彼は恋をしたかった故に
文の構成等苦手な面もあり、矛盾点もあるとおもいますが広いお心で読んで頂ければと思います。
「意味がわからない」
そう言った莉子は納得がいかないらしい。それは俺が必要以上にモテるということ。
自分で言うのもあれなのだが俺は昔から女に困ったことはない。小学生の頃から周りには女の子しかいなかった。中学に行けば運動部で活躍し、それなりにファンも出来て。今現在高校生活を満喫している俺は他クラス他学年からわざわざ会いに来る女だっている。友人の澤本がいうには俳優の松なんとかと似てるんだと。そんな俺に唯一反抗的な態度を取るのがこいつ、橋下莉子だ。
「気に入らない?」
「そういうんじゃないよ、ただどうして翔太くんがずば抜けてモテるのか不思議なだけ。他にもかっこいい人いるのに。」
「顔だけじゃなくて性格もいいからじゃない?」
そう言うと莉子ははぁ、とため息を一つ。冗談だっつの。俺もわからんし。なんかのフェロモンが出てんのかな。
「それで、そんなこと言うために俺のとこに来たわけ?莉子サン?」
そう、こんな話をする前にわざわざ莉子が俺の席に来た理由が知りたい。すると莉子はあからさまにジト目を俺に寄越した。そしておもむろに右手を差し出す。
「?なに、プレゼント?」
「違う。右手。」
「は?」
よくわからないまま右手を出す俺の手首を莉子が思いっきり捻った。
「いっ?!?たい…」
途端に襲った激痛に俺は思わず声が裏返ってしまった。それを聞いた莉子がやっぱり、と一言。
「捻挫したでしょ、体育のとき。」
そういえば体育は苦手なバスケだったなぁと右手首を見ながら思う。
「本人も気づかないとかどうなの?」
「お前が気づくのもすげーけどな。」
そういうと莉子が少し俯いた。具合が悪いのか?と顔を覗き込むと怒られた。なんだよ。
そんなやり取りをしていると席の離れたクラスの女子が顔を赤らめ俺に近寄って来た。確か俺のファンの子。
「友田くん!今日のバスケすごい上手だったよ!」
そう言うとすぐ離れ後ろにいた女子とキャー言っちゃったー!と叫んでいる。正直こういうの見ると俺ってバスケ苦手でも彼女たちには恋のフィルターとやらがかかって上手にバスケをしているように見えるのかと思ってしまう。…我ながら恥ずかしいな、前言撤回。
今のなし。
「それ、なに考えてんの?」
突然の問いにへっ?と変な声を出してしまった俺。声の主はもちろん莉子。しまった、今の見られたか。
「俺ってばモテる〜、みたいなこと考えてんの?恥ずかしいな。」
反論しようとしたが実際似たようなこと考えてたので正直に目を逸らす。と、同時に予鈴。タイミング良すぎ。助かった。
「じゃあ私戻るね。後で保健室行きなよ。」
「…おう。」
席に戻ろうとした莉子があ、と立ち止まりもう一度俺に向かい合った。
「バスケ、へったくそだね。」
俺は目を丸くした。
同時にさっき掴まれた右手首が熱を帯びる。
こいつにはフィルターがかからない。フェロモンが効かない。そんな女より、断然俺を好んでくれる女のがいいはずなのに。なのに、この不意打ち。言葉はともかく。そんないたずらっ子みたいな顔で言われたら、さ。
あーあ、本当、なんであいつ
「俺と父親同じなんだろ。」
知りたくなかったよ、好きな女が血を分けた兄妹なんて。
ゐづみ野ですどうも。「彼は恋をしたかった故に」読んでいただきありがとうございます。恋愛ものはとても難しいですね。非常に苦戦しました。更にハッピーエンドが書きたかったのに癖でひん曲がった終わり方に…。
兎にも角にも最後まで見ていただきありがとうございました。