行へ行かんと3時を過ぎてしまうぞ。」
「あぁ、そうでしたね。お嬢さんすみません、実は我々これから銀行に用事がありまして。」
「それでは私もついてまいります。」
銀行に到着して、窓口からの通帳経由で婆ちゃんの店の口座へ振込しました。
美人さんとちみっ子さんは仲良くロビーでおしゃべりしてます。
あれ? さっき助けた美人さん、何で俺のこと山田さんって呼んでたんだろ?




