第13話:サクラと芽依の話
あれからすぐに帰ってきた香蓮さんと瑠花ちゃんにも事情を説明すると、
『ふむ、根性だな。そうゆうの私は嫌いじゃないぞ。』
『恐ろしい程の執着ですわよね!?ヤンデレ妹ですの!?眠れない夜ですの!?』
とそれぞれ反応をいただきました!!
あとさ、瑠花ちゃん?やっぱり貴女、オタクじゃなぁい??
なお、そんな香蓮さん、瑠花ちゃんと対面した桔梗ちゃんはと言うと………
『うわぁ~!ホントにこんな効果音〖凛ッ!!〗が似合う人居るんだぁ〜♪
こっちのお嬢様なんてどこぞの庶民派お嬢様みた〜い♪』
と大変はしゃいでおられました。
と言うかわたしと貴女以外の姿はそのままだから日本に居た時も会ったことあるはずだと思うんだけど………
まぁ、学校って狭いようで広いからなぁ……学年もちがけりゃ本来なら住む世界が違う人種だろうしなぁ〜……
ちなみに桔梗ちゃんの場合、仮面を付けるのが上手いから、若干陰キャ寄りの陽側。
つまり中立(?)…かな。見た目は日本に居た時から黒髪清楚で人当たりのいいコミュ強大和撫子系美少女……のフリをしてたし、
前髪上げたらあら美人♪なコミュ障陰キャ厨二病ネトゲオタク系の姉とは(表面上は)対極の存在ではあったけど。
そして女避けの為に“見た目だけなら王子様系の残念男子(偽)”をしてた透くん。
実の所、日本にいた頃学校でラブコメしてた勢の1組なんだけど……多分知らぬは本人のみ、って奴ね。
だって桔梗ちゃん、傍から見たら透くんと話す時だけは素だったからね。
ただ。その透くんからしたらわたしもゆーくんと居る時は乙女ムーブしてたらしいし…?実感無いけど。
「それはともかくとして、この先の予定はあるのか?先生。」
「もちろんあるわよ香蓮さん!
あの王国が隣国なのは気になるとは言え、ひとまずこの国に腰を落ち着けようと思ってるのよ。
ここなら日本の田舎風景には近いからね。」
「言われてみればそうですわね?
パッと見よくあるなんちゃって江戸時代かと思いましたわ。
でもよく見ると建物が木造なだけで普通に電気やガスの様なものが通っていますわね?」
「イメージ的には銀○かなぁ?」
「それですぞ桔梗ちゃん!
この国、辺境であろうここでこのレベルなら首都、【東ノ宮】に行ったらもっと近代的になる予感がしますな!!」
「でしょ?だからね、明日からは首都に向かってみましょう♪」
「…うん、まぁ定番…かな?僕もそれでいいとは思う……けど。
大原君はどう思う?」
「ええ、僕も問題無いと思いますよ。
資料によれば【首都・東ノ宮】は安全な都市で、文明レベルとしては昭和後期の辺りになります。
首都圏にはいわゆる
“この世界における昭和の三種の神器”
的な物である魔導テレビ、魔導洗濯機、魔導冷蔵庫もあるようです。
ほぼ平成初期辺りの日本程度の文明がある様なのでこれから平成辺りの文明になっていくのではないのでしょうか。」
「………彩人ペディアかにゃ?」
「人を某辞書サイトみたいな扱いをするのは止めて下さい、柏木先生。」
「彩人くんだけに??」
「… 柏 木 先 生 相 手 で も 怒 り ま す よ ?」
「ゆるしてにゃー
「めいお母さん、いい加減恥ずかしいからやめて。」
ーん…ごめんにゃさぁぁぁぁい!?」
にゃんこポーズしながらてへぺろしたら元から無表情なサクラちゃんの目から光が消えてブチ切れオーラが半端ないのにゃ!!怖いにゃ!!!
「………!」
「………。」
ガシィッ!!(固い握手)
「にゃんで!?」
と思ってたら何故かサクラちゃんとゆーくんがハッとした後固い握手を交わし始めたにゃ!!
「……って、“お母さん”…ですの?
めいちゃん先生!?そうなると葉山さんは先生がいつ産んだお子さんですの!?
それとも養子ですの!?」
「んっ。
…この半年間、実の母親より母親してくれたせんせーはサクラのもう1人のお母さん。
むしろサクラの本当のお母さんはきっとめいせんせー。」
「サクラをここまで育ててくれてありがとうございます、柏木先生。」
『え。』
「んっ…?」
「うにゃ?」
あれ??なんかサクラちゃんと彩人くん以外の皆がわたし達を見ながらフリーズしてるんだけど、なんで??
「サクラちゃん、わたし何かしちゃったかにゃ??」
「んっ…?めいせんせーはサクラのお母さんをしてくれてただけだよ。」
「……してたかにゃぁ~…?」
「間違いなく実の母親より母親らしかったですよ、柏木先生。」
精々、質素なお弁当(塩おにぎりのみ)だったサクラちゃんの為にお弁当作ってきたり、晩御飯はウチに食べに来てもらってる内に信頼されて、(自身の貞操を守る為に)家出してきた日、かつ彩人くんの家にお世話になれなかった日は泊めてあげる様になってたくらいじゃにゃいかなぁ~……
ちなみに、夏休み開始からのここ数ヶ月間は彩人くんの家に居る日以外は毎日わたしのウチ……アパートのわたしの部屋で寝泊まりしていたけどね、サクラちゃん。
実質ウチに居候してたね、サクラちゃん。
わたしも積極的に保護してたから良いけど。
…要するに、ネグレクト、だよ。彼女の親。
しかも、母親だけの片親で毎日違う男を日替わりで連れ込んでた上にその連れ込んだ男が自身の娘にも手を出そうとしてもそれを逆手に金銭を要求する様な、毒親、ね。
それを知ってた大原家も極力サクラちゃんを匿っていてくれたみたいだけど、家がサクラちゃん達が住んでるアパートの近くだったから、毒親が連れ戻しに来てそれも毎日とはいかなかった。
一応、春を売らされたりをしなかったらしいけど、それも手と口で誤魔化してその後を母親に押し付けて、なんとか自身の貞操は守ってきた、な感じでギリギリだったとか。
だからわたしのアパートはあの毒親に場所を知られていない避難所だった。
………ただ、これまでの半年間は上手くいっていたけど、それ以降に上手くいっていたかは微妙だったけどにゃ。
ちなみに、そんなサクラちゃんがクラス委員長をしてたのは内申稼ぎの為。
少しでも県外か全寮制大学へ彩人くんと一緒に行ける確率を上げる為の努力の1つだった。
幼馴染みである彩人くんと付き合ってたのも、最初は彼の頭がいい事を利用する為だったとか。
尤も、それも中学生になり母親が連れ込む男から性的な目で見られる様になった頃、毎回彩人くんに漢気全開ブレイクドア(ピッキング)やって助け出される内に完堕ちしたみたいだけど。
そんなクソ重ヒロインな過去を持つラブコメ勢の1組。
それが彩人くん&サクラちゃんカップルなのよ。
わたしはお手伝いのお節介な女教師ポジかしら??
にしてもわたしが勤めてた学校、生徒達がラブコメとかエロゲムーブし過ぎだにゃ。
「めいせんせーはせんせーでお母さん。
でも、お母さん相手でも彩人は渡さない。」
「わたしにはゆーくんが居るから心配要らないのにゃ!」
「…んっ。そうだった…佐藤、めいお母さんをくれぐれもよろしく。
サクラの大事なお母さんだから。」
「あ、あぁ、うん?」
「…はっ!!
じゃあサクラちゃんはわたしとゆーくんの子かにゃ??」
「佐藤は…サクラのお父さんだった…?」
「こらこらこら……
「満更でも無さそうだにゃ♪」(にまにま)
「ではこれから佐藤君の事はお義父さんと呼びますね。」
「んっ。彩人、ナイスアイディア。よろしくゆうやお父さん。」
「まさかの大原君まで悪ノリ!?どうしてこうなった!?」
「にゃふふふふふ♪よろしくにゃ?お・父・さ・ん?」
「マジで勘弁して……
「ははは。流石に冗談ですよ、佐藤君。」
「だよね大原君…
「「え?冗談なの?」」
「「えっ。」」
パパなゆーくんとかサイコーじゃないのかな??
ほら、サクラちゃんもなんだか不満そう。
「佐藤、サクラを騙した?」
「そんな理不尽な!!」
「いえ、騙したと言えば僕になりますよ。サクラ。」
「んっ。彩人ならよし。許す。ごめん佐藤。」
「大原君に対してはチョロすぎて本当に理不尽ッ…!!」
「にゃはは♪それ込みでサクラちゃんの魅力にゃよね〜♪
ね〜っ?サクラちゃん♪」
「んっ♪流石めいお母さん。よく分かってる。」
「いくら母親代わりだったにしても芽依に対する謎の信頼も理不尽だよねぇっ!?」
「……なぁ瑠花?」
「皆まで言うなですわ香蓮。」
「茶番ですな。」
「茶番かな?」
さて!明日からは首都に向かうよ!!
本筋少しだけかよ!!グダグダだなぁっ!?(優弥)




