第8話:森をぬけて
あの後魔の森をあっさりクリアーしたわたし達。
今は再びナビに従い道を進んでいっているよ!
ところで、追っ手の兵士とか気にしていたけど全然来ない辺りは王様が無能なのか、居場所を把握したけどあえて泳がせているだけなのかの判断がまだつかないネ!
ーって、芽衣さんは思うから軍師彩人くんに聞きたいのにゃ♪」
「わざとらしい一人称はともかく、分かりました先生、少し探知してみますね?」
「頼んだぞ軍師彩人くんっ☆」
(先生のノリが本当に猫人族になってきましたね……)
「索敵。」
彩人くんは目を瞑り、軍服と一緒に渡した軍刀を鞘に入れたまま地面に突き立てると魔力が拡散される感覚があったわ!
カッコイイスキルモーション(?)ね♪
サクラちゃんも惚れ惚れとしてるわ!
「彩人、カッコイイ。好き。」
しばらくしてゆっくり目を開いた彩人くんは、自身に見惚れてぽーっとしているサクラちゃんを抱き寄せてからわたしに視線を向けた。
彩人くんもなんだかんだで彼女であるサクラちゃんの事が好きよね〜。
「索敵した限り、敵影無しですね。
魔物、人間共に僕達しか居ないようです。」
「そっ。ならあの兵士達やオーサマは無能にゃね☆」
「メイコ先生が本当に辛辣で大草原不可避。」
「でも実際、この程度でわたし達トーシローに巻かれるなんて“無能な兵士達”じゃないかにゃ?透くん。」
「アイスたんでワンモア!」
「『トーシローに撹乱される兵士とかマジむのーやろーじゃねーですか。
透もそう思いやがりますよね?』」
「ありがとうございまぁぁぁすっ!!
小生もそう思うであります!!」
「馬鹿やってないで行くよ、芽衣。」
「はいにゃーん♪」
「…なぁ、瑠花。」
「何も言うな、ですわ香蓮。」
うん?なんだか香蓮さんと瑠花ちゃんがため息ついてるにゃ。
悩み事??
わたしは、歩く速度を少し落として2人に並んで話しかけた。
「何か悩み事でもあるのかにゃ?香蓮さん、瑠花ちゃん。」
「目敏いな柏木先生。」
「でも原因はめいちゃん達だという自覚は無いのですわね…。」
「にゃ??」
「……あぁ、うん、今の先生は可愛いからな、ああ、そうゆうことにしておいてくれ、柏木先生。」
「にゃん…分かったわ!
けど、2人だけで抱えないで先生にも相談してよね?
わたしの事、猫人族になって、大分お気楽そうに見えるでしょうけど、ちゃんとわたしはわたしのつもりよ?」
「それは承知しているぞ、先生。」
「それはそれとして、ちょっとめいちゃん達の“おふざけ”が過ぎるだけですわ。」
「…うにゃ。
なるべく自重するわ。
こうゆうノリが苦手な人も居るものね…
「ああ、そうしてくれ。
ただ私達だってこの空気を壊したい訳じゃないんだ。
先生は皆が不安にならないように、“道化を演じている”のであろうことも察しがついている。」
「え、それ本当ですの?香蓮。」
〔そうゆうことにしておけ、瑠花。〕
「……コホン。
ともかく、私も瑠花も、皆の事は信頼しているし、仲良くはしたいからな。」
「にゃふん!
分かったわ、この芽衣さんに任せなさいっ!
なんたってわたしは皆の先生だからにゃ♪」
「くすっ…♪
そうですわね、めいちゃん先生が居てくれるから、アタシ達はアタシ達のまま、今ここにいられるのでしたわね……
先生、頼りにしてますわよ?」
「にゃふふ〜♪大船に乗ったつもりで居なさいな!
でもいざとなれば…送還術を使うからにゃ?」
「…日本に帰った時、猪頭の奴が殺人鬼に成り果ててなければ良いがな。」
「怖い事言わないでくださる!?」
「……そうにゃね。」
(実は、アレから【送還術】のスキル、
表示が灰色で 《使用不可》 って表示になっているのよね…やっぱり、猪頭…君はあれから日本で……?)
~一方、日本では~
『ー先日、○○高等学校2年の1クラスの生徒と教師が一度に行方不明となる事件が発生しました。
翌日には生徒の過半数が自宅に帰ってくるという謎の現象も起こっており、警視庁によれば原因不明、との事です。
事情聴取に応じてくれた、帰ってきた生徒達の大半は『突如誘拐されたが担任教師である【柏木芽衣さん (23)】の手により逃がしてもらえた』との様な事を述べており、生徒の親達からは『逃がしてくれた柏木先生へ感謝を』との事です。
まだ戻ってきていない生徒、及び担任教師である柏木さんの安否が気遣われます。
戻ってきていない生徒の中には大手企業、一ノ瀬ホールディングスの社長令嬢である【一ノ瀬香蓮さん (17)】、○○党議員の音無氏の娘である【音無瑠花さん (16)】も含まれており、誘拐犯から身代金の要求も無いことから何故誘拐されたかも不明です。
以下、まだ帰宅の確認が取れていない教師と生徒達の一覧です。』
《行方不明者リスト(50音順)》
《一ノ瀬香蓮 (17)》
《大原彩人 (16)》
《音無瑠花 (16)》
《柏木芽衣 (23)》
《榊原透 (16)》
《佐藤優弥 (17)》
《葉山サクラ (17)》
『続いてのニュースは、先程の大規模誘拐事件に付随する連続通り魔事件です。
先程の誘拐先から帰ってきた生徒の1人である【猪頭ー