視線
朝の挨拶から彼とはなんの接点がないまま時間が過ぎていった。
お昼時間になったので、私はパンと紙パックの珈琲を持っていつもの場所に向かう事にした。
理科室の奥にある倉庫扉の前で周りを見渡してから鍵を開ける。
ちなみに、鍵は理科委員なのを良い事に鍵を借りた時にスペアキーを作った。
故に誰にも見つかってはいけない秘密の場所。
ギィ…
古びた倉庫の扉を開けると独特の薫りが私の鼻を燻った。
バタン。
扉を閉めると同時に甘い薫りが私を包む。
そして、周りの棚にはびっしりと並べられているホルマリン漬け達。
そう…
この学校の倉庫には、もう使われる事もない大量のホルマリン漬けが置いてある。
理科委員だった私が理科の先生に倉庫の掃除を頼まれ倉庫に行った時にこの穴場を見つけた。
初めこそ瓶達もこの場所もホコリまるけで酷かったが、スペアキーを作ってからは掃除をし乱雑に積み上げられたホルマリン漬けの瓶達を綺麗に並べた。
この場所があるから学校に来ているようなものだった。
特にホルマリン漬けの瓶の中でもお気に入りがあった。
赤ん坊の瓶だ。
とても綺麗に残してあり、この場所にいる間は常に抱き抱えている。
よし!
ご飯を食べようかな?
瓶を抱き抱えながら、ご飯を完食をして手の中にある瓶を眺めていたらうつらうつらと私は夢の世界に落ちていった。
ギィ…
パタン。
誰かが部屋に入って寝入っている私の姿を見下ろしながら、侵入者は口端を少し上げ微笑みながら部屋を出て行った。
やっと5話まで書けました。
ここまで読んでくださった方有難うございます。
なるべく早めに投稿するつもりですが、度々遅くなると思います。
長〜い目で読んでもらえると嬉しいです。