しと降る涙に、君の震える指をそっと握る。
涙が降ってきた。
最初は雨かと思ったのだ。
重たい雨雲で空が近いけど、風通しの良さを取って屋上で寝ていたのだから。
でも、すぐ違うと気付いた。
すすり泣く声が聞こえたから。
唇を噛んで声を殺して泣くのは、アイツが幼い頃からのクセ。
何故か、声を上げて泣けないのだ。
でも、辛くて悲しくてしょうがないのが伝わって来る。
何があったんだよ。
訊きたいけど、無口なアイツはこういう時ますます口が重い。
寝てるフリでアイツの手にそっと触れると、ぎゅっとすがる様に掴まれた。