~夜空と毛布
ソシアについていくと小さな町に着いた。家が何軒か並び、そこから少し離れた所にある家が彼女の家らしい。
ドアを開けて中を見るとおばあさんが一人椅子に腰掛け眠っている様子でいた。彼女が声をかけるとそのおばあさんは丸眼鏡をかけ直しこっちに向けて顔を上げた。
「おばあさん、この人ロアンっていうの」
「そうかい…。こんにちはロアンさん…」
「おばあさん、ロアンは何も知らないのよ。ここがどこかもわからなかったの」
「そうかい…。まぁお座り…」
僕が椅子に座るとソシアはコップに水を注いでテーブルに置いてくれた。一口飲んでおばあさんに話しかけた。
「ここはドラフと言う町ですよね?」
「ええ……そうですねぇ…」
「僕には記憶がありません。どこから来たのかも…わからない」
「そうかい…。しばらくはこの家にいてくださいな…」
「そうよ。それがいいわ」とソシアが言った。
僕に部屋を貸してくれた。それはおばあさんの部屋だったけれど、自分は椅子で眠るのが好きなんだとおばあさんは僕に言ってくれた。
寝る前、ソシアが部屋に毛布を一枚持って来てくれた。それを受けとると彼女は一言、おやすみなさいと言って部屋を出ていった。
僕は部屋の小さな窓から夜空が見えることを知った。それからベッドの上に横になって毛布にくるまって眠った。




