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太陽王の世界 ―異世―  作者: 檀徒
◆第一章◆
6/29

第5話 候補者選定

 やっと意思の疎通ができる! これでこっちの世界のことも覚えられるからな。地道に生活していくには苦労が耐えないだろうけどなあ。

「ふむ、こちらの世界での加護の体系は分かった。我のいた世界とよく似た概念がある」

 どうも硬い言葉しか覚えられねえが、意思が通じればいいんだ。ソクラテス先生は最近ヨーロッパに帰ってしまったけど、古代の哲学者・ソクラテスの概念を俺に教えてくれた。先生はその子孫だと言うから、ずいぶんと由緒ある家柄の人だなあと感心したものだ。

「はっ、ミコト様。さすがです」

「ふむふむ、だいたい覚えた」(言葉はだいたい覚えたよ)

 昨日は朝まで部屋の中で言葉を覚えるのに必死だったが、今日はもう意志の疎通ができるからどんどん吸収しよう! でも昨日は遅くまでやりすぎたから、昼まで寝たとしてもさすがに眠いな。朝方が寒かったせいか、ちょっと風邪気味だし。


 ソクラテス先生が教えてくれたのは、古代ヨーロッパの物質概念は火・空気・水・土の四大元素によって支配されていたということだ。その概念は弟子のプラトン、さらにその弟子のアリストテレスにも受け継がれていた。古代の賢者であるソクラテスが唱えた理論をアリストテレスの代でやっと世間へ公表したというのがその真相のようだ。

 四大元素理論はアリストテレスが提唱していることになっているが、ソクラテス先生によるとそれは先生の先祖、ソクラテスの教えだという。考古学を学んでいて面白いと思ったのは、実際に民間で信じられている伝承にはさらに裏があるということだった。

 アリストテレスはさらに、四元素とは異なる第五の元素、エーテルを提唱していた。それが神につながるものという概念だ。

 サヤカが説明してくれたのはこの世界で使える地・水・火・風の4属性の魔法についてだ。ほとんどの人はこの4属性のうち、一つしか使えないという。そういえばゲームとかでも、一部の属性しか使えないキャラとかいたよなあ。でもサヤカは無属性魔法とか知らないのかな? 回復魔法とかどうするんだろう? 怪我したらアウトだったりしてな。ハハハ、笑えねえ。

 で、俺がいくつも使ったから驚いているという。まあ、俺はゲームならいろいろとリハビリも兼ねてやってたからな。いや、リハビリの意味はほとんどなかったんだが。だから魔法の概念ならいくらでも持ってる。それが元で引きこもっちゃったけどな。危うく廃人になるところだったが、ソクラテス先生にたたき出されてしまったわけだ。しかもおふくろと共謀して全てのゲームを近所の中古屋に売り払っちまった。あんときは腹が立ったが、今思えば感謝だ。


「では次、この世界の概要を教えよ」(こっちの世界のことを教えてくれ)

「は、畏まりました。この世界には11の大陸がございますが、そのうち2つしか人間は住めません。実際には残り9の大陸にも人はいますが、連絡が途絶えており謎の大陸になっています」

「何故、他の大陸に行かないのだ?」

「魔獣が…。あの夜に出たような魔獣がたくさんいるのです」

「あれがいるのか?」

「12000年前に、三代目の太陽王が2つの大陸だけは駆逐してくださいましたが、それ以降は進展が無く…。とにかく数が多いですので」

「ふむ、なるほど」

 あんなのがたくさんいるだと!? そりゃあ、無理ってもんだ。それにしても12000年前からここの王朝があるのか…。ん? 12000年? どこかで聞いたような年代だな。どちらにしろ、随分と長い王朝だ。平和なのはモンスターという外敵がいるからだろうな。

 小さな村とか、小さな国家は必ず外敵がいると内部の結束力が高まる。この辺のことはソクラテス先生から教わったことだ。

「ですから、他の大陸へ行く者は騎士しかおりません」

「騎士か」

 やった、この世界はロールプレイングゲームみたいなものだ! 騎士には王様から資金が提供されて、モンスターを狩って生活してたりするんだろう!


「組合のようなものはないか、騎士の組合だ」(ギルドみたいなもんはある?)

「騎士団連合があります」

 おおっ、どうやらギルドがある! 旅の仲間集めとかも問題なくできそうだな!

「魔獣を倒すと報酬はあるのか?」

「魔獣はその体内に虹色水晶を持っています。それを回収してくれば、中央王家から報酬が出ます」

 よくやった! 中央王家よくやった! モンスター狩ってるだけで生活できるウハウハな未来が待っているってわけだな! よし、ガンガンレベル上げて狩りまくろう! まあ、弱いモンスターだけだけどな! ドラゴンとかは二度と勘弁な。

「魔獣を駆逐しやすい地域はあるか」(弱い魔獣がいるところってある?)

「隣のシルベスタ大陸なら、昨日の龍のような魔獣はいないはずです」

「うむ、そこの魔獣を殲滅してやろう」(そこの魔獣を狩りにいきたいな)

「本当ですか! 素晴らしいわ! でもその前に中央王家の候補者選定がありますから…」

 なに!? そうか、騎士に認められるにはなんか、試験みたいなもんがあるのか。まあ、突破できればすぐにモンスターハント、できなきゃちょっとレベル上げてからまた試験受ければいいか。

「でもその前にまた一つ、今日は火王家の代表選定試験ですが」

 はあっ!? 二段階あるのかよ? そこでアウトなら終了か。

「火王家とは?」

「中央王家のほかに、地・水、火・風の四王家があります。血縁維持のためですね。この街は火王の領地で、私の叔父が火王です」

 なにいい!? 村長さんじゃなくて王様だったのかあ! やべえ、失礼な対応してなかったかな俺。まあいいや、ここまで来たら黙っていよう。知らなかったんだから仕方ない。

 ん? ということはこの子は王家の娘。つまり。お姫様!?

