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私の大好きな殺人鬼  作者: 陽炎
7/10

間話〜樹サイド〜

前の学校で人間を狩りすぎて、隠蔽をしにくくなった親に転校を勧められ新しい学校に足を踏み入れた。

実の息子が人殺しでも拷問好きでも事実を隠蔽し会社の跡継ぎにしようとする腐った父親。

まぁ、その腐った人間のお陰で僕も自分の欲望を満たされるのだが…


学校かぁ。

前の学校と変わらず退屈な学校生活が待っているだろうな…


恒例の自己紹介の時間だ。

退屈なのを押し殺して、笑顔で挨拶をした。


「初めまして。今日から宜しくお願いしますね。」


手頃な獲物を探すために教室を見渡すと1人の女と目が合った。


ドクンっ!!


俺は直ぐに分かった。

彼女と僕は一緒だ。

同じ人種だと…


女共からは評判の笑顔を向けた後に彼女にだけ分かるように少しだけ口橋を上げ笑ったら彼女は赤い瞳で不思議そうに僕を見ていた。


周りの人間に彼女の事を聞くと、大体瞳の事や容姿の事位しか聞けなかった。

案外クラスメイトだと言うのに使えない連中だな…

結局彼女をを眺めているだけで昼休みの時間になってしまった。


昼休みのチャイムが鳴ると同時に鞄から小さいコンビニ袋を出して足早に教室を出て行った。


他のクラスに親しい友人でもいるのだろうか?

俺が見ている限りクラスの人間とは親しげに喋っている所を見ていない。

どうしてか彼女の色々な表情を知りたくて彼女の後を追いかけた。


気配を消して(獲物にバレないように狩っていたら自然と身についた)後ろからつけていると理科室に入っていった。


んっ?理科室?

何かあるのか??


キィ。

パタン。

ドアが閉まる音が聞こえた。


理科室の中にまだ部屋があるのか?

そう考え入っても大丈夫だと思い理科室に入った


理科室に入ると独特の薬品の香りがしていた。


案外僕はこの香りが好きだったので、つい香りを満喫してしまった。

彼女が入った部屋を探そうと教室内を見渡すと直ぐに入った場所が分かった。


黒板の横に倉庫と書いてある扉を見つけた。

扉に近づき彼女が動いている気配があったので、少し待っていると動きが止まった気配がしたので少しだけ扉を開けて中の様子を見てみた。

どうやら彼女は寝てしまったようで小さな寝息が聞こえていた。

一応気配を消す事は忘れずに部屋の中に入ると僕は息を飲んだ…


まず部屋に入ると薬品とは違う独特の甘い香り。

香りの原因は、古めかしい棚に綺麗に並べられた大量のホルマリン漬けだった。

そして、彼女の周りを囲むように床には猿の頭や豆粒のような胎児等のホルマリン漬けがあった。


多分彼女のお気に入りなんだろうな…


お気に入りを踏まないように彼女の近くに寄ると、先ほど見た豆粒ほどの大きさの胎児より成長している胎児の瓶漬けを大事そうに抱え寝ていた。

色白な陶器のような肌。

無造作に床に投げ出されている黒髪。

全てが僕によって飾り付けをされた作品達より美しかった。


あぁ。

見つけた。

僕と理解し合える人間を。

彼女が人と関わりを持たないのは生きている人間に興味がないからだ。

僕みたいに猫を被ることなく、自分の周りに人を寄せ付けないようにしているんだ。

まぁ僕の場合は、猫を被らないと獲物が手に入りにくくなるのもあるけどね…


逃がさない…

やっと見つけた共有を一緒に出来る彼女を絶対に逃さないようにする為の方法を考えながら部屋を出て静かに扉を閉めた。


次に彼女を見つけたのは、下校途中に男子生徒から告白を受けている時だった。

彼女の容姿なら仕方がない。

性格なんか気にせず、容姿だけで寄ってくる連中なんて山ほどいる。

彼女を見ていたら、予想外の言葉を相手に言った。


「生きている人間に興味がないの」


人を殺し嬲り気に入った死体だけを愛でる僕とは少し違うが、裏に死体を求めていると言う彼女の言葉は僕をさらに魅了した。


相手の男子生徒は、分からなかったらしく動揺をしていた。

その姿をみて、彼女は一瞬悲しそうな表情をしていて胸がツキリっと痛んだ。

多分、彼女は自分と似た人間を心の底では求めているんだろう。

彼女に目の前の男子生徒の死体を与えれば、君が求めている者に僕はなれるかな??

そんな事を考えながら、その場を離れた。

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