絶対絶命 リボ払い…山口百恵がいなくなった国で
◆◇『絶体絶命リボ払い ― 山口百恵がいなくなった国で』◇◆
――未来をリボ払いした人々へ――
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❥第一章 リボで生きる街
東京湾岸のガラスの塔が、夕暮れに光っていた。
若者たちは笑っていた。
「大丈夫、リボがあるから」
家も車もペアローン。
二人の未来を借金でつなぎ、それを“愛のカタチ”と信じていた。
一方、年金生活の老人は足腰がガクガク。
「わしらの時代は、貯めてから買うたんじゃ」とつぶやいても、
その声はビル風にかき消された。
世界では「悪い金利上昇」が始まっていた。
借金が増え → 戦争でさらに借金 → 国が返せず増税 →
金融機関が傾き信用不安が広がる → 金利が上がる…
だがそれは“成長の証”ではなく、
「返せない人が増えている」ことのサインだった。
担保が売られ、
株が暴落し、
世界は大恐慌に突入した…
そんな世の中と今がまったく同じなのに、
多くの若者はその歴史すら知らない。
「でもSNSでは株の話ばっかり。」
誰かがつぶやく…
リアルより
タイムラインが賑やかな時代。
その夜、タワーの理事会が開かれた…
住民の誰も知らない。
自分たちの暮らしがすでに
“借金の歯車”の中にあることを――。
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❥第二章 理事長と副理事長 ― 修繕という名の宴
「修繕費、15%安くなりました!」
理事長の声に拍手が起きた。
若者も老人も「理事長は頼れる」と笑顔。
だが実際には、25%高い見積もりが裏で通っていた。
その中には理事長への3%のキックバックが組み込まれていることを
誰も知らない。
だって数字 チェックするの面倒だからね…
副理事長(会計担当)は建設会社に囁いた。
「材料費を倍にしておけ。差額は“コンサル料”で処理だ。」
工事総額は3億6000万円。
二人は夜景を見下ろしながら乾杯した。
「株も上がってるし、世の中まだまだイケるな。」
しかしその株高は、
まやかしなのかもしれない。
第二次世界大戦の末期――
日本が敗戦に向かうほど株価が上がった。
今も同じ。
第三次世界大戦の影が近づくほど、
不思議と株が急騰する。
「株が上がってるうちは大丈夫」
そう信じた瞬間、
人は“考える力”を手放すわけ…
理事長は煙草の火をつけて笑った。
「この塔が倒れる頃、俺は別の塔にいるさ。」
外では滞納通知を握った若者が夜空を見上げていた。
「理事長が守ってるのは、
この塔じゃなく、自分の暮らしだ。」
風が吹き、シャンパンの泡が消えた。
それが、この塔の最初のヒビだった。
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❥第三章 黄金の亡霊 ― 借金で回る世界
『世界の債務は337兆7000億ドル(約5京円)』
金は1トロイオンス=4000ドルを突破!
銀座の田中貴金属には行列ができた。
だがショーケースには、延べ棒が一つもない。
値段はついてるのに延べ棒が手に入らない、なぜなの?
フランスでは、戦費で予算が崩壊!
内閣はわずか1日で総辞職。
「予算が通らない」と議会は大騒ぎ。
地方の住民は、自分でゴミを処理場へ運んでいた。
住民は戦争で政府にお金がないことが分からない…
アメリカでは
トランプ大統領が「中東和平を実現した」と発表!
世界は拍手を送った。
だが裏では、
彼の息子がガザの跡地に五つ星ホテルを建てる計画を進めていた。
ノーベル平和賞を狙う父と、ホテルを狙う息子。
平和の看板の下で、また新しい塔が建つ。
そして日本。
「日本を良くする」と誕生した新総理は、
就任早々こう言った…
「日本にはもうお金がありません。
消費税20%も、やむを得ません。」
それでもニュースキャスターは笑っていた。
「またいつもの 政治 ショーが始まった…」
平和ボケ
――それは国民病のように広がっていた。
リボ払いで先送りしてきたツケが回り、
限度額オーバーの警告が鳴る。
………
――人里離れた小さな集落。
老人は畑で土をいじりながらテレビを見ていた。
「都会じゃ、一体全体何が起きとるんじゃ?」
コーヒーをすすり、風に顔を上げる。
修繕費も家賃もいらない。
静かな暮らしは低コストだ。
だが、都会の人々はその単純な幸せに気づかない…
『私は新宿から30分以内の
タワーマンションに住んでいます !
便利ですよ
どうぞ遊びにお越しください…』
山に囲まれたその集落は、
そのタワーマンションの光とは無縁だった。
田舎の老人も、
都会の若者も、
世の中の流れを知らないまま…
ただ一つ違うのは、
老人のリボ払いは
“自然の時間”に任せていることだけだった。
世界がざわめくほど、
夜の風はやけに穏やかだった。
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◆◇エピローグ◇◆
『人は“未来を先に使えば、未来に使われる”』
未来を借りて今を生きる時代――
それを“便利”と呼ぶうちは、
この寓話は終わらない…
――今日も、
塔のどこかで
「リボ払い」が押されている。




