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アショーカ王の聖妃  作者: 夢見るライオン
第六章 トルファン 遊牧の民 烏孫編
183/222

1、プロローグ


 眼前に広がる王庭を眺めながら、老いた男はゆっくりと目をつむった。

 久しぶりに身近に感じる昂揚こうように、懐かしい恍惚こうこつよみがえる。


(近付いてきている? なぜ?)


 そんな事があるはずはない。

 一人、首を傾げる。


(あの方に何があったのだ?)


 この数ヶ月、ほとんど気配を感じない。

 そうかと思えば、突然の雷のように気配を現す。

 そのたび、位置を変え移動している。


単于ぜんう様、ヒンドゥに放っていた間者かんじゃが戻って参りました」

 戸口の側近が、待ちかねていた報告を告げる。


「通せ」

 人差し指をくいっと折って、手招きをする。


 間者の男は老人の前にひざまずき、拝礼する。


「作法はいい。早く申せ!」

 気持ちが急く。


「はい。お孫様の烏孫うそん様でございますが、先日、無事ヒンドゥの地を出られ、タクラマカンの砂漠を越えて、トルファンに向かっているようでございます」


「トルファン?」


 その方向はまさに……。

 禿げ上がった額に汗がにじむ。


烏孫うそんは……誰か連れていないか?」


「はい。女性を一人お連れのようでございます」


「!!」


 単于ぜんうは蒼白な顔で立ち上がる。


「兵を集めよ!」


 突然命じられ、そばに控えていた側近は驚く。


「トルファンへ向かう。すぐに準備せよ」

「は? まさか単于様もご一緒に? ご老体にはまだ厳しい寒さかと……」


「わしを老人扱いするか! いや、これが最後の旅となっても良い。すぐに出発する!!」 




次話タイトルは「トルファンへ」です

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