第14話:首都・東ノ宮へ(道中)
辺境の町を後にしたわたし達は、首都をめざして進んでいた。
「それにしても、日本モチーフの国が島国じゃないのは不思議な感覚だわ。」
「そうですかな?
小生、普通に歩いている分には何とも思いませぬぞ!」
「おにーさんは色々と鈍感だからでしょ?」
「…桔梗の恋心を否定し続けた小生がそれを言われると、ぐうの音も出ないですな。」
「くすくすっ♪わたしはそんなおにーさんでも大好きだよ?」
「くっ…!やっぱり桔梗ちゃん可愛い…!!」
「ありがと、おにーさん♪」
そう言って透くんの胸に頭をグリグリと押し付けて甘える桔梗ちゃん…!
うん、女のわたしから見てあざとかわいいの範疇…!こいつ、出来る…っ!!
透くんも満更でもなさそう。
「…。
これでは他の方々にツッコミが出来ませぬ…!」
「……恋人出来た途端にキミもイチャイチャか、ようこそこちら側 (バカップル組)へ榊原君。
ところで芽依?」
「何かなゆーくん!」
「改めてそんなことを言うなんて、もしやナビって日の国の全土が見えてる?」
「あはは、何を今更♪」
「……わぁ。」
当然、場所検索やピン打ち、航空写真に3Dモードにビューモードなどなど、
某G先生のマップアプリ並の機能はありますとも!!
使用するのは基本的に次のクエスト目的地案内の機能だけどね!
…ちなみにナビは【メインクエスト:このまま日の国を抜けて海の国に行こう!】と示してたけど無視してる。と言うかメインクエスト案内はOFFにした。
別にこれ、従う必要ないんだよね〜。
特に罰則も無いみたいだし。
だから本筋なんか無視して首都に向かってるんだけどにゃ〜。
あんな黒幕感しか無い王様(笑)に従う義理なんか無いし。
「とにかく、町からは大分離れたしそろそろ魔物を警戒しようか?皆。」
「むしろ警戒してなさそうなのはあなただけですわ、めいちゃん先生?」
「そんなことないよォ〜。」
実際、わたしは気配察知や探知系のスキルもAランク位で所持してるからね。
まぁ、当然…索敵にしても直感EX持ちの香蓮さんとか、気配看破EX持ちの透くんみたいなチートスキル持ちには負けるけど。
ははは、本当に器用貧乏だなぁ〜!!(泣)
「ほらほら皆、さっそく敵だにゃ!」
「任せて。」
「にゃ…?」
わたしがそう告げるやいなや、ゆーくんが食い気味に飛び出して行った…?
そしてー
「【キャットクロウ:即死】。」
『ぐギャガッ…!?』
「わぁーお。」
「ふふっ…どうかな?芽衣。」
「…うん。え げ つ な い 。」
あー、うん、キャットクロウって思いつく限りのあらゆる状態異常が付与出来るスキルだけどさ。
でも普通、思っててもマジで即死を付与する奴なんか居ないにゃ。
ほら、ゲームなんかだと味方側が付与する即死って成功率低いじゃない。
………にゃ?
〖キャットクロウによる状態異常付与は耐性貫通〗
あ。違った。これ敵仕様だにゃ、チートだにゃ。
アカンやつやんこれ。
かすりヒットでもしたら勝ち確とか流石にヌルゲー過ぎるにゃ。
…味方がみんなチートだからどちらにせよヌルゲー?
……そりゃそうにゃけど………まぁいっか♪
ケットシーは細かい事を気にしないのにゃ!
「ははっ!これなら僕でも芽衣を守れるよ!!」
「ウンソウダネー。」(冷や汗目逸らし)
ここに最凶のバケモノタンク(カウンターが耐性貫通即死)が誕生した事はわたしとゆーくんだけの秘密なのにゃ……(震え声)
そんなこんなで首都への旅。
順調…とは言え、盗賊の類は何処にでも居るもので…
しかも、(自慢じゃないけど)わたし含めて美女・美少女揃いなこの面子。
男女比3:5な勇者パーティ(?)、しかも男性陣の 見 た 目 は なよっちぃ(なお、性格は。)と来たら盗賊からしたらお宝が歩いている様なものな訳で……
「旅にそんな沢山の女連れとはいいご身分だなぁ〜?」
「俺達にちょぉーっと分けてくれても良いんじゃねぇの〜??」
「うわ、テンプレ乙ですぞ??」
「うわ、テンプレ乙だよ??」
とまぁ、盗賊にエンカウントしちゃう訳で。
と言うか透くんと桔梗ちゃん、息ぴったり過ぎない??
あとさー
「「「ー!?」」」
ドサッドサッドサッ!!
「これは、芽衣を狙ってきたから正当防衛だよね?」(にっこり)
ゆーくん判断が早すぎにゃ!!
もう目の前の盗賊×3を【即死】させてるのにゃ!!命の扱い方軽すぎるにゃ!!
アンタ本当に転移3日目の日本人高校生かにゃ!?
「芽衣、何か勘違いしてるみたいだけど流石に対人だから麻痺だよ?」
「麻痺…そっかぁ〜♪
非殺傷なら安心…って!!
麻痺はビリビリ痺れて痛いのにゃ!生き地獄にゃ!!えげつないにゃ!!びっみょぉ〜に甘いのにゃ!?」
「ははは。『生きて罪を償え』って奴だよ。憲兵に引き渡したら一生鉱山奴隷コースかな??」
「訂正するにゃ、めちゃくちゃえげつないにゃ。」
「先鋒がやられた!!テメェら一斉にかかれェェェッ!!」
とかやってたらあっという間に十数人に囲まれたのにゃ!!
でも、そんなのは軍師である彩人くんが把握済み。
つまり。
「ー【スタンバニッシュ】。
うふふ♪既に把握してましてよ?」
彩人くんの指示で既に範囲麻痺魔法を瑠花ちゃんが用意していたのにゃ!
出てきた瞬間麻痺ったにゃ!!
「うふふ♪わたくし達の邪魔をするなら容赦はしなくてよ?」
瑠花ちゃんもえげつないにゃ!!あんたら容赦なしかにゃ!!?
「ハハッ。こんな奴らに容赦する必要があるのか?瑠花。」
「ありませんわよ。」
「だよなぁ?じゃ、キツめに縛るか。」
「捕縛なら任せて。【シャイニング・バインド】。」
「うわぁ………
なぁにこの流れるような野盗討伐RTA。
3分もかからずに終わったにゃ。
「さて、最寄りの詰所まで連行するか。」
………え、近くって近くないよにゃ?
まさかそこまで引きずってくのかにゃ??
「では急ぎましょうか。【俊足の陣】!」
「ありがとう大原。それじゃあ行くぞ、佐藤。」
「うん、僕だって盾使いとして力はそれなりにある。
引きずってくくらい出来るさ。」
「あ、ならわたしからも……【フィジカル・エンチャント】!」
「助かります先生。」
「にゃぁ…。」(自業自得とは言えご愁傷さま。野盗さん。)
この後、数キロに渡り引き回し同然の扱いを受けてボロボロ(適宜死なない程度の治療魔法はかけてた)になった野盗は無事に詰所のお役人達に引き渡されました。
なむ〜。




