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第7話:森の中の行軍

さて、あれからダンジョン【魔の森】に侵入したわたし達は、ナビのお陰もあって順調に進んでいた。


「ハッ!ヤッ!フッ!…弱いな…スキルを使うまでもない、か。」


「そりゃここは推奨レベル10のダンジョンだからにゃぁ…次の街へ行く為とは言え退屈かにゃ?香蓮さん。」


「いや、退屈等では無い。

そんな事を言うのは戦いに対して失礼だしな。」


「にゃはは…根っからのサムライ気質だにゃぁ〜、香蓮さんは。」



うーん……レベル差がありすぎるのか、香蓮さんは本当に技の一つも使わず、いわゆる通常攻撃だけで敵を切り倒していく……

しかもワンパンだよ。まぁ、レベル50だものね……



「【アクアランス】!【サンダーショット】!まだまだ行きますわよ!」


「サクラも…風よ/逆巻け/穿て/全てを貫け風の槍/顕現せよ。【ウインドランス】。」


「おほほほほ♪【アイシクルランサー】ですわぁ〜!」



魔法使い組であるサクラちゃんと瑠花ちゃんは下級魔法だけでオーバーキルをしているみたい……と言うか多分、レベル差が酷いから杖で直接殴ってもワンパン出来そう。



「やぁぁぁっ!っと!このっ!そらっ!はぁ…はぁ……しぶといなぁ…!」


「切り捨て御免。」


「あっ……


「横取りする様な形ですまぬな佐藤氏!しかし手こずっているようでしたからな!」


「ううん…ありがと、榊原君。」



……やはりと言うか、盾役で、しかも適正レベルより下であるゆーくんだけは魔物1体倒すだけでもかなり苦労しているみたい…

そうでなくとも武器が盾しか装備できないゆーくんは、攻撃力も攻撃手段も少ない……

まぁ、盾使い(シールダー)だから、守りがメインと言えばそれまでなんだけどさ。

これ、わたしが介入しなかったらゆーくんはどうなってたんだろう……?

やっぱりクラスメイト達からか、あの王様(笑)から追放されていたのかな…?


今でこそ皆ゆーくんと仲良くしてくれているけれど、自惚れでないならそれはきっと、わたしが居たから、なんだろうし。


おっと、戦いが終わったみたいだにゃ。



「敵は全て倒れたようですね…【瞬足の陣】、解除。戦闘終了です。」


「はいにゃ〜♪そんじゃ、【エリア・ヒール】!【エリア・マナヒール】!【エリア・スタミナヒール】!!

みんな、お疲れ様だにゃ♡」


「んっ。せんせーが戦闘中も戦闘後も回復をしてくれるから、サクラは攻撃魔法に集中できる。

だけど、サクラは攻撃魔法も回復魔法も使えるけど、せんせーや瑠花には負ける。

2人みたいに詠唱破棄も出来ないし。」


「あら、貴女の攻撃魔法も中々のものですわよ?サクラさん。

その上で回復魔法も使えるのだから充分凄いですわよ!」


「そもそも僕達の武器に属性付与が出来るのは僕達の中ではサクラだけの技能です、胸を張りなさい。」


「んっ。ありがと彩人。好き。」


「ええ、僕も好きですよ、サクラ。」



うんうん♪このメンバーはお互いに尊重し合えるみたいで良かった♪



「はぁ………


「どうかしたのですかな?佐藤氏。」


「いや、盾役なのに僕だけ低レベルだからさ。

全然活躍出来てないなぁ…って。」


「まぁ、そもそもここの敵は弱過ぎて見敵必殺状態だからな。

私や瑠花が速攻、仕留め損ねをサクラや榊原が追撃で仕留めきれているからな。」


「そうですよ、佐藤。

僕だって敵が弱すぎて軍師としての仕事がないくらいですからね。」


「大原君は【陣】で支援をしてるし、そもそも居るだけで皆のステータスが上がるじゃないか。」


「………それはそうですが。」



そうなんだよにゃあ……彩人くんは【軍師】のスキルで皆それぞれにとって必要なステータスをピンポイントに1段階強化するスキルを持ってるんだよにゃぁ〜……

例えばゆーくんなら防御力と対魔力をそれぞれA++とB+にするとかだにゃ。


だから彩人くんはそこにいる事が仕事、な面があるんだにゃ。

もちろん、戦闘難易度が上がってきて本格的な戦いが始まれば軍師の本懐である陣頭指揮をしてもらうけどにゃ。


それはともかく…



「ゆーくんゆーくん。」


「ん?どうしたの、芽衣。」


「なんで【キャットクロウ】を使わないの?」


「え?」

「うにゃ?」


「…【キャットクロウ】って、なに?」


「なんですって?」



あれー?