「そなたは姫か」(あなたはお姫様だったので?)

「はっ!? はいっ! 火王一族のですが」

「よかろう。せいぜい励めよ」(いいねえ、頑張ってるんだね)

「はっ、お気に召すよう頑張りますので、お側にお使えさせてください。できればその…ずっとですが」

 ん? 今何かこの子、とんでもないことを言わなかったか? 俺がひとり立ちできるまで手伝ってくれるってことだろうか。この国は姫であろうと客人には精一杯施しを与えるのかな。

 まてまて、だとすると昨日の夜はなんで布団に入ってきた? ん? もしかしたら俺がこの姫様に体を提供すべきだったのか? そういう風習があるのかもしれねえな。やべえ、そっちの意味か。そうか、俺は下僕として雇われたようなものか。

 ということはだ。俺は入ってはいけない布団で寝てたってことだ。それでもサヤカ姫様は自分の布団だからと、あの布団に入ってきたってわけだ。だとすると泣いてた理由も、俺が下僕としてひどい態度を取ったからだろうな。うーん。あの場合、俺はどこで寝るべきだったのか。床か?

 とりあえず謝って、忠誠でも誓っておかないと駄目だろうな。

「サヤカ姫、どうか我を支えてほしい。不躾ですまぬ」(サヤカ姫様、私はあなたを支えますよ。不手際があってすいません)

「ミコト様、私嬉しい…一生お仕えします」

 ああ、なんか喜んでる。誠意は伝わったみたいだな。でも顔を赤くするのはこの子の性格がものすごくいいからだろう。下手すると俺は昨日、近衛兵士を呼ばれて斬り捨てられていたかもしれないんだからなあ。まあ、運がいいってこった。

「ミコと呼んでくれ。様をつけられるのはどうかと」(ミコトって呼んでくれないかな。カミってつけないでさ)

「えっ!? もう呼び捨てにしてもいいと!? 畏まりました…」

 おおっ、ニッコニコだな。女の子はやっぱり笑顔に限る。きっとこの子は下僕には優しい、いい姫様なんだろう。王家の庇護下で執事として生活するのもアリかもしれねー! うん、それもいい。

「さあ、ミコ…ううん、恥ずかしいわこの呼び方。ミコさん、行きましょうか」

「どこへ行くのだ?」

「火王城です」





 ああ、だんだん自分のやばさがひしひしと分かってきた。なんで俺、あれが村長とかだと思っちゃったんだろう。この城はずいぶんと立派な…。どう考えても俺の首が簡単に吹っ飛ぶレベルだ。粗相のないようにしないと。

 あれ? そういえば何で俺、この城に来てるんだっけ? 騎士の試験だったっけ? あー、もしかしたら昨日の俺の態度が悪くて、怒ってて呼び出し喰らったのかもしれんな。もしくは、既に俺が処刑されることが決まってたりして…。そこまではないか、そこまではないと信じたい! 言葉遣いとかもちょっと頑張らないとだめか。

 なんか寒気がしてきた。風邪か。それとも首が飛びそうな雰囲気に震えてか。

「ダイムーカノミ家のミコトを名乗られる者よ。真にミコトである証を、見せてはくれまいか」

 ああん? 俺がミコトである証拠だあ? 俺は俺だろ。運転免許証とか? 何がほしいのか分からねーよ!

「分からぬか」(わかりません)

「む…。昨日、確かに龍を退けたと聞く。準一級の魔獣である龍を退けたその力を、ここで見せてはくれまいか?」

 これ尋問? 昨日ドラゴンを追っ払ったことで許してくれるってことか。本当に俺が追っ払ったかどうかを知りたいってことか? よくわかんねーな。 ああ、くしゃみでる。やべえやべえ。

「だああっくしぇ!」

 おっ!? おおっ!? 地震、地震だな! 結構ゆれてるぞこれ、震度5ぐらいだ! 王様の前で不恰好にくしゃみをしちまったが、地震のせいでごまかせたか? あれ? なんか王様が驚いてるな。

「分からぬか」(わかりません)

「失礼をいたしました…まさかこのような力をお持ちとは…。人間にあるまじき力、貴方様を正式に火王家側の候補に」

 ん? ああ、昨日のグラビトンのことか? あれってあんまり使う人がいないってことかな。まあ、それで罪が問われないならそれでいいや。

「まさか大地が震えるとは…。恐ろしき力よ…」

 ああ、ここの人たちには地震が珍しいのかな。地震の無い国の人が地震に遭うと、ものすごく取り乱すっていうからな。こちとら地震王国日本の生まれでい。このぐらいの震度じゃあたいしたことはねえ。だけど恐ろしき力って言ってるから、マグニチュードが気になるのかな。

「力は、たいしたものは出していない」(マグニチュードはそれほどでもないんじゃないですか)

「なんと!! サヤカ、この方は本命だ」

「ええ、だから言ったじゃないですか叔父上!」

「すまぬ。だがこれなら中央王家が用意した候補にすら勝てるぞ」

 なんだなんだ、何か勝負でもするのか? 魔法勝負かな?


お馬鹿な感じになってきました(´∀`*)


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頑張りますよぉ

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