第6話:魔の森の前にて
さて。
あれから更に歩き続けていたら、森の入口っぽいところにたどり着きました。まる。
「……ナビには【魔の森】、なんてあからさまな名前が表示されているのにゃ。」
(芽衣、すっかり猫語(?)になったなぁ……)
「突っ切るのは危険そうなの?」
「そうだにゃぁ……推奨レベルは10、
と書いてあるんだけど……召喚されて2日目の今、皆まだレベル1だよにゃ??」
最初に鑑定した時、ゆーくんはLv.1だったし…他の皆も多分Lv.1だよね……?
「僕は道中でレベルが4上がってレベル5だけど…
「にゃんで!?どこにレベルアップ要素あったのにゃ!?」
「……………。」
(芽衣の頭を撫でて愛でてたらレベルが上がったなんて言えない…。)
※本人は気付いていないが、スキル【猫の騎士】の効果で芽衣と触れ合うと経験値取得(ただしレベル100になるまで、以降はHP回復になる)、一緒に居るだけでHPが毎秒5%回復している
「なんで目を逸らすのかにゃ?
ゆーくん?おーい…?
ゆーくーん?ゆーくんにゃーん??」
「そ、それより皆はどうなの!?」
(ダメだ!首を傾げて“猫の手”で手招きしながらうにゃうにゃ言ってる芽衣が可愛すぎる!!)
(佐藤と柏木先生は何やってるんだ?)
「……佐藤はレベルが低いな。
私は最初からレベル50あるのだが。」
「アタシも最初からレベル50ですわ。」
「僕は最初からレベル60ですね。」
「サクラは最初からレベル50、ある。」
「わぁ…流れ的にゆーくん以外の皆だけ最初から高レベルスタートなんだ………酷いね。」
そりゃ王様も他のクラスメイト達も嘲笑する訳だよ!!ゆーくんにだけこんな仕打ちとか酷くない!?
それで、榊原くんは…?
「ところで、榊原くんはなんで黙ってるのにゃ??」
「あ……いや、そうですな………その、小生はな?
最初からレベル80ありましたぞ?」
「まって、榊原くんだけおかしい。」
「そのぅ…小生はこの様なユニークスキルがありましてな…ははは…
と言って榊原くんが表示してくれたステータス画面にはこんな記述が……
ユニークスキル
お狐様のお祝(呪)い【桔梗】
※()内の表記はEXランク相当の隠蔽により鑑定EXを持つ芽衣にしか見えていない
└常に現在レベルに追加で30加算される
《レベルアップに必要な経験値量は加算前が基準》
【桔梗】と一緒に居ると全ステータスが1ランク上昇
※以下はEXランク相当の隠蔽による隠し効果なので芽衣にしか見えていない
└【桔梗】以外の女性を相手にする時は恋愛成就の妨害により、友人以上には決してなれない。
その上で自身が好きになった女性は【桔梗】を除き必ず寝盗られる。
いわゆる強制BSS【デメリット】
追記:なお、呪い無効により芽衣はこのスキルの対象には含まれない
あらー…
酷 い ス キ ル ね !?
これじゃあ榊原くんに恋人が出来ないはずだわ!?
いえ、スキルのせいだけでもないでしょうけど。
実際、わたしにはスキルの効果が無くても榊原くんを恋人にしようとは思わないし……
まぁ、わたしが好きなのはゆーくんだからかな……
(けど、なんだか本能が“事実を教えるな”ってうったえかけてくるから教えるのはやめときましょ………)
「それより、メイコ先生のレベルはいくつなのですかな?」
「え、わたしはLv.255よ?」
「Why?」
「…レベル255よ?」
「ぱーどぅん?」
あら?わたしが自分よりおかしなレベルしてるからか、榊原くんは大分混乱しているようね?
じゃあとりあえずアレやっときましょうねー。
「『……透、現実逃避から戻りやがれです。』」
「アイスたん!?」
「『なんですか透。キメェから興奮するなです。』」
「ありがとうございまぁぁぁす!!!」
ちなみに榊原くんのフルネームは榊原透よ。
「…やっぱりアイスちゃんのファンは名指しで罵られたいのかしら?
わたしのオタ友からも頼まれて“アイスたん”で罵った事があるけど。」
「メイコ先生のその友人とは美味い酒が飲めそうですな?」
「…透くん。比喩表現なのは分かってるけど教師として一応ツッコミ入れるわね?
未 成 年 が お 酒 を 飲 ん じ ゃ い け ま せ ん っ !!」
「アイスたんでワンモア!!」
「『未成年が酒飲みたいとか言うなですばかやろー。
透はわたしが作ったアイスクリームでも食べとくがいいです。』」
「「……………。」」
ピシガシグッグッ(例の謎の動き2回目)
「…芽衣?」
「はっ!?」
なんて透くんとバカやってたら黒いオーラを纏いしゆーくん再びっ!?
なんで!?
「ご、ごめんねゆーくん!?
なんか、透くんってわたしの友達に似てるからつい!!」
「しれっと名前呼びに移行したね、芽衣。
ところでその友達って、男かな?」
「奏にゃんは女の子だにゃっ!?」
「噛んでますわよめいちゃん。」
「ふにゃぁぁっ!!」
「ふぅん…?
男でもありそうな中性的な名前だけど、今は信じてあげるよ。
それなら、榊原君の事は男として見てないよねぇ…?」
「にゃんですって?」
あ、なんかスンッとなった。
えー……もしやゆーくんって束縛系ヤンデレなの??
愛されるのはいいけど、わたし、そうゆうのはちょっと………わたしは猫人族。
自由を愛する種族なのにゃ。
ヤンデレはお断りなのにゃ!!
「は?何言ってるのゆーくん?
それに、嫉妬なら嬉しいけど束縛なら勘弁だにゃ。
自由を愛するケットシーは束縛が嫌いだにゃ!!
と言うかまだ恋人でも無いのに彼氏面すんにゃ!!
まだ付き合ってもないのにゆーくんを嫌いになりたくないのにゃ!!」
「うっ…ごめん…嫌わないで芽衣先生……
『その流れでまだ恋人じゃないとか言えるんだ先生………』
なんて、香蓮さん瑠花ちゃんサクラちゃん彩人くん透くんが言ってるけど気にしないっ!!
……気にしないったらしないもんっ!!
わたしは猫人族!細かいことは気にしないのニャ!!
「全く!男の嫉妬は見苦しいとはよく言ったものだにゃ!!
告白する勇気もないくせに!
わたしで童貞捨てる勇気もないヘタレのくせに!!
わたしはこーんなにゆーくんの事が好きなのににゃー?」
「それ、どこぞの青春物gー「榊原黙れ。」ハイスミマセン。」
「でも、それは僕のマタタビスキルのせいで……
「聖女のわたしに、魅了系のスキルは効かないのにゃ。
だからマタタビもただ単にお酒飲んで酔ってしまう様なものにゃ。
わたしは日本に居た時から正気の本気で1人の女性としてゆーくんに惚れてるのにゃ。
それが酔って表に出やすくなっただけにゃ。」
「なぬっ!?メイコ先生は聖女だったのですかな!?」
「にゃんっ!!
……透、話が逸れるから黙りやがれです。」
「ありがとうございまぁぁす!!」
「いや、サラリと重要な事を流すな、柏木先生。」
「香蓮も黙りやがれです、空気嫁ばかやろー。」
「え。なんかすまん…って、空気嫁?」
「香蓮、貴女は何も悪くないですわ。あとソレは知らなくていい言葉ですわ。」
「あ、ああ。瑠花がそう言うなら……
「なんかこの流れ、似たような物をさっきも見ましたね?」
「彩人、それを言うのは野暮。」
「それよりゆーくん!?あなたねぇ!
そんなにわたしの事が好きならなんで早く告白しないのよー
「……あの…それはともかくアレ、早く終わりませんか?
恐らくダンジョンの入口であろうここで痴話喧嘩とは……はぁ……。」
「彩人、大丈夫?サクラの頭撫でる?」
「……とりあえず後ろから抱きしめても?」
「んっ。ばっちこぃ。なんならサクラの頭、吸う?」
「ありがとうございます、サクラ……すぅぅ…はぁぁぁ………。
サクラの香りは落ち着きますねぇ………
本当に、いつ終わるんでしょうね?アレ。」
「んっ。既にバカップル。」
「バカップル…と言うより馬鹿カップルでは?
2人共地頭はいいのに馬鹿な会話していますね。」
「なぁ瑠花。」
「香蓮、何を言いたいかは分かりますわ。」
「バカ軍団ですかな?」
「アタシ達も含むのは心外ですわよ?榊原。」
ーなのにゃっ!
まったく!ゆーくんはまったく!!」
「う、うん、ごめん…?」
「なら、今からわたしはゆーくんの彼女!
おーけぃ?」
「お、おーけー。」
「よし!!ならこの話は終わりだにゃ!
嫉妬はウェルカムだけど束縛するにゃらゆーくんなんか嫌いになるからにゃ!?
じゃあもう行くよ!皆!!」
『その流れでダンジョンに行くのか先生。』
うるさいよ!皆っ!!
なお、“ケットシーと触れ合うと経験値取得”は触れ合いの度合いによって取得経験値が増える。
具体的には
撫でる…1撫で毎に10
抱きしめる…1秒毎に30
キス/猫吸い…1秒毎に50
それ以上(R-18)…1秒毎に100
勿論相手のケットシーの同意が前提である。
芽衣先生のレベルが255の理由
息抜き程度でしかやってなかったネトゲならレベル60前後もあればいい方じゃないのか?
と思うでしょうが……はい、チートです。
異世界に召喚された時に地球からのカウンターとして【生徒の守護者】として限界までレベルを上げられました。
なお、カウンター措置としては地球、日本の神様サイドから送り込まれたもう1人が居ます。(フラッグ)