これ、ゆーくん本気でわかんにゃいやつかにゃ??

まじかにゃ。



「ゆーくん、ちょっと自分のステータス見てみ?」


「あ、うん【ステータスオープン】。」


「うんうん。

そこに【キャットクロウ】ってスキルがあるじゃろ?」


「あ。本当だ。」


「次から攻撃にはそれ使うといいよ。

芽衣先生からの贈り物だにゃ♡」


「そうなの!?」


「にゃふん♪わたしとパーティー組んでるから使えるユニークスキルだよ?

ちゃんと使うにゃん♪」


「う、うん…ありがとう芽衣!」


「なら頭撫でて!」


「うん。それじゃあ……


「にゃふふ〜♡」



はふ〜…やっぱりゆーくんに頭撫でられるの気持ちいい〜♪



「佐藤氏も順調に絆されていますなぁ〜?」(ニヤニヤ)


「…そうだね。」


「おや…?平気そう…と言うか穏やかな顔ですな…?」


「だって、なんだかんだ言ってもやっと芽衣が僕のものになったんだ。

だから嬉しいし安心もあるかな?

ふふっ……そうだよ…僕はこれから、芽衣にどれだけ想いを伝えてもいいんだ……だってもう、芽衣は僕の彼女なんだし……


「ふむ…?」


「なにしてるのゆーくん!透くん!

置いてかれるよー!」


「あ、ごめんね芽衣!

じゃあ、行こうか、榊原君。」


「お、おう。そうですな佐藤氏。」

(…こりゃ日本に居た時から拗らせてますなぁ、佐藤氏…。

メイコ先生も罪なお方だ。異世界に来なければ、自制が強いメイコ先生が佐藤氏の思いに答える事は無く、佐藤氏の恋も叶う事は無かったでしょうしな。)















~日本でのある日の1幕~


〔佐藤氏佐藤氏。〕


〔ん?どうしたのさ榊原君。〕


〔やはり今年のクラスの担任殿は当たりではなかろうか?〕


〔担任…?と言うと、1年の時も担任だった松岡先生じゃなくて、新しく副担任として来た柏木先生の事??〕


〔ですぞですぞ。〕


〔確かに、見た目が僕たちの年に近いし、可愛い系だし親しみやすい性格してそうだけどさ、それって、新人の先生だから頑張ってるだけじゃないの?〕


〔何を言うか佐藤氏!!柏木先生殿は声がアイスたんなんですぞ?〕


〔…それって榊原君が好きなゲームのキャラクターだっけ?〕


〔それですな!佐藤氏にも貸したことがあるから分かりましょうぞ!?〕


〔……僕は君ほどやり込んでないから声に関しては何とも…だけど……。〕



「…?…!!」(にこっ)



〔……笑顔は可愛い、よね。〕


〔おっ、今我々に微笑んでくれましたよな?

そうですよな佐藤氏。〕


〔はいはい……もぅ。ゲームや漫画じゃないんだからさ、若い女教師に夢見すぎだって。〕


〔佐藤氏は枯れてますな?オタク仲間であるなら夢くらい見ましょうぞ?〕


〔僕はゲームとリアルは別って思ってるから。

リアルはクソゲーだよ。

親は選べないし、学校はある程度選べてもクラスメイトや担任は選べない。〕


〔夢が無いですなぁ……


〔ははっ。異世界転生とか召喚でもされたら夢見れるかもね。〕


〔ふはっwそれこそ、夢物語ですな。

佐藤氏にもしっかりオタらしい一面があって小生安心しましたぞ。〕


〔そう…?〕


「あら、随分楽しそうね?2人とも。」


「「あ、柏木先生…


「今 は 授 業 中 よ ?? 私語は慎みなさい?」


「「ハイスミマセン。」」













そんな柏木先生……芽衣の事を僕が異性として意識していくのは、また、別の話しさ。


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